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日立は、自社内の多様なアセット※1を蓄積、共有、活用するための、Lumada Solution Hub(以下、LSH)をグループ全体で利用しています。その豊富な知見を生かし、お客さまのDX推進に貢献するため、このたび「アセット活用開発支援ソリューション」の提供を開始しました。その概要を、LSHプロダクトマネージャーの斎藤 岳と、開発・運用のテクニカルリードを担当する溝江 彰人、同じく開発・運用に携わる佐山 史織が紹介します。
※1 ユースケース、ソリューション、プロダクトやサービス、そしてシステムアーキテクチャーを含む各種ナレッジ

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DXを加速するために、ますます重要となるアセットの活用

画像1: クラウド&DXオファリング
【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす

斎藤
LSH事業推進センタ長の斎藤です。DXについて私たちもよく議論しますが、その本質は、企業自身がデジタル化に対応していくことだと認識しています。企業がデジタル化を進めていくためのキーポイントのひとつがお客さま自身の持たれているデータを含むアセットの活用だと考えています。アセットとは、ユースケース、ソリューション、プロダクトやサービス、そしてシステムアーキテクチャーまでを含む、さまざまなナレッジを意味します。お客さま自身のアセットを「うまく」活用していくためには、生成AIなどの新しいテクノロジーを積極的に取り入れて、包括的に組み合わせていくことがとても重要だと考えています。

画像2: クラウド&DXオファリング
【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす

溝江
LSH事業推進センタの溝江です。生成AIに関して、導入の検討にあたり実際に使ってみて、すぐ気づいたことがありました。それは、生成AIが導き出す結果が自分の求めていたものと違う場合がある、ということです。生成AIには整理された正しいデータをより多く与え、生成する結果の方向性をディレクションすることが重要だと考えています。今後はそのアプローチを確立できた企業が、生成AIを活用して大きく成長していくと考えています。

画像3: クラウド&DXオファリング
【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす

佐山
LSH事業推進センタで溝江さんのチームで働く佐山です。先日、IT系のイベントでLSHにおける生成AIのデモをお客さまに紹介する機会がありました。そこで皆さんがおっしゃっていたのが、「うちの会社にも活用されていないデータやアセットが相当あって、生成AIを使ってこれらを生かしたい」といったことでした。多くの企業が、現在は眠っているアセットを体系化して生成AIにインプットできないか、と考えていることが実感できました。そして、お客さまが保有する膨大なアセットを活用する上で、生成AIや、アプリケーション開発をセキュアかつ効率化するためのアプローチであるDevSecOps※2、ソフトウェアの共同開発とアセットを保持していくことに役立つGitHub※3などの新しい技術が有効だと確信しました。

※2 システム開発の迅速化と稼働の安定性を高めるソフトウェア開発とシステム運用の手法であるDevOpsにセキュリティの取り組みを加え、セキュリティを確保しつつ、迅速かつ安定的にシステム開発を実施するための手法
※3 ソフトウェア開発時のソースコードやそれらの変更履歴をオンライン上で共有・管理できるサービス

企業内のアセットを活用する上でのさまざまな課題

斎藤
比較的大きな企業規模を持つお客さまが抱える典型的な課題として、縦割り、つまりサイロ化されてしまう組織体制の中でアセットを蓄積、共有、活用することの難しさがあると考えています。日立の場合もそうですが、金融、公共、鉄道、エネルギーなど、さまざまなセクションで担当する業務や対応するお客さまが分かれている企業は数多くあります。そのようなお客さまの場合、各組織でのサイロ化が進み、意識の統一などが難しくなっていきます。実際にアセットの活用を、組織の中でどのように横断的に展開していけばいいのかと悩んでしまう。しかもそこにはアセットの知財やガバナンス、アクセスコントロールやセキュリティの問題もあり、一筋縄ではいかない現実があります。

