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日立市と日立製作所は、2023年12月「デジタルを活用した次世代未来都市(スマートシティ)計画に向けた包括連携協定」を締結。翌年4月には、次世代未来都市共創プロジェクト(以下、共創プロジェクト)を始動しました。「グリーン産業都市の構築」「デジタル健康・医療・介護の推進」「公共交通のスマート化」という3つのテーマと並行して、実現したい未来の暮らしを市民とともに考える「スマート住宅エリア・市民参加の推進」。全5回のシリーズでお届けする本企画の第5回後編は、日立市 共創プロジェクト推進本部 課長 藤田 敦氏、主幹 赤津 瑠美氏、日立製作所 本谷 拓磨、中村 有沙に、市民参加型で活動を進めていく思いなどを聞きました。

【第5回】2040年の日立市の暮らしを市民とともに考える「スマート住宅エリア・市民参加」(前編)から読む >

市民との接点

―― 「市民参加の推進」として、これまでどのような活動を行ってきたのですか。

中村
市民の皆さんが共創プロジェクトに共感いただき、協力・参加していただくためには、双方向のコミュニケーションを図るための「場」が必要です。その第一歩として、2024年12月に日立市と日立製作所が共同で 共創プロジェクトのホームページ を立ち上げました。ここでは、プロジェクト概要の発信はもちろんのこと、「みんなの声アンケート」 という、皆さんから意見を書き込んでいただける双方向の機能を設けています。さらには「担当レポート」という名前で、市の職員と日立製作所の社員が常駐者ならではの学びや気づきも発信し、親しみやすい場を意識しています。皆さんの声を広くとらえて、活動に生かしたいと思っています。

画像: www.city.hitachi.lg.jp
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また、リアルな場でいうと、春の 「日立さくらまつり」 や秋の 「日立市産業祭」 など、市内外の方が多く集まる市内のイベントに共創プロジェクトの活動を紹介するブースを出展し、アンケートや会話を通じて市民の声をヒアリングしています。さらに2024年7月には、日立駅前に日立製作所の協創プロジェクトルームを開設しました。ここは日立製作所のメンバーが日立市へ出張した際に使うサテライトオフィスの役割だけでなく、今後市民の皆さんとワークショップを行ったり、ステークホルダーの方々と対話を深めたりする場の役割も担っています。

今後の取り組み

―― 「スマート住宅エリア・市民参加の推進」の今後の取り組みについて教えてください。

本谷
私たちとしては、ワークショップで描かれたコンセプトや、ホームページやヒアリングなどを通じて得られた市民の声をもとに、スマート住宅エリアを形にしていきたいと思っています。しかし、コンセプトなどをいきなりまちづくりに反映するのは難しい部分もあるので、まずはその中の一部の未来の暮らしを体感できるような実証実験を行い、皆さんの共感が得られるかを検証したいと考えています。例えば、市民が集まるショッピングセンターの中の展示スペースをお借りして、未来の暮らしを体験できるショーケース的なものを展示し、体験してもらう。また、住民の方に日々の暮らしの中で体験いただけるようなデジタルサービスを、テスト的に提供していこうと考えています。

画像1: 今後の取り組み

藤田氏
共創プロジェクトでは、「未来はいつも みんなの想いから 始まる」というキーメッセージを掲げています。日立市と日立製作所だけでなく、市民の皆さんとともに未来を創りたいという想いを込めたもので、その第一歩としてワークショップなどを通して市民ニーズを取り込み、市民の皆さんと一緒に実証、実装していきたいですね。一人ひとりができることは小さいかもしれないですが、できることはあると思っています。そして、人口減少や少子高齢化などの社会課題がある中、デジタルを活用しながらも「人を中心とする社会」が重要であり、一つひとつの小さな成果を積み重ね、市民の皆さんが安心して暮らせるまちづくりを進めていきます。

画像2: 今後の取り組み

共創だからできること

―― 地域全体を巻き込むまちづくりという活動は、日立製作所だけでは難しいですね。

中村
民間企業である日立製作所単独では、地域で活動するさまざまな団体や学校、市民の皆さんを巻込んで何かを進めるのはハードルが高いのが現状です。やはり信頼性の高い行政との共創であること、そして日立製作所の関係者が多く暮らしているこの土地だからこそ進められるプロジェクトだと思います。例えば、共創プロジェクトのポスターを街なかに掲載いただけないかお願いをする時も、私たちだけでは少し警戒されてしまうのですが、市役所の方が一緒だと反応が全く違います。そんな信頼感や安心感は、多様なステークホルダーの方々と一緒にプロジェクトを進める大きな力になっています。

