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気候変動や国際紛争、パンデミックなどの要因で不確実性が増す国際社会。企業はESG経営※1や、レジリエンス※2強化などへの対応を迫られています。さらに、加速する消費者ニーズの変化や多様性によって、サプライチェーンにも大きな変革が求められています。これまでに日立は、TWX-21というサービスを通じて、常に時代に即した企業間連携のデジタル化を実現してきました。そしていま、新たな課題を解決するためTWX-21の新サービスとしてサプライチェーンプラットフォーム(以降、SCPF)を開発しています。その概要を、プロジェクトリーダーの川崎 佳代子と、新サービスの検討を行う上原 朋子が紹介します。
※1 Environment、Social、Governanceに配慮した持続可能な発展をめざす経営
※2 災害・紛争などに対しての事業の復元性、強じん性

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「【第7回 前編】より確かなデータ収集・利活用の実現で、お客さまのDXをサポートする」はこちら>
「【第7回 後編】より長期的な視野で、お客さまの成長や革新を支え続けるHIPF。そこに込められた思い」はこちら>

いま、製造業が抱えるサプライチェーンマネジメントの課題とは

画像1: クラウド&DXオファリング
【第8回 前編】時代のサプライチェーンマネジメントを支え続けるTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)を開発する

川崎
デジタルサービス本部で、主任技師としてこのプロジェクトを取りまとめている川崎です。主に製造業のお客さまがサプライチェーンマネジメントで直面している課題は大きく3つあると考えています。1つは、消費・購買行動の多様性やその変化のスピードにいかに迅速に対応するかというアジリティの問題。次に、昨今のESG経営への意識の高まりを考慮した対応。そして、災害など不測の事態へのレジリエンス強化があります。少し具体的にお話しすると、例えば、ユーザーがいま欲しているものをいま提供するアジリティがなければ、ビジネスチャンスを逃してしまいますし、環境や人権問題、経営の健全性などに注目するお客さまや株主、社会に対して、納得していただける製品づくりをしなければいけません。さらに災害や紛争、パンデミックなどの事態に直面したときにも、経済を回し続けるために製造や出荷といったサプライチェーンを止めないよう柔軟な対応・対策が必要となります。

画像2: クラウド&DXオファリング
【第8回 前編】時代のサプライチェーンマネジメントを支え続けるTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)を開発する

上原
デジタルサービス本部で、SEとしてアプリケーションの要件定義などを担当している上原です。川崎さんの補足になりますが、近年、サプライチェーンに影響を与えるリスクは増大しています。外的な要素としては自然災害や紛争などがありますし、内的には取引先の倒産や人権問題、不正の発覚などがあります。「さまざまなリスクを可能なかぎり早く検知して、先手対策を講じたい」といったお客さまの声もよく聞きます。しかし、リスクとは「危険が生じる可能性」であり、実際に発生するかどうかは分からないことから、そのためのシステム導入などの体制を整えることが難しいという現実もあります。特に製造業のお客さまは、日々モノづくりに奔走されていますので、実際にリスクが発生するとサプライチェーンに大きな影響があると分かっていながらも、なかなか手が回らないというケースが多いのです。また、世界中に広がっているサプライチェーンを対象にCSR調達※3の調査などを行うことの難しさも課題として挙げられます。

※3 CSRの観点に基づいて行う調達のこと

個別最適から、サプライチェーン全体の最適化へ

川崎
これまで、お客さまは自社のサプライチェーンマネジメントに関してさまざまな取り組みを行ってきたと思うのですが、実際にはそれらが部分最適にとどまっていました。例えば生産計画の最適化とか、販売オペレーションの見直しとか、調達の最適化、在庫管理の最適化などが挙げられます。しかし、実はサプライチェーンはすべてがつながっていて、需要に基づく、計画、調達、生産、そして在庫管理や輸送、販売といった一連の流れがあります。さらに関連するサプライヤーも多数で、Tier 1(一次サプライヤー)からTier 2、Tier 3といった階層で構成されています。いま製造業のお客さまに必要な課題の解決策は、サプライチェーン全体の最適化です。これまで、個別に点在していたデータを一元管理して利活用し、市場ニーズや、社会情勢、あるいは不測の事態に対して、すべての計画/実行が瞬時に協調・同期する仕組みづくりが有効だと考えています。

上原
データを一元管理して利活用するという観点でサプライチェーン全体のマネジメントを考えると、新たなサプライチェーンの方向性が見えてきます。例えば災害発生時を一例にすると、まず、災害発生を検知した時点で、その災害発生地域にひもづくサプライヤー拠点だけでなく、Tier 2 、Tier 3…も含め被災状況調査を行う必要があります。その調査結果から、例えばTier 3のサプライヤー拠点が被災し稼働停止している、ということが確認された場合、関連するどの部品の供給が滞り、最終的に自社のどの製品の生産に影響が出るのかが特定され、対策を速やかに講じることができます。これは、理想的な連携の一例ですが、このような総合的な管理体制が整備されていないと、場合によっては電話やメールで延々と状況の確認をし続けなければならないということになります。サプライチェーン全体のデータを一元管理しマネジメントすることはお客さまにとって大きな価値となるのです。

