Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
統合報告書やサステナビリティレポート、有価証券報告書など、日立の情報開示業務を支えるために開発されたAIエージェント。実務の中で磨かれ、日立の専門知が凝縮されたこのエージェントを、今度はお客さまにも提供していきます。コーポレート部門が横断的に活用できるこのAIエージェントは、業務にどのような変化をもたらすのでしょうか。「コーポレート部門向けAIエージェント」開発プロジェクトのメンバーと、PoCに参加したIR部門の皆さんに話を聞きました。

前編はこちら>

企業としての一貫性と部門ごとの使い勝手を両立

——コーポレート部門向けAIエージェントには、どのような機能やサービスが用意されていますか?

根橋
現時点でのメニューは、「統合報告書のドラフト生成」、「有価証券報告書ドラフト生成」、「サステナビリティレポートのドラフト生成」、「取引先ニュースチェック」、「自社風評調査」、「汎用アシスタント」などですが、今後さらに「ガイドライン準拠評価」、「想定Q&Aの生成」、「図版のデザイン・修正」などの機能を追加予定です。

画像: 企業としての一貫性と部門ごとの使い勝手を両立

——開発を進める中で苦労した部分や、特に配慮された点について教えてください。

黒木
IR本部をはじめとする各コーポレート部門から寄せられる多様な要件に対し、それぞれをどのような手法で実装するのが最適かを、一つひとつ丁寧に整理していきました。

たとえば統合報告書の文章では、全体として表現の方向性を一貫させることが求められる一方、幹部メッセージのページとデータ紹介のページとでは、文字数はもとより、文章のトーンやフォーマットなど、守るべき表現ルールが異なります。

そこで、内容ごとに調整が必要なプロンプト要素はユーザーレイヤーとして切り出し、利用者が柔軟に変更できるようにしました。一方で、共通的で変更の必要がない要素については内部レイヤーに組み込み、企業として一定の品質を担保できる設計としています。さらに、「このパートではこうした観点の情報が必要」といった内容面の要件については、プロンプトに応じてエージェントがRAGにより社内外の情報を参照する仕組みを採用しました。

このように、要件ごとに実現アプローチを切り分けることで、コーポレート部門が横断的に利用する際にも、企業としての整合性と、適材適所の柔軟性を両立できるようにしています。

市場との質の高い対話を支えるパートナー

——このAIエージェントは、IR本部の業務にどのような効果をもたらしましたか。

伊藤
今回のPoCを通じて、本AIエージェントに対し、過去数年分の統合報告書やサステナビリティレポート、決算説明会資料などを事前に学習させることで、過去の開示内容と整合性の取れたメッセージ案を自動生成できるようになりました。

その結果、ストーリーラインの一貫性を保ちつつ、質の高いドラフトを迅速に作成できるようになり、統合報告書のライティングにおける生産性は劇的に向上しました。もちろん、最終的な原稿として完成させるためには担当者による推敲や磨き上げが不可欠ですが、その前段となるドラフトの精度と作成速度が大幅に改善した点は、大きな価値と言えます。

これまで時間を要していた投資家面談サマリーも、AIエージェントを活用することで、瞬時に生成されるようになりました。サービス名称や幹部の氏名といった固有名詞も、正確に書き起こされています。加えて、「週次で要約する」「700文字以内でまとめる」といった条件指定にも、きちんと応えてくれます。実際に他のサービスでも試してみたことがありますが、こうした条件を守り切れないケースもありました。ルールや指定を順守できなければ人手による書き直しが発生し、実務での本格的な活用は難しくなります。

今回のエージェントの出力の最終的な確認はもちろん人が行いますが、その作業時間は大幅に短縮できていますし、これの横展開でその他の議事録や和英での対応を考えると、その時間削減効果は非常に大きいと言えます。

画像: 市場との質の高い対話を支えるパートナー

川村
私たちIR本部の役割は、市場との対話を通じて企業価値を高めることです。このAIエージェントは、ドラフト作成や情報収集の支援を通じて、そのために必要な分析や議論を、正確な情報にもとづいて丁寧に行える環境を整えてくれる、心強いパートナーだと感じています。

日立の情報開示業務のベストプラクティスをお客さまに

——コーポレート部門向けAIエージェントは、これからお客さまへの提供を行っていくと伺いました。

玉山
AIエージェントというと、効率化や多彩な分析機能に目が向きがちですが、このエージェントにはそれだけでなく、日立のコーポレート部門が長年蓄積してきた情報開示業務のベストプラクティスも組み込まれています。導入いただくことで、日立が培ってきた情報開示業務のプロセスやルールを、お客さまは自社の業務に取り入れることができ、結果として質の高い情報開示の実現につながると考えています。

さらに、このAIエージェントは各コーポレート部門の情報のハブとしても機能し、それぞれの知見の還流・融合を促します。その結果、企業としてのメッセージの一貫性が高まると同時に、コーポレート部門全体における視点の拡大にもつながると見ています。

縫島
日立では、お客さまに安心して導入いただけるよう、3ステップで構成された導入サービスを用意しています。

ステップ1では、お客さまからお預かりした資料をコーポレート部門向けAIエージェントに取り込み、そのアウトプットをご確認いただきます。ステップ2では、日立が用意した環境にお客さまの環境を接続し、さらに知識DBにはお客さまデータを格納したうえで、実際にエージェントの動作を体験していただきます。さらにステップ3では、PoCとして実運用の基盤上で、日立のエンジニアがお客さまの要件に基づき検証・チューニングを行い、実務での運用をめざしていきます。