溝江
また、企業規模の大小にかかわらず、アジリティの課題もあると考えています。特に日本の場合は顕著で、例えば数か月で規模の大きな案件を完遂することには慣れていない傾向があると考えています。日立は2021年に、米国のGlobalLogic Inc.(以下、GlobalLogic)をグループ会社としました。彼らの事例はよくメディアにも取り上げられており、国内で今まで進めてきたスピード感とはやはり違うことが分かると思います。LSHのプロジェクトではGlobalLogicとの連携を強化して仕事を進めていますが、そのなかで私自身、日々感じていることがあります。それは、彼らの持っている“求められているものを求められているときにすばやく作り上げる”という能力を身に付けることが、非常に重要だということです。

佐山
私が実感しているお客さまの課題のひとつは、セキュリティに関するものです。先ほどお話ししたように、アセット活用のために、新しいテクノロジーを積極的に取り入れていくことが必要だと思うのですが、お客さまから、個人情報の管理はどうなるのか、機密情報が外部に漏れないのか、といったことを質問されます。多くのテクノロジーがオープン化されてきており、クラウド化されたサービスを活用することが今後の主流になると考えていますが、その流れを意識した打ち手がお客さまにとっては重要なのだと感じています。お客さまが新しい技術やシステムの導入を真剣に、より具体的に検討する姿勢であればあるほど、不安や躊躇(ちゅうちょ)する気持ちが増すことになるので、それに対する解答を常に提供していく必要があると考えています。

DX-Ready※4な企業への成長をサポートするLSH

斎藤
これまで話したような、企業内のアセット活用に関するお客さまの課題を解決するひとつのストラクチャー、プラットフォームが日立のLSHです。日立は2016年から、Lumada事業を展開しており、Lumadaによる顧客協創フレームワークとしてお客さまのDX推進を支援するアプローチを推進しています。LSHはさまざまなアセットを蓄積、共有、活用することで、Lumadaの成長サイクルを加速するための仕組みであり、最新のテクノロジーとアセットを活用したシステム開発(アセットベース開発)を迅速に進めることが可能となっています。Lumada事業推進のなかで、一度LSHは大きく方針のアップデートを図っています。実際のビジネスでは再利用の際にそのまま活用できるアセットは非常にまれであり、アプリケーションのレイヤーでは多少のカスタマイズ、インテグレーションの作業がどうしても入ってくることの方が現実的には多い、よってそのアプリケーションレイヤーの目線で、アセットの体系や必要な開発環境、リポジトリの概念や提供すべきDevSecOpsの機能性についてアップデートを図ることにしました。当時は「アプリケーションレイヤーまで界面を上げる」というコンセプトでリデザインを推し進めていったのですが、開発メンバーにそのコンセプトを理解、浸透させ、実際のサービス提供を進めていくためには非常に苦労をしました。現在は開発メンバーの協力のおかげでその産みの苦しみを乗り越え、現在の形にアップデートを図ることができ、多くのお客さまのプロジェクトで活用いただいています。

※4 企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態
出典:「DX認定制度 申請要項」(経済産業省 情報技術利用促進課 / 独立行政法人 情報処理推進機構)

溝江
LSHのベースとなっているLumadaですが、この言葉は、“Illuminate(照らす・解明する・輝かせる)”と“Data(データ・論拠・事実)”を組み合わせた造語です。先日、スイスのチューリッヒにて、OTに携わる日立エナジーの人たちと、ITを主領域とする私たちとでミーティングを行いました。その際に、抱えている課題感などが微妙にかみ合わないなという印象があったのですが、Lumadaについて語り始めたところ熱い議論になり、Lumadaで実現しようとしているコンセプトには不思議と人と人をつなげる力があることを実感しました。もしかしたらLumadaは、IT、OT、人、会社、モノ、サービスなど、それらすべてを含んだ今の社会、世界全体をつないでいくためのキーワードとしてとらえるべきなのではと思っています。そして、その力を最大限に引き出す中核的な役割を果たせる仕組みがLSHだと考えています。