画像: サプライチェーン全体の協調・同期を実現するプラットフォームの全体像

サプライチェーン全体の協調・同期を実現するプラットフォームの全体像

サプライチェーン全体の高度化・最適化を実現する、TWX-21 SCPF

川崎
TWX-21は、日立が1997年から主に製造業のお客さま向けに提供している、クラウド上での企業間取引をサポートするサービスです。当初は調達購買業務でバイヤーとサプライヤー間で受発注情報をやり取りするEDI※4がメインだったのですが、時代の流れに沿ってさまざまな領域へサービスを広げ、現在では設計、調達、生産、販売、さらに契約管理まで、サプライチェーン関連の幅広い業務を網羅するサービスへ成長しました。そもそも日立グループが調達業務においてサプライヤーとの受発注を行うために利用していたものであり、その信頼性、実用性も大きな特長のひとつです。そしていま、さらなる時代の要請に応えてサプライチェーン全体でお客さまに価値を提供する新たなサービス、SCPFを開発しています。私は2011年の入社以来、TWX-21に携わっており、拡販から導入支援、企画・開発など、色々な角度からこのサービスに接してきました。そしていま、さまざまな部署から集まった人財によって構成されたチームでTWX-21をさらに進化させ、強化することでお客さまにさらなる価値を提供できることにやりがいを感じています。

※4 Electronic Data Interchange

上原
TWX-21は、現在85,000社以上のお客さまにご利用いただいています。開発中のSCPFでは、これまでの多くのお客さまの調達購買などに関わる情報をデータウェアハウスに蓄積し、それをお客さま自身が持っているデータとかけ合わせて、業務分析などに生かせるサービスも検討しています。TWX-21の蓄積した膨大なデータを有効に利活用できることが、SCPFの大きな特長です。私は今年の4月からチームに参加しました。これまでに、クラウド型設計業務支援サービスの基盤構築と運用、サプライチェーンマネジメントの業務改善コンサルティングなどを担当しています。その経験をTWX-21 SCPFの開発に生かして、チームに貢献したいと思っています。

「【第8回 後編】製造業の未来を、お客さまとともに創造するためのプラットフォーム、TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)」はこちら>

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画像3: クラウド&DXオファリング
【第8回 前編】時代のサプライチェーンマネジメントを支え続けるTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)を開発する

川崎 佳代子

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部 デジタルサービス本部
デジタルサービス第1部 企画・パートナー事業推進G
主任技師

●1989年、埼玉県所沢市生まれ ●大学では教育学を専攻、興味のあった南米(アルゼンチン)へ留学 ●南米留学中、貧困格差とインフラ格差の関連について考え、ITと企業活動による地域発展に興味を持つ ●2011年、日立製作所入社、産業・流通事業部に配属、TWX-21の 国内EDIサービスの拡販・導入を担当 ●2013年、業務実習として調達部門(現VI本)において、サプライヤーデータベースの企画検討、日立グループのEC高度化施策検討・実施を担当 ●2014年、TWX-21 Web-EDI Globalサービスの拡販・導入を担当 ●2017年、HCCN上海へ出向、中国の日系企業向けにTWX-21の拡販・導入を担当 ●2019年、事業移管にともないHSCNへ異動 ●2020年、日本へ帰国しマネージドサービス事業部のTWX-21企画にて事業企画、新サービスの検討を担当 ●2023年よりTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム構築プロジェクトのリーダーとしてプロジェクトを推進、現在に至る

◎趣味は、海外旅行と読書。特に南米は留学中、友人とともにバックパックで各国を巡った。現在も夏休みなどを利用して旅行を楽しむ。読書は、知らない事実を発見できる歴史小説などをよく読む。

画像4: クラウド&DXオファリング
【第8回 前編】時代のサプライチェーンマネジメントを支え続けるTWX-21の新サービス、サプライチェーンプラットフォーム(SCPF)を開発する

上原 朋子

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部 デジタルサービス本部
デジタルサービス第1部 企画・パートナー事業推進G

●1995年、神奈川県横浜市生まれ ●中学・高校時代は、バイオリン奏者として弦楽合奏部とオーケストラ部に所属 ●大学は情報工学を専攻、ウェアラブルデバイス・システムの開発を主軸にする研究室で、居眠り運転を防止するデバイスの開発に関する卒論を執筆 ●大学では天文部に所属し、プラネタリウム制作に打ち込む ●2018年、日立製作所入社、日立クラウド型設計業務支援サービスの基盤構築・運用を担当 ●2020年、日立の神奈川工場での生産改善事例をベースとしたSCM業務改善コンサルティングを担当。お客さまの工場を訪問し、サプライチェーンのプロセスにおける業務課題を抽出し、改善策を立案(提案ソリューションは画像AI、AI-OCR、品質分析など) ●2023年、TWX-21の新サービス サプライチェーンプラットフォーム構築プロジェクトに参画し、アプリケーション要件定義に従事、現在に至る

◎趣味は旅行、カラオケ、漫画など。配偶者と休日に新しい土地を回りながらおいしいお店を探すのが楽しみ。

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