画像: 日立の情報開示業務のベストプラクティスをお客さまに

根橋
日立は、Physical AIソリューションの開発・導入を加速するためのAI Factoryを構築することを発表しており、現在豊富なドメインナレッジを生かし、高度に自律化したAI、いわゆる“Agentic AI”の開発およびグループ全体への普及に取り組んでいます。そして各部門での活用を通してその精度を磨き上げ、市場に提供していくことで多様な社会課題の解決につなげようとしています。このコーポレート部門向けAIエージェントもそのひとつです。

一方で私たちは、このAIエージェントにはまだ大きな成長の余地があると考えています。たとえば有価証券報告書の作成ひとつとっても、実際には「スケジュールの立案」「方針策定」「財務データの取り込み」「開示支援システムとの連携」など、今回の検証ではカバーしきれていない作業が多数存在しています。これらの関連作業を含めた業務プロセス全体を一気通貫で支援できるAIエージェントが実現すれば、開示の早期化や品質の向上が期待でき、企業の持続可能性も一段と高まるでしょう。そして、そうした高度な情報開示を実践する企業が増えることは、より良い社会の実現にもつながると考えています。

私たちは今後もお客さまのニーズに耳を傾けながら、このコーポレート部門向けAIエージェントを成長させていきたいと思います。

「AIフロントランナー」はこちら>

画像6: AI活用のフロントランナー
【第13回】情報開示業務が変わる!コーポレート部門向けAIエージェント(後編)

根橋 いぶき(ねはし いぶき)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
マネージド&プラットフォームサービス事業部
フロントエンゲージメント推進本部 販売戦略部

2001年、日立製作所入社。運用管理ソフトウェアの広告宣伝や、ミドルウェア全般の拡販戦略、プロモーションなど一貫して企画業務を担当。2021年より金融担当営業として、損害保険会社を担当する傍ら、翌年より新設されたESG事業部門も兼任し、ESG情報収集サービスの事業立ち上げ、拡販に携わる。2024年より生成AIに纏わる新規ビジネス立上げに従事。

画像7: AI活用のフロントランナー
【第13回】情報開示業務が変わる!コーポレート部門向けAIエージェント(後編)

縫島 環(ぬいじま たまき)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
マネージド&プラットフォームサービス事業部
フロントエンゲージメント推進本部 販売戦略部

2011年、日立製作所へ入社。ビジネスパートナー向けの拡販施策や新規パートナー開拓など、パートナービジネス領域での「クラウド」「サービス」事業拡大の企画・販売に長く携わる。2025年より現部署にて、生成AIにまつわる新規ビジネス立ち上げに従事。

画像8: AI活用のフロントランナー
【第13回】情報開示業務が変わる!コーポレート部門向けAIエージェント(後編)

川村 麻衣子(かわむら まいこ)
株式会社 日立製作所 インベスター・リレーションズ本部
インベスター・リレーションズ部
Global Investor Engagement

2006年、日立製作所入社。HRとして事業所勤労や海外出向者オペレーション運用、全社HRコミュニケーションなど人財分野のさまざまな領域を経て、2023年IR本部に異動。以来、統合報告書およびESG分野での投資家対応などに従事。

画像9: AI活用のフロントランナー
【第13回】情報開示業務が変わる!コーポレート部門向けAIエージェント(後編)

伊藤 千聖(いとう ちさと)
株式会社 日立製作所 インベスター・リレーションズ本部
インベスター・リレーションズ部
Global Investor Engagement

2023年、日立製作所に経験者採用で入社。前職では、IR、広報、宣伝、サステナビリティなどコーポレートコミュニケーション全般を幅広く担当してきたが、IR領域で専門性を深めたいとの思いから、IR活動に定評のある日立への転職を決意。入社後は、統合報告書やESG業務を担当し、現在はDSS担当としてIR実務に従事。

画像10: AI活用のフロントランナー
【第13回】情報開示業務が変わる!コーポレート部門向けAIエージェント(後編)

玉山 尚太朗(たまやま しょうたろう)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
Data & Design Design Studio Lead Creative Technologist

1996年、日立製作所入社。鉄道などの公共サービス、情報機器や医療機器などのプロフェッショナル向け製品のヒューマンインタフェースデザインを担当。2018年から、先行的なインタラクション研究に従事。2022年に、JEITA HID専門委員会の委員長として、AIとインタラクションをテーマに活動を牽引。2023年、Design Studio の Lead Creative Technologist としてTeamQに参加し、デジタルサービスのUX/UIデザインやデジタルプロトタイピングをリードしている。

画像11: AI活用のフロントランナー
【第13回】情報開示業務が変わる!コーポレート部門向けAIエージェント(後編)

黒木 洋平(くろき ようへい)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
Data & Design Design Studio Creative Technologist

2008年、日立製作所入社。コラボレーションソフトウェアの開発や導入支援、クラウド設計、IoTシステムの開発などを経験した後、AIを活用した組織活性度分析、物流配達員の行動分析をはじめとするさまざまなデータ分析に従事。2022年よりTeamQに参加。生成AI、IoT、クラウド、ゲームエンジンなどの知見を生かし、さまざまなプロトタイプ開発や体験型デモの実現に携わる。

This article is a sponsored article by
''.