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日本政府は2050年にCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目標として掲げています。それに伴い、多くの企業では工場やオフィスにおけるCO2排出量削減に取り組んでいます。しかし、従業員が通勤に使用する自動車については、個人の所有物であり、その領域までCO2削減の手を広げるのは難しいというのが一般的な認識です。そこで、日立製作所大みか事業所では、通勤車のEV化と職場充電によるCO2排出量削減に向けた実証実験を行いました。

第7回 「次世代EV充電器規格『CHAdeMO3』実証サイト構築」はこちら>>
第8回 「排水処理設備における運用高度化」はこちら>>
第9回 「EV車載バッテリの再利用でめざす循環モデル構築」はこちら>>

通勤車のEV化と職場充電によるカーボンニュートラル達成に向けた施策

画像: 大みかグリーンネットワーク
第10回:EV導入/脱炭素を促進する職場充電・エネルギーマネジメントシステムに関する実証実験

株式会社 日立製作所
制御プラットフォーム統括本部
サービス・制御プラットフォームシステム本部
GX事業推進部
岩上 奏子

日立製作所は、2050年度までのバリューチェーンを通じたカーボンニュートラルの達成や、2030年度までの2010年度比CO2排出量50%削減を目標にしています。さらに大みか事業所では、2024年度のカーボンニュートラル達成を目標に掲げており、急速な対応が求められています。

一方、政府の戦略目標として、2035年までに新車販売される乗用車のすべてをEVにするという目標もあります。そこで大みか事業所では、従業員の通勤車をEVに置き換えて職場に設置した充放電器と充放電制御を組み合わせたサービスを構想し、2024年1月から2月までの2か月間、実証実験を行いました。

実証環境は、EVに対して充放電を行う充放電器、複数の充放電器を制御する群管理システム、EVで構成しました。サービスコンセプトとしては、納入先の既設EMS(エネルギーマネジメントシステム)やPV(ソーラーパネル)との連携も目指しています。

画像: サービスコンセプト概要

サービスコンセプト概要

導入により得られる効果はいくつかあります。1つ目はカーボンニュートラルの促進で、通勤車両のEV化やPVの導入を促します。2つ目はガソリン代と電気代の価格差による通勤費削減や、建屋デマンドと連携した充放電制御による電力コストの削減です。そして、3つ目として、災害など有事の際に早期に事業を復旧させること(BCP)への貢献があります。

画像: 3つの効果について

3つの効果について

職場充電はEV導入の障壁を下げる

「職場充電はEV導入の障壁を下げることができる」と述べるのは、実証実験に参画した岩上奏子です。一般的に、EVを購入しようとしても充電設備が少ない等のインフラ整備の遅れや、自宅に充電設備がない等の事情が、EV導入の足かせになっていますが、本サービスでは、職場に充電設備を設置して勤務中に充電するため、自宅での充電が基本的に必要ありません。

企業側のメリットは、従業員へ支給しているガソリン代に比べEV充電の電気代の方が安価なことや、Scope3のカテゴリ7に分類される通勤車両のCO2排出量の削減を進められることです。Scope3はScope1,2と比較すると企業が取り組みづらい区分であり、その中でも従業員の通勤車両という個人の資産が関係するものへの取り組みはさらに難しいのが実情です。そういった問題解決のハードルを下げるという点や、ピークカットによる電気代削減、災害・非常時の際にバックアップ電源として活用できることも企業側のメリットとなり、このサービスは大きな価値を持っていると言えます。

実機とシミュレーションの組み合わせによる検証

実証実験の目的は大きく2つありました。1つ目は充放電器を群管理システムに接続し、充放電制御を実際にやってみること、2つ目は大みか事業所のデマンド実績データと連携した充放電により得られる経済価値をシミュレーションすることです。

実証実験では、EVと充放電器、可動式蓄電池を使用しました。実機が足りない部分についてはシミュレーションを組み合わせています。シミュレーターを用いて実際の台数以上に充放電器が稼働している環境を模擬して実証を行いました。

画像: EV、充放電器、群管理システム接続の様子

EV、充放電器、群管理システム接続の様子

シミュレーションの結果、ガソリン代と電気代の価格差、EVの走行距離による経済的メリットに加えて、建屋デマンドと連携したピークカットによる経済的メリットも確認することが出来ました。

今後に向けて

このシステムの顧客として、自治体や銀行、工場など幅広い業種に適用可能と想定していますが、サービスコンセプトを踏まえると経済的な価値だけではなく、カーボンニュートラルへの取り組みやBCPへの対応等を含めて環境価値、地域レジリエンス強化といった価値を感じて頂ける顧客を開拓していくことが大切だと考えます。

このサービスを通して脱炭素社会への第一歩を、そして地域内で再生可能エネルギーを融通できる社会をめざしていく所存です。これは、「大みかグリーンネットワーク」全体でめざすビジョンと一致するものです。

画像: 今後に向けて

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