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「DXを加速するアジャイル ~変化を味方にしたチームづくり~」 第24回は、2023年7月6日に行われたオンラインイベント第2部のパネルディスカッションをお届けします。平鍋健児氏をモデレーターに、アジャイル開発を実践する日立のスペシャリスト3名の自己紹介からスタートします。

「第21回:アジャイル開発の実践例:アジャイルのはじめ方 その2」はこちら>
「第22回:なぜアジャイルがDXで注目されるのか」はこちら>
「第23回:アジャイルとは、みんなで作ること」はこちら>

モデレーターは平鍋健児氏

画像: モデレーターは平鍋健児氏

平鍋
それでは、パネルディスカッションに入りたいと思います。今日は日立製作所でアジャイル開発を実践されている3名に参加いただきました。テーマは、「実践者が語る!アジャイルの課題と壁の乗り越え方」です。日々のビジネスでアジャイルに取り組まれている皆さんは、さまざまな課題や壁に直面されることも多いかと思います。実際にビジネスの現場では、アジャイルへのさまざまな誤解があるという話も聞きます。今日はそんな今のリアルなアジャイルというものを、僕の方から皆さんに質問する形で掘り下げていこうと思っています。それではまず、向坂(さきさか)さんから自己紹介をお願いします。

自己紹介:向坂 太郎(アジャイルコーチ)

画像1: 自己紹介:向坂 太郎(アジャイルコーチ)

向坂(さきさか)
日立の向坂と申します。私は日立製作所に1999年に入社しました。これまでお客さまのSIを担当させていただく中で、ウォーターフォールの開発もアジャイル開発も両方経験し、社内で新しいサービスを立ち上げるといった仕事も行ってきました。そんなこれまでの経験を生かして、今はコンサルタントとしてアジャイル開発コンサルティングサービスを社外に向けて展開しています。

少し説明させていただきますと、私の所属しているアプリケーションサービス事業部は、金融や公共、産業・流通や社会といった分野での大規模アプリケーション開発を中心に行っている部署です。近年では、そこで得られた知見や自分たちが経験してきたことを「エンタープライズアプリケーションサービス」として、お客さまのDXを支援するという事業も展開するようになりました。

画像2: 自己紹介:向坂 太郎(アジャイルコーチ)

私が所属しているチームは、お客さまの業務の課題解決をアジャイルにフォーカスして行っています。例えばプロジェクトになる前の段階で、組織としてアジャイルとどう取り組んでいいのか分からないというお客さまには、私たちの経験を土台にアジャイル開発が組織内でどう適用できるかを考える「メソドロジーコンサルティングサービス」があります。また、実際にプロジェクトをスタートさせる時にコーチとしてお手伝いする「コーチングサービス」。そしてメンバーとしてプロジェクトに参加し、効果が出るようサポートしていく「協創メンバー提供サービス」といったサービスを通じて、課題検討から教育・実践・定着化までさまざまなフェーズでアジャイル開発をお手伝いさせていただいています。

平鍋
ありがとうございます。では続きまして杉原さん、お願いします。

自己紹介:杉原 優子(アジャイルコーチ)

画像1: 自己紹介:杉原 優子(アジャイルコーチ)

杉原
日立製作所の杉原と申します。私は2008年に日立に入社しまして、そこから向坂と同じ部署でアジャイルのサービスの立ち上げといった業務や、アジャイルコーチとしてさまざまなお客さまと関わらせていただきました。現在は、2021年7月に日立が買収した米国GlobalLogicの日本法人であるGlobalLogic Japanとともに顧客協創活動に従事しております。

ここで、GlobalLogicについて簡単に説明させていただきます。GlobalLogicは、シリコンバレーに本社を置き、世界各地にデザインスタジオやエンジニアリングセンターを展開しているデジタルエンジニアリング業界のリーディングカンパニーです。

画像2: 自己紹介:杉原 優子(アジャイルコーチ)

GlobalLogicには3つの柱があります。1つ目は、「エンジニアリング」です。特にChip to Cloud(チップからクラウドまで)と言われる、最先端のテクノロジーをすぐに採用して活用するというところに強みを有しています。2つ目は、新たな課題の発見やデータ利活用による効率の向上など、高度なデータ分析能力である「データサイエンス」も強みのひとつです。そして3つ目は、デザインです。デザイン主導でエンジニアリングを進めていく、ここにGlobalLogicのもっとも大きな特徴があります。

DXやデジタルエンジニアリングというと、私たちはどうしても技術にフォーカスしがちです。しかしそれを実際に使うのはユーザーであり、人間中心、エクスペリエンス中心の「デザイン」が「エンジニアリング」や「データサイエンス」と同じように重要で、この3つのケイパビリティでお客さまのDXを支援するのがGlobalLogicです。

