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さまざまな製造業の根幹を支えるサプライチェーンのアジリティを高め、レジリエンスを強化し、ESG経営などの新しい概念にも合致した、より総合的なマネジメントを実現するTWX-21 SCPF。その役割はさまざまな企業が協調し、新しい製造業の未来を創造していくという領域にまで広がっています。次世代のモノづくりに向けたダイナミックサプライチェーンマネジメント実現への構想を、プロジェクトリーダーの川崎 佳代子と、新サービスの検討を行う上原 朋子が語ります。

「【第7回 前編】より確かなデータ収集・利活用の実現で、お客さまのDXをサポートする」はこちら>
「【第7回 後編】より長期的な視野で、お客さまの成長や革新を支え続けるHIPF。そこに込められた思い」はこちら>
「【第8回 前編】時代のサプライチェーンマネジメントを支え続けるTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)を開発する」はこちら>

サプライチェーンマネジメントのインフラとなる、TWX-21 SCPF

画像1: クラウド&DXオファリング
【第8回 後編】製造業の未来を、お客さまとともに創造するためのプラットフォーム、TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)

川崎
TWX-21は、日立が製造業者として鉄道や電力、通信などインフラ系の設備・機器から、家電、材料まで、さまざまな製造形態のモノづくりを行う中で培った知見とノウハウを結集し、進化を続けています。最近では調達購買の枠を越え、市場需要をもとに販売計画・生産計画・在庫・調達計画をシミュレーションするサプライチェーン最適化サービス、契約管理を行うSource to Contractサービスなど、さまざまなサービス群がそろえられています。それらサービスとサービス上で発生するビジネスデータを統合して、お客さまの事業運営上で必須となるインフラとしての役割を果たすサービスの提供をめざし、SCPFの開発が立ち上がりました。このサービスは、平時にはESG経営などのコンセプトに合致したサプライチェーン運用の効率化を図ることができ、非常時には、直面する事態に即応し、生産を止めないためのレジリエンス力を発揮します。このSCPFの構想について、上原さんが紹介します。

画像2: クラウド&DXオファリング
【第8回 後編】製造業の未来を、お客さまとともに創造するためのプラットフォーム、TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)

上原
TWX-21 SCPFのベースは、85,000社以上のお客さまから収集される膨大なデータです。そこから今後4つのサービスを展開していく予定です。最初が「サプライヤー管理サービス」で、TierNを含むサプライヤーの企業トラスト情報を一元化し、企業の内的要因による自社サプライチェーンへの影響を管理します。このサービスでは、CSR調達の実現やサプライヤー情報収集にかかる業務効率化・品質向上といった価値を提供することができます。次が「サプライチェーンリスク可視化サービス」。TierNにまたがるサプライチェーン情報、災害や地政学的なリスクなどの外的リスク情報から、自社のサプライチェーンへの影響を早期に検知し、事業影響を最小化します。私たちはこの2つを“サプライチェーン高度化サービス”と位置づけています。そして残り2つが“サプライチェーン最適化サービス”です。まず「バリューチェーン最適化サービス」があります。このサービスでは、TierNにまたがるサプライチェーン上の計画・実行情報を収集し、計画最適化シミュレーションと需給調整を支援します。そして最後が「サプライチェーンコミュニティサービス」。これまでの3つのサービスを介して蓄積されたデータをSCPFのユーザー間で共有し、企業をまたぐオープンコミュニティをつくろうという大きな構想です。このサービスで、ビジネスマッチングやサプライヤーソーシングを実現することで、フレキシブルで適切なサプライチェーンの構築を支援することができると考えています。この構想が実現されることは、競争から共生へ、という新しい製造業のあり方を示すものになるでしょう。

SCPFというTWX-21の新たな価値を、お客さまとともにつくる

川崎
さまざまな立場でTWX-21に関わってきましたが“一人では何もできない”といつも思っています。これまでも同じ部署や他部署の人たち、社外の人たち、そして何よりも、多くのお客さまに助けていただいて、いまの私がいます。TWX-21自体も同じで、お客さまの声を聞きながらエンハンス、成長を続けてきた歴史があり、今後もその姿勢は変わらないでしょう。実は、今年3年ぶりとなるリアルでのTWX-21ユーザー連絡会を開催します。今回で33回目になりますが、この3年間はオンライン開催でしたので、直接お客さまにお会いできることをとても楽しみにしています。その場で、このSCPFを紹介してお客さまの感じたことを聞きたいと思っています。そして現在のプロジェクトチームについてひと言。いま、プロジェクトリーダーとして取り組んでいますが、上原さんをはじめとする、バックグラウンドの異なるメンバーが集まっており、私のこれまでの経験からは見えなかった、まったく異なる視点での意見を言ってくれます。日々、気づきのあるすばらしいチームに恵まれたと感謝しています。

