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変化し続ける市場とユーザーニーズに機敏に対応するアプリケーション開発は、これからのビジネスを成功させる要です。日立は、アジャイル開発の導入と実践をよりスピーディーに実現するための、アジャイル開発コンサルティングサービスと、マイクロサービス/クラウドネイティブに適した新たなプラットフォームを提供しています。その概要を、コンサルティング担当の杉原 優子と、プラットフォーム開発担当の西谷 淳平が紹介します。

「【第1回】お客さまの課題に触れ、日立のクラウド&DXオファリングを育てる」はこちら>
「【第2回】お客さまに寄り添い、アプリケーションとインフラの両面からサポートする日立のモダナイゼーションコンサルティング」はこちら>

アプリケーション開発にアジリティが求められる背景

杉原
アジャイル開発コンサルティングを担当し、主にアジャイルコーチとして活動してきました杉原です。日本でアジャイルが注目されるようになったきっかけのひとつは、2018年に発表された「2025年の崖」※1だと思われますが、それ以前から“半年先、1年先が読めない”という、社会全体の認識があったと思います。コロナ禍が象徴的ですが、人々のライフスタイルや市場ニーズは常に変化し続けています。そのような状況下で本当に求められるアプリケーションを開発するには、従来のウォーターフォール型で長い期間をかけて開発する方法では立ち行かなくなっています。そこで小さく、早く開発して市場のフィードバックを得ながら徐々に改良・完成させる、アジャイル開発がますます必要となってきたのです。

西谷
企業や組織のアジリティ向上に適したソフトウェア・プラットフォームの開発を担当している西谷です。杉原さんの言うように、世の中の不確実性が高まっているいま、企業や組織には変化に対応できる能力が必要とされ、システムそのものも、より柔軟なものにモダナイズすることが望まれています。そのためには、レガシーシステムに代わって、クラウドを前提としたシステム構築や、さまざまな機能を細かく切り分けて柔軟性を高めるマイクロサービスなどのアーキテクチャーが今後の主流になると考えます。2025年の崖では、レガシーをそのまま使い続けると、その保守費用が企業の大きな負担になることも示唆されています。

※1 経済産業省が公表した2018年の「DXレポート」で示された概念で、老朽化・複雑化した情報システムを運用し続けると、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされる

画像: アジャイル開発が求められる背景

アジャイル開発が求められる背景

アジャイル開発とレガシーの刷新を困難にする要因

杉原
お客さまがアジャイルを導入する際、それを困難にする3つの要因として「組織」「スキル」「経験値」が挙げられます。まず「組織」に関してですが、アジャイル開発は短い期間で開発・検証・改良を繰り返すため、意思決定のスピードも速くなります。従来のウォーターフォールのように、長期的な計画を立て、承認を得てから開発を進めるという形式とは異なるため、組織内にアジャイル開発に適したルールが整備されていない場合もあります。次の「スキル」については、アジャイル開発を導入したくても、そのスキルを持った人財がいない、もしくは少ないということがあります。そして「経験値」に関しては、アジャイルに関する実務の経験がないケースが多いことが挙げられます。これらの問題を解決するために、アジャイル開発コンサルティングサービスが生まれました。お客さまに寄り添う形で、私たちアジャイルコーチがスクラムチーム※2に入り、組織改革やスキル・経験値習得を支援します。コーチは、アジャイルに関する豊富な経験と知識を生かして、チームの現状やスキルを見きわめ、チームにとって最適なフレームワーク(ロールの構成・会議体の設定・プロセス推進方法など)を常に提案し、プロジェクト状況に応じて柔軟に改善・変更していきます。メンバーは、実際のアジャイル開発を進めながら、コーチの持つ経験や知識をリアルな手本とし、取り入れていくということを繰り返すことで、速いスピードで吸収することができます。

西谷
従来の基幹システムは、そもそも重要な役割を果たすからこそ故障や遅延などに強いモノリシックな構造になっています。特に、エアチケットの予約・購入や、銀行口座の入出金といったトランザクションに関して大きく貢献してきました。しかし、アジャイルに適応するためには、どうにかしてこれらを刷新していく必要があります。その解決策のひとつとして、マイクロサービスの適用が注目されています。しかしマイクロサービスの場合、例えば経理サービス、お客さまサービスなどの責務境界によって業務アプリケーションとデータベースを分割するのですが、このデータベースの分散化によってデータ更新の際に矛盾が発生するリスクが高まります。さらにこの矛盾の発生を防止し、整合性を確保しようとするとシステム自体が複雑になってしまいます。従来のITシステムをいかにアジリティの高い領域にモダナイズできるかという課題解決のために、いま開発を推進しているテクノロジーを私たちはPaxos Commitと呼んでいます。

