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日立の大みか事業所を核に、地域やバリューチェーンにまでその輪を広げる環境課題解決のためのビッグプロジェクト「大みかグリーンネットワーク」。今回はCO2排出量の見せる化をデータマネジメントの力で支える実証「CO2排出量データ収集基盤構築」と、これを担った、幅広い領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるLumadaの汎用型プラットフォームにフォーカスします。

第1回 「バリューチェーン全体で推進するカーボンニュートラル」はこちら>>
第2回 「EcoAssist-Enterpriseを活用したカーボンニュートラル見せる化実証」はこちら>>

CO2見せる化のための排出量データの収集・蓄積・加工

画像1: 大みかグリーンネットワーク
第3回:環境の見せる化を加速させるDXエンジン(CO2排出量データ収集基盤構築)

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部
デジタルサービス本部
デリバリ&データプラットフォーム部
技師
櫻井 祥樹

本シリーズで前回紹介した「『EcoAssist-Enterprise』を活用したカーボンニュートラル見せる化実証」において、見せる化の対象となるCO2排出量は、多岐にわたる事業活動のなかで取得・蓄積した自社や他社の種々のデータをもとに算出・可視化されます。本実証は、データマネジメント基盤「Hitachi IoT Platform for industry(以下、HIPFi)クラウドサービス」を活用して、対象となる製品の製造、輸送、使用といった製品ライフサイクルの各フェーズにおけるCO2排出量データを収集・蓄積・加工し、EcoAssist-Enterpriseによる「見せる化」工程へのデータの受け渡しを検証するものです。

CO2排出量はその発生源ごとにScope1、2、3※に分類されますが、このうち本実証では、サプライチェーンなどによるScope3のカテゴリー1(購入製品・サービス)と4(輸送・配送)のCO2排出量に関するデータを取り扱いました。いわば、CO2排出量の見せる化を担うEcoAssist-Enterpriseを、HIPFiが基盤として下支えする構造が今回の実証の基本スキームです。

実証を担当する櫻井 祥樹は、「今回は大みか事業所に関連するScope3のデータだけを収集してEcoAssist-Enterpriseに提供しますが、今後はScope1、2、3すべてのデータを収集・構造化し、その他さまざまなアプリケーションに最適化した形で提供していく計画です」と、本実証を起点により広範なCO2見せる化や他アプリケーションとの連携による環境向けDX推進に向けて、データマネジメント機能をさらに磨き込んでいきたいと言います。

※ Scope1:自社による温室効果ガスの直接排出/Scope2:他社が供給した電気、熱・蒸気の使用にともなう間接排出/Scope3:Scope1、Scope2以外の自社の事業活動に関わる他社の排出

広範なフィールドでDXを加速させるデータマネジメント基盤

画像2: 大みかグリーンネットワーク
第3回:環境の見せる化を加速させるDXエンジン(CO2排出量データ収集基盤構築)

株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部
クラウドエンジニアリング本部
クラウドデリバリサービス部
部長
久須美 信

実証に用いたHIPFiは、さまざまなデータの「収集」、「蓄積・管理」、「活用」といった工程ごとの基本機能を提供するサービスです。DX構想策定からデータモデル構築、データマネジメント推進のほか、セキュリティ対策やインフラ運用といった付帯業務にも対応するフルマネージドのサービスで、お客さまのDX推進を強力にサポートします。

「今回の実証以外にも、HIPFiと各種のアプリケーションを連携させて環境DX関連のユースケースを複数創出しています。また、環境だけでなく製造や研究、調達など幅広い領域のDXを下支えするプラットフォームとしても適用が可能です」とHIPFiの有用性について言及するのは本実証を統括する久須美 信です。

なお今回の実証に関して、HIPFiが各種CO2排出量データを収集してデータウエアハウス(DWH)を構築し、EcoAssist-Enterprise側にデータ提供する機能の実装はすでに完了しています。今後は見せる化実証のなかで求められるデータの微調整などに随時対応していく予定です。

画像: CO2排出量データ収集基盤構築の概要

CO2排出量データ収集基盤構築の概要

実証を通じて得られた最適なデータモデルに関する知見

本実証で取り扱い対象となったScope3のカテゴリー4は、製品の「輸送、配送」にともなうCO2排出量です。大みか事業所は複数の物流事業者と取り引きがありますが、各社のデータソースの種類や形式、粒度はまちまちで、その取り扱いは困難をともないました。

また、CO2排出量の算出方法には直接消費した燃料に基づく「燃料法」、輸送時の燃費に基づく「燃費法」、運搬物の質量と走行距離に基づく「トンキロ法」の3種類があり、問題がさらに複雑化。この交錯する与件のもとで、「どのデータを、どのような構造のデータモデルに加工してアプリケーション側に渡すのがベストなのかを見つけ出す作業は、まさに試行錯誤の連続でしたが、これまで培ってきたHIPFiを軸とした工場IoTシステム構築のノウハウを活かすことで円滑に実証を進めることができました」と櫻井は決して一筋縄ではいかなかった実証を振り返ります。

データの利用目的やアプリケーションに応じて、どのようなデータを提供すべきか―そんな課題認識のもと、実証チームはHIPFi上のデータベース構造を定義したスキーマに関する多くの知見やノウハウを獲得。その蓄積はHIPFiのより幅広いDX領域への適用に向けた価値ある成果となりました。

<特化型アプリケーション×汎用型プラットフォーム>というDXエンジン

一方、本実証の最大の収穫は「環境」というテーマに特化したEcoAssist-EnterpriseというアプリケーションとHIPFiという汎用的なプラットフォームとの組み合わせで効率的なデータ利活用のための1つの“ひな形”を確立できたことです。いわば「特化型アプリケーション」と「汎用型プラットフォーム」をかけ合わせることで、お客さまの多様なニーズに迅速に応えながら、Lumadaに蓄積された各種のDXを加速させることができるようになります。

「アイデアやコンセプトを理解していただいても、お客さまからの『実績は?』という問いに返答できないと話はなかなか前に進まないものです。それが今回、『大みか事業所で実証しました』と即答できるようになった事実は大きい。そういう意味でも、大みかグリーンネットワークは幅広いお客さまにDXをご提案している日立にとって大変意義深い取り組みだと思います」と久須美。多岐にわたる実証を通じて得たさまざまな知見を糧に、日立は今後もOTとITを融合するLumadaを通じて、環境分野をはじめとする全方位的なDXを推進していきます。

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