上原
以前の部署でサプライチェーンマネジメントの業務改善コンサルティングを担当していたころは、お客さまの工場に直接出向いて、詳細に実態を観察し、疑問点に関してはより深く聞き取りをしていました。そこから、いま何が必要かを分析し、提案を行っていたのですが、その経験は、SCPFの要件定義にも役立っていると思います。川崎さんからも目の前の課題に対してその背景まで踏み込んで考えることの大切さを伝えていただき、それを実践しています。そのような姿勢を、いま現在アプローチしているお客さまにも認めていただけたからか、私たちが出した資料に関しての率直なご意見をいただけますし、「このプラットフォームの機能はどうだろう」といった議論を一緒に重ねながら開発を進めています。さらに今後もいろいろなお客さまのところに出向きたいと思っています。また、チーム内では、システムのデータ構造もそうですが、お客さまへの価値が1つのサービスとして集約されているか、というところも、さまざまな担当者としっかりと確認し合いながら進めています。

画像: TWX-21 SCPFのサービス概要

TWX-21 SCPFのサービス概要

めざしていること、未来への夢

川崎
先ほどのSCPFのサービスの4つ目となる、サプライチェーンコミュニティは、今回の開発以前から思い描いていた世界でした。『企業が自社の利益を追求するだけでなく、他社と協調して社会の全体的な底上げを図っていけるような、新しい仕組みをつくりたい』とずっと考えていました。その足がかりになるプロジェクトに携われることが、とてもうれしいです。まださまざまな内容を検討している段階なのですが、このコミュニティの中でのCO2排出量や環境情報のやりとりなど、夢と可能性は大きく広がっています。実現するためにはいろいろな問題を解決していく必要がありますが、新たな製造業の未来、そして新しい社会をつくることに少しでも貢献できたらと思っています。

上原
1つは、いま開発中のSCPFを無事にお客さまにお届けして、従来の課題を解決するところを見届け、お客さまから「導入して本当によかった」という声を聞くことです。もう1つは、将来、サプライチェーンのスペシャリストとして頼られる人になりたいということ。お客さまからの信頼はもちろんですが、日立社内の人たちからも「サプライチェーンのことだったら上原さんだよね」と言ってもらえる技術者になりたいです。そのためには、いろいろな人と相互に信頼し合える関係を築くこと、さまざまな能力を持ったいろいろな人財を巻き込むことができる、人としての魅力を磨いていくことが必要だと思っています。

関連リンク

「【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす」はこちら>

画像3: クラウド&DXオファリング
【第8回 後編】製造業の未来を、お客さまとともに創造するためのプラットフォーム、TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)

川崎 佳代子

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部 デジタルサービス本部
デジタルサービス第1部 企画・パートナー事業推進G
主任技師

●1989年、埼玉県所沢市生まれ ●大学では教育学を専攻、興味のあった南米(アルゼンチン)へ留学 ●南米留学中、貧困格差とインフラ格差の関連について考え、ITと企業活動による地域発展に興味を持つ ●2011年、日立製作所入社、産業・流通事業部に配属、TWX-21の 国内EDIサービスの拡販・導入を担当 ●2013年、業務実習として調達部門(現VI本)において、サプライヤーデータベースの企画検討、日立グループのEC高度化施策検討・実施を担当 ●2014年、TWX-21 Web-EDI Globalサービスの拡販・導入を担当 ●2017年、HCCN上海へ出向、中国の日系企業向けにTWX-21の拡販・導入を担当 ●2019年、事業移管にともないHSCNへ異動 ●2020年、日本へ帰国しマネージドサービス事業部のTWX-21企画にて事業企画、新サービスの検討を担当 ●2023年よりTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム構築プロジェクトのリーダーとしてプロジェクトを推進、現在に至る

◎趣味は、海外旅行と読書。特に南米は留学中、友人とともにバックパックで各国を巡った。現在も夏休みなどを利用して旅行を楽しむ。読書は、知らない事実を発見できる歴史小説などをよく読む。

画像4: クラウド&DXオファリング
【第8回 後編】製造業の未来を、お客さまとともに創造するためのプラットフォーム、TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)

上原 朋子

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部 デジタルサービス本部
デジタルサービス第1部 企画・パートナー事業推進G

●1995年、神奈川県横浜市生まれ ●中学・高校時代は、バイオリン奏者として弦楽合奏部とオーケストラ部に所属 ●大学は情報工学を専攻、ウェアラブルデバイス・システムの開発を主軸にする研究室で、居眠り運転を防止するデバイスの開発に関する卒論を執筆 ●大学では天文部に所属し、プラネタリウム制作に打ち込む ●2018年、日立製作所入社、日立クラウド型設計業務支援サービスの基盤構築・運用を担当 ●2020年、日立の神奈川工場での生産改善事例をベースとしたSCM業務改善コンサルティングを担当。お客さまの工場を訪問し、サプライチェーンのプロセスにおける業務課題を抽出し、改善策を立案(提案ソリューションは画像AI、AI-OCR、品質分析など) ●2023年、TWX-21の新サービス サプライチェーンプラットフォーム構築プロジェクトに参画し、アプリケーション要件定義に従事、現在に至る

◎趣味は旅行、カラオケ、漫画など。配偶者と休日に新しい土地を回りながらおいしいお店を探すのが楽しみ。

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