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世界経済フォーラム(WEF)が第4次産業革命をリードする先進的な工場を指定する取り組み「Lighthouse」に、日立の大みか事業所が日本企業として初めて(※1)選出されました。より快適で便利な社会生活の実現と、SDGsに代表される社会課題を解決するため、社会インフラ情報制御システムの安定供給と安定稼働を支える「バリューチェーン全体最適化」が評価されたものです。本特集では、世界のモノづくりを次世代に進めるLighthouseの意義と、大みか事業所の評価ポイントとなった5つの取り組みを詳しくご紹介していきます。
※1 2020年1月時点

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世界の先進工場「Lighthouse」とは

 WEFは、経済・政治・学究などのリーダーたちが連携することで、世界の課題を解決することをめざしたグローバルな非営利団体です。毎年1月にスイスのダボスで開催する「ダボス会議」を主催していることで有名で、世界約1,000の企業や団体が組織の運営を支えています。

 そのWEFが2018年から進めているのが、第4次産業革命をリードする先進的な工場を指定してデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援する「Lighthouse(灯台=指針)」という取り組みです。

 いまグローバルな製造業の70%以上が、先進的な製造技術の導入に向けたパイロットフェーズからの脱却を模索しているといわれています。日本でもスマートファクトリーやIoTに取り組む企業の多くがPoCのフェーズからなかなか脱却できない問題が指摘されていますが、それと同様、製造業がDXに向けた大きな壁を乗り越えるため、世界の中でも特に先進的な工場の取り組みを共有し合い、その手法やベストプラクティスを指針とすることで、世界の製造業の底上げをめざすことを目的としています。

 Lighthouseに選出された工場で構成されるコミュニティーは「Global Lighthouse Network」と呼ばれており、現在(2021年3月)までに世界で69工場が選出されています。選出にあたっては、世界1,000以上の工場を対象に、生産性向上だけでなく、事業の持続可能性、社会・環境インパクト、人財育成・働き方といった幅広い観点で評価されます(図1)。

画像: 図1 「Lighthouse」選出工場 WEF_GLN_2021_Reimagining_Operations_for_Growth.pdf (weforum.org)

図1 「Lighthouse」選出工場

WEF_GLN_2021_Reimagining_Operations_for_Growth.pdf (weforum.org)

日本企業として初となる、大みか事業所の選出

 日立の大みか事業所(茨城県日立市大みか町)は、1969年の操業開始以来、発電・送配電システム、鉄道運行管理システム、上下水道設備の運転・維持管理システム、工場や製鉄所の生産システムなど、重要社会インフラや産業分野向けに「情報制御システム」を提供し、ハードウェア/ソフトウェアの設計・開発から製造、システム全体の運用保守までを一貫して担ってきました。

 情報制御システムは、人々の社会生活を支えるインフラ設備を24時間365日にわたり監視・制御するため、高い信頼性の確保に加え、長期にわたって稼働し続けるための保守性や拡張性が必要とされます。

 そのうえで、各種設備に合った操業条件に応じた多種多様なニーズと、社会コスト低減に向けた大量生産並みの生産性を両立させるため、大みか事業所は早くからIoTやデータ分析ノウハウを駆使したマスカスタマイゼーションを追求。現場における日常的な改善活動を進めてきました。

 同時に、大みか事業所はOT/IT/プロダクトを融合した日立のLumada(※2)ソリューションの実践工場として、各分野の技術やノウハウを結集させ、さまざまな社会課題の解決や、新たなビジネスの創出にも積極的に取り組んでいます。

 こうした取り組みがトータルに評価され、2020年1月にWEFから世界の先進工場Lighthouseに、日本企業として初めて選出されたのです。

※2 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称

Lighthouse工場としての5つの取り組み

 大みか事業所は、情報制御システムの開発・製造・品質保証から保守までの一貫体制を構築し、バリューチェーン全体の最適化を志向しています。その中でも、Lighthouse選出時にWEFに訴求した特徴的な取り組みとしては、大きく5つのポイントが挙げられます。

 第1のポイントは、ハードウェアの設計・製造において現場の4M(※3)データを活用し、生産リードタイムの短縮などを実現した「高効率生産モデル」の確立です。

 第2のポイントは、ソフトウェアの設計・開発フェーズでの「自律分散フレームワーク」によるシステムの高信頼性・拡張性の実現。

 第3のポイントは、実稼働中の環境では実施できないシステム試験をシミュレーション環境で実施する「総合システムシミュレーション環境」の活用による徹底した品質管理。

 第4のポイントは、お客さまのシステム運用・保守を支援する「サイバー防衛訓練検証設備」や「安定稼働サービス」による全体最適化・高度化の取り組みです。

 そして第5のポイントが、EMS・生産計画連動による電力ピークシフト(省エネ)や、太陽光・蓄電池の自立運転によるBCP強化で、スマートなエコファクトリーを実現する「環境エネルギーマネジメント」です。

 大みか事業所では、ハードウェア設計・製造/ソフトウェア設計・開発/システム試験/システム運用・保守支援/工場ユーティリティといったバリューチェーン全体で、IoT技術や現場データ分析ノウハウを駆使したデジタルソリューションを駆使し、工場の全体最適化と高度化を実現しています(図2)。なお、それぞれの取り組み内容については、次ページ以降で詳しく紹介していきます。

※3 huMan(人)/ Machine(設備)/ Material(モノ)/ Method(方法)

画像: 図2 Lighthouse工場としての取り組み

図2 Lighthouse工場としての取り組み

日本の製造業の底上げに向けた貢献を

 日立は、大みか事業所がLighthouse工場に選出されたことを大きな名誉と受け止めています。また同時に、今後はGlobal Lighthouse Networkの一員として、第4次産業革命をけん引していく責務を担い、日本の製造業の底上げに向けた、さまざまな貢献を果たしていくことにも力を注いでいきたいと考えています。

 大みか事業所は今後も、長年にわたって蓄積してきたスキルやナレッジを、お客さまやパートナーと幅広く共有するとともに、さまざまな協創による課題解決を通じて、持続可能な社会の実現とSDGsの達成に貢献していきます。

第2回 「4M視点のデータ活用で実現する『高効率生産モデル』」はこちら>>

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