画像1: 共創だからできること

赤津氏
それは私たち行政側も同じで、ワークショップをする場合でも私たちにはファシリテーションをするノウハウがありませんし、人材もいません。デジタル技術もやはりそうで、日立製作所というパートナーと一緒に取り組むメリットはいつも感じています。

画像2: 共創だからできること

お互いの存在

―― 日立市から見て、日立製作所はどういった存在ですか。

藤田氏
日立市では日立製作所のことを「ニッセイ」と呼び、子どもの頃から日用品の購入は日立製作所の供給所(今のコンビニのようなお店)、通学のバスも病院も日立グループなので、とても特別な存在であり、ごく日常的な親近感のある存在でもあります。

赤津氏
私は県外の大学に行ったのですが、全国から集まっている同級生と出身地の話になると、「日立市ってあの日立(製作所)のまちだよね」と言われて、その時に自分の育ったまちがそう認知されていることにはじめて気がつきました。土地と企業がイコールなほどに近しい存在、それが日立市と日立製作所だと思います。

―― 日立製作所から見て、日立市はどういった存在ですか。

中村
今回の共創プロジェクトは、日立市が日立製作所の創業の地でなければ実現していません。日立市は110年の歴史でつながったパートナー、異なる役割を担いながら同じ志と目標を持って進むパートナーだと思っています。地方創生に取り組むようになってから、「“土”を耕し、“火”を灯す。“水”を流して、“風”を呼び込む」という言葉を知りました。行政は規制や枠組みを整備することで、プロジェクトの基盤となる“土”を耕し、日立製作所のようなパートナーがその土地に“水”を流し、外部からの“風”を呼び込み、そして行政や同じ熱量を持った人たちと“火”を灯していく。この関係性を実現できるのが、今回の共創プロジェクトだと思います。

本谷
地方創生やまちづくりには、多くのステークホルダーの方々との信頼関係が必要です。その関係性づくりがうまくいかず、プロジェクトが停滞してしまうケースも少なくありません。今回のプロジェクトでは、市役所の皆さんがこれまで丁寧に築いてこられた関係性のおかげで、私たちもその信頼を一部お借りするかたちで、このまちのステークホルダーの皆さまと対話を重ね、信頼関係を築いていくことができています。本当に心強い存在です。これからももっと多くの方々を巻き込んで、日立市の未来への大きな流れが作れたらと思います。

「日立市×日立 次世代未来都市共創プロジェクト」の記事一覧はこちら>

画像1: 日立市×日立 次世代未来都市共創プロジェクト
【第5回】2040年の日立市の暮らしを市民とともに考える「スマート住宅エリア・市民参加の推進」(後編)

藤田 敦(ふじた あつし)
日立市
共創プロジェクト推進本部 課長(総務担当)

1998年に日立市役所(旧十王町役場)に入所。納税課、産業振興、財政課、企画部門に携わり、2024年より現職。

画像2: 日立市×日立 次世代未来都市共創プロジェクト
【第5回】2040年の日立市の暮らしを市民とともに考える「スマート住宅エリア・市民参加の推進」(後編)

赤津 瑠美(あかつ るみ)
日立市
共創プロジェクト推進本部 主幹

2015年に日立市役所に入所。成人祝や2019年茨城国体競技会等のイベント企画運営や、市民課での窓口業務に携わり、2025年より現職。

画像3: 日立市×日立 次世代未来都市共創プロジェクト
【第5回】2040年の日立市の暮らしを市民とともに考える「スマート住宅エリア・市民参加の推進」(後編)

本谷 拓磨(もとたに たくま)

株式会社 日立製作所
社会イノベーション事業統括本部
ウェルビーイングソサエティ事業創生本部 ウェルビーイングソサエティ第二部 技師
兼 ひたち協創プロジェクト推進本部 事業創生室 市役所常駐者

2018年日立製作所に入社。流通業や製造業のコンサルティング、地方創生に携わり、2024年より現職。

画像4: 日立市×日立 次世代未来都市共創プロジェクト
【第5回】2040年の日立市の暮らしを市民とともに考える「スマート住宅エリア・市民参加の推進」(後編)

中村 有沙(なかむら ありさ)

株式会社 日立製作所
社会イノベーション事業統括本部
ウェルビーイングソサエティ事業創生本部 ウェルビーイングソサエティ第三部 企画員
兼 ひたち協創プロジェクト推進本部 協創推進室 市役所常駐者

2022年日立製作所に入社。全国の支社と連携した産官学の新規事業創生に携わり、2024年より現職。

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