GlobalLogic Japanは、こういったGlobalLogicの力と日立の持つ力をかけ合わせて、日本へのデリバリーを展開します。具体的にはアドバイザリーとデジタルエンジニアリングという2つのフェーズがありまして、DXというテーマはあるけれども中身が決まっていない場合には、戦略であったり何をやっていくかという優先順位などを決めていくフェーズがアドバイザリーです。そしてこういう方向性で、こういうものを作っていけば良さそうだというのが見えてきたら、デジタルエンジニアリングというフェーズになります。この流れの中で、私はお客さまとの協創に携わらせていただいております。

平鍋
ありがとうございます。デザイン主導という視点は、今の日本にすごく抜けてしまっているポイントだと思います。後ほど詳しくお話を聞かせてください。それでは大畑さん、自己紹介をお願いします。

自己紹介:大畑 聡(スクラムマスター)

画像: 自己紹介:大畑 聡(スクラムマスター)

大畑
日立製作所の大畑です。私は2007年に日立製作所に入社しました。お客さま担当のフロントSEとして提案活動から設計、開発、テスト、リリース、保守までの全工程を担当しています。お客さまとしては、今担当している証券会社で2社目になります。1社目は2007年から14年間、政府系金融機関のシステム開発に従事しておりました。こちらでのシステム開発はウォーターフォール開発で行っており、要件定義からリリースまで大体1年半から3年ぐらいかかるような大規模なプロジェクトを担当してきました。

2021年4月に今の証券会社の担当となり、11月から社内向けの新しいシステムを開発することになりました。当該プロジェクトは、2022年4月の利用開始が必達条件でした。一方、利用開始時の提供機能についてはプロジェクトチームで決め、徐々に機能を拡張するという方針でした。このため、この証券会社で初の試みであるアジャイル開発によって、システム開発を行うことが決まりました。

プロジェクトチームのメンバーは、プロダクトオーナーとして証券会社のユーザーの方が1名、スクラムマスターとして証券会社のシステム開発担当1名と私が入り、開発チームは日立のメンバー2名という構成でした。メンバー全員がアジャイル開発未経験者でしたので、最初は日立の向坂に支援していただきながらスタートしました。

基本的に2~3スプリントに1回のペースでリリースしてユーザーに利用して頂く形で、教科書どおりのアジャイル開発を行っています。現在もシステム開発中で、まさに現在進行形のプロジェクトになっています。

平鍋
ありがとうございました。違った経験を持たれる方々とのセッションになり、楽しみですね。

「第25回: 実践者が語る!アジャイルの課題と壁の乗り越え方 その2」

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【第24回】実践者が語る!アジャイルの課題と壁の乗り越え方(その1)

平鍋 健児(ひらなべ けんじ)

株式会社 永和システムマネジメント 代表取締役社長、株式会社チェンジビジョン 代表取締役CTO、Scrum Inc.Japan 取締役。1989年東京大学工学部卒業後、UMLエディタastah*の開発などを経て、現在は、アジャイル開発の場、Agile Studio にて顧客と共創の環境づくりを実践する経営者。 初代アジャイルジャパン実行委員長、著書『アジャイル開発とスクラム 第2版』(野中郁次郎、及部敬雄と共著) 他に翻訳書多数。

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向坂 太郎(さきさか たろう)

株式会社 日立製作所 アプリケーションサービス事業部 主任技師(アジャイルコーチ)
1999年、株式会社 日立製作所入社。金融系システム開発のプロジェクトに従事。その後、社内の開発フレームワークや開発標準の整備など、ソフトウェア生産技術の開発・展開に従事。その知見と経験を生かし、2019年からアジャイル開発コンサルティングサービスを立ち上げ、コンサルタントとしてユーザー企業さまのアジャイル開発プロジェクト、人財育成、社内標準化など、さまざまな課題解決を支援。

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杉原 優子(すぎはら ゆうこ)

株式会社 日立製作所 アプリケーションサービス事業部 主任技師(アジャイルコーチ)
2008年 株式会社 日立製作所入社。生産技術本部にて社内の開発フレームワークや開発標準の整備など、ソフトウェア生産技術の開発・展開に従事。2019年から2021年にかけてアジャイル教育講師・コーチとして活動。2022年よりGlobalLogic Japanビジネス推進本部に席を置き、GlobalLogicとともに顧客協創活動に従事、現在に至る。

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【第24回】実践者が語る!アジャイルの課題と壁の乗り越え方(その1)

大畑 聡(おおはた さとし)

株式会社 日立製作所 金融第二システム事業部 技師(スクラムマスター)
2007年 株式会社 日立製作所入社。政府系金融機関のシステム開発に従事。2021年から証券会社のシステム開発に従事。

画像5: DXを加速するアジャイル ~変化を味方にしたチームづくり~
【第24回】実践者が語る!アジャイルの課題と壁の乗り越え方(その1)

『アジャイル開発とスクラム 第2版』

著:平鍋健児 野中郁次郎 及部敬雄
発行:翔泳社(2021年)

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