※2 短期間の開発周期で開発を進めるアジャイル開発手法のひとつである「スクラム」を実行するための数人から10人程度のチーム

日立のアジャイル開発コンサルティングサービスとは
そしてPaxos Commitとは

杉原
日立のアジャイル開発コンサルティングサービスは、先ほどの3つの阻害要因に対し、それぞれのアプローチでお客さまのアジャイル開発の導入・定着をスムーズに実現します。このサービスは、長年にわたってウォーターフォール型での開発を数多く手がけてきた日立が、自らアジャイル開発へのシフトに取り組んだ実際の経験と知見が生かされています。

西谷
Paxos Commitは、マイクロサービス/クラウドネイティブな業務更新処理を実現するため複雑になるトランザクション制御のアルゴリズムを、特別な知識を必要とせずより簡単に扱えるテクノロジーです。既存の分散トランザクション技術に、分散合意(Paxos アルゴリズムなど)と呼ばれるテクノロジーを適用し、クラウドで問題になりやすい通信の分断や故障に対して耐性を得た、世界でも類を見ないユニークな技術です。この発想の起点は、メインフレーム関連に長年取り組んできた日立の知見を"マイクロサービス・クラウドネイティブ技術に"応用できるのではないか、と考えたところにあります。開発のねらいは2つ。1つ目はレガシーシステムの刷新を促すことで、レガシー領域の保守費を低減させ、杉原さんたちも取り組んでいる、お客さまのDX推進を加速することです。そして2つ目はDX領域でも難しいとされる分散トランザクションをより簡単に扱えるようにすることで、分散トランザクションが必要な更新系システム(SoR型/準基幹系など)においても、変化に即応できるアジリティを実現できることです。これによって、杉原さんたちが進めるアジャイル開発を日立が得意としているSoR型/準基幹系等のITシステム開発でも適用できるようにします。

「【第3回 後編】アジャイル開発コンサルティングとレガシーシステム刷新のための新技術に込められたお客さまへの思い」はこちら>

画像1: クラウド&DXオファリング
【第3回 前編】アプリケーション開発のアジリティを高めるアジャイル開発と、マイクロサービスを最前線で支援

杉原 優子

株式会社 日立製作所
デジタルエンジニアリングビジネスユニット
アプリケーションサービス事業部
GLJapanビジネス推進本部 プロジェクト推進部 主任技師

●山口県生まれ ●大学では社会学を専攻●2008年 日立製作所入社、生産技術本部に配属 ●2009年までプログラム自動生成ツールの開発に従事 ●2009年から2018年まで日立の開発方法論HIPACEの整備を手がける ●2013年に日立の米国子会社の開発方法論調査のため渡米 ●2019年から2021年にかけてアジャイル関連サービスの企画と立ち上げに取り組み、アジャイル教育講師・コーチとして活動するとともに、アジャイル導入に合わせた社内制度整備のコンサルティングも手がける ●2022年よりGLJapanビジネス推進本部に席を置き、GlobalLogic※3とともに組織の立ち上げや顧客協創活動に従事、現在に至る

※3 2021年に日立グループに参入した、世界規模で先進的なデジタルエンジニアリングサービスを展開する企業

◎配偶者、二人のお子さんと暮らす、共働きのワーキングマザー。趣味は語学、幼児英語教育、キャンプ、読書、お子さんのポートレート撮影。最近の興味はDE&I(多様性を受け入れ、公平性を確保し、インクルーシブな思考を促進する活動)で、これに基づく社内活動にも参加している

画像2: クラウド&DXオファリング
【第3回 前編】アプリケーション開発のアジリティを高めるアジャイル開発と、マイクロサービスを最前線で支援

西谷 淳平

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
デジタルプラットフォーム事業部
ミドルウェア本部 技師

●秋田県生まれ東京育ち ●学生時代は情報工学を専攻 ●2007年に日立製作所入社、アプリケーションサーバーのCosminexusを担当 ●2018年 クラウドネイティブの先行調査のためクラウドビジネス推進センターに異動、クラウドマイグレーションの企画も手がける ●2021年マイクロサービストランザクションの検討・システム開発に着手、現在に至る

◎趣味は、学生時代からのテニス、そのほかにウエイトリフティング、マラソンを続けている。家族との時間を大切にするために趣味は早朝か夜に楽しんでいる。家族構成は、配偶者、お子さん二人とご両親。自分に性格が似ている長男が「このまま行くと、将来は日立に入社するかも」という妄想を抱き、ひそかな楽しみに。お客さまのため、開発チームのために、志向や意見の多様性を意識し、あえて“あまのじゃく”になることを自分に課している

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