佐山
そもそもLSHは、日立社内、日立グループ内でのアセットの蓄積、共有、活用を目的として運用され始めました。そしていま、次のステップとして、LSHで蓄積された豊富な知見やノウハウを、広くお客さまに提供することを目的として、新たに「アセット活用開発支援ソリューション」として展開することになりました。このソリューションは、お客さまがアセットを蓄積、共有、活用することを、より簡単にすばやく、安全に実現できるものだと考えています。先ほどお話しした生成AIに関しても、セキュアな環境で試用することが可能です。業務のスピードを上げるため、そして何よりもDX-Readyな企業へ成長するために、まずアセットを共有しましょうという、新しい企業風土の醸成にも貢献できると考えています。

画像: DX-Ready※4な企業への成長をサポートするLSH

「【第9回 後編】自社内のアセットを活用しDX-Readyな企業への成長を伴走型でサポートする、『アセット活用開発支援ソリューション』をより多くのお客さまへ」はこちら>

画像4: クラウド&DXオファリング
【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす

斎藤 岳

株式会社 日立製作所
アプリケーションサービス事業部
Lumada ソリューション推進本部
LSH事業推進センタ センタ長

●京都府生まれ大阪府育ち ●大学では経済学を学び、金融経済学に取り組むなかで電子マネーをはじめとした通貨概念の研究を行う ●2001年、日立製作所に入社し地銀向けビジネスを担当 ●2003年からメガバンクを担当し、2007年からは生損保、証券系を担当 ●2012年、日立のフレームワーク関連の開発のチームに配属され、DevOpsなどのソリューション企画・開発・ビジネス化などをアプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャー、ITアーキテクトなど、さまざまな職種で担当 ●2017年から自動車、流通系のビジネスを担当 ●2021年からLumada Solution Hubの戦略策定要員として配属 ●2022年よりLumada Solution Hubのプロダクトマネージャー(PdM)に就任、現在に至る

画像5: クラウド&DXオファリング
【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす

溝江 彰人

株式会社 日立製作所
アプリケーションサービス事業部
Lumada ソリューション推進本部
LSH事業推進センタ 主任技師

●北海道生まれ ●大学では電子情報工学を専攻。自然言語処理による文書要約に取り組む ●2004年、日立製作所入社、当時のソフトウェア事業部に配属され、ミドルウェアの開発・保守、拡販を担当 ●2009年、当時の情報システム事業部へ異動し、現在に至るまで活用できるさまざまな経験を重ねる ●2012年から、ビッグデータによるデータ利活用の仮説検証の提案、PoC活動に従事し、金融、公共、通信、電力などさまざまな業種のお客さまと接する貴重な日々を過ごす ●2018年からはクラウドを活用した物流業向けサービスの開発運用のプロジェクトマネージャーを担当 ●2022年の後半からLumada Solution Hubの開発運用のテクニカルリードに従事、現在に至る

画像6: クラウド&DXオファリング
【第9回 前編】多様なアセットを集約するLumada Solution Hubの価値をより多くのお客さまに届けるため、新たなソリューションを生みだす

佐山 史織

株式会社 日立製作所
アプリケーションサービス事業部
Lumada ソリューション推進本部
LSH事業推進センタ

●滋賀県生まれ ●大学では情報理工学を専攻、音響情報をはじめとしたデジタル信号処理を学び、超音波スピーカーアレーを用いた音のホログラムの研究に取り組む ●2021年、日立製作所入社、Lumada Solution Hubのプロジェクトに参画し、アセットを公開するためのリデザイン版ポータルサイト、およびアセットを共有・開発するためのリポジトリサービスの設計・開発を担当 ●2022年より、社内のセキュリティ対策サービスとLumada Solution Hubリポジトリサービスの連携サービス、生成AIトライアル環境の提供サービスの立ち上げから設計・開発・運用に従事 ●2023年より、生成AIトライアル環境の提供サービスのエンハンス開発やGitHub Copilotの社内検証を推進、現在に至る

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