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臨床検査機器、診断薬、ソフトウェアを世界中に届けるシスメックス株式会社(以下、シスメックス)。同社は法令に基づき、自社が利用するコンピューターシステムが意図した通りに動作することを検証する活動「CSV(Computerized System Validation)」に、真摯(しんし)に取り組んでいます。そしてDXの進展に伴い多様なシステムでCSV対応が断続的かつ頻繁に発生する中、同社と日立製作所(以下、日立)は対応の迅速化を図るために、オンデマンド型の新たなCSV支援サービスモデル「CSVaaS(CSV as a Service)」を創出しました。
画像: シスメックス×日立:医薬・医療機器規制に関する
日立の知見をオンデマンドで活用
-システム適合性の保証活動を止めるな(前編)

CSV活動に真摯に取り組むシスメックス

——医薬・医療機器分野では、企業に対し、使用するITシステムが安全かつ適切に稼働していることを担保するための検証プロセス、いわゆるCSVの実施が法令により求められています。シスメックス デジタル企画部長の内藤 貴道さん、その対応には多くの時間と労力が必要なのだそうですね。

画像: 内藤 貴道氏(ないとう たかみち) シスメックス株式会社 DX戦略推進本部 デジタル企画部長

内藤 貴道氏(ないとう たかみち)
シスメックス株式会社 DX戦略推進本部 デジタル企画部長

内藤氏
当社は、「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のビジョンのもと、厳格にCSV活動に取り組んでいます。CSV活動では、要件定義から検証計画の策定、検証の実施、記録管理、報告書作成に至るまで、ITシステムの不具合を未然に防ぎ、製品の品質・信頼性を確保するためのプロセスがきめ細かく定められ、適切に遂行するには高度な専門知識と相応の工数が求められます。
当社は、臨床検査機器および検査用診断薬の製造、販売からカスタマーケアに至るバリューチェーンを確立しており、CSVの対象システムは設計・製造や品質管理に関わるものはもちろん、物流や顧客管理の領域まで広範に及んでいる状況です。
そうした中で私たちは複数社のコンサルティング支援を受けながらCSV活動を推進しており、その1社である日立は中でも信頼できる存在でした。

画像: CSVでは、要求仕様の整理から設計、開発、テスト、据付確認、運用確認まで段階的に検証を行い、最終的にシステムが要件通りに動作することを文書と記録(テスト)によって確認する。

CSVでは、要求仕様の整理から設計、開発、テスト、据付確認、運用確認まで段階的に検証を行い、最終的にシステムが要件通りに動作することを文書と記録(テスト)によって確認する。

——CSV活動の支援における日立の特長はどこにあるのでしょう。シスメックスでCSVのエキスパートとして現場を担う森川 博史さん、大西 勇次さん、お聞かせください。

画像: 森川 博史氏(もりかわ ひろふみ) シスメックス株式会社 DX戦略推進本部 デジタル企画 課長 博士(理学)

森川 博史氏(もりかわ ひろふみ)
シスメックス株式会社 DX戦略推進本部 デジタル企画 課長
博士(理学)

森川氏
CSVとITシステムの双方に精通していることが、日立の大きな価値のひとつだと感じています。例えばMES*¹やPLM*²などについては、システムの構築とCSV対応をワンストップでお願いしましたが、要件定義の段階からCSVの知見を持つメンバーが参画してくれました。その結果、システム設計とCSV対応の一貫性が確保されることはもちろん、作成されるCSV関連文書も実務に即した内容となり、監査側にとって大変理解しやすいものになったと思います。
*1 MES:Manufacturing Execution System *2 PLM:Product Lifecycle Management

画像: 大西 勇次氏(おおにし ゆうじ) シスメックス株式会社 DX戦略推進本部 デジタル企画部

大西 勇次氏(おおにし ゆうじ)
シスメックス株式会社 DX戦略推進本部 デジタル企画部

大西氏
また、日立は品質保証領域に関する知見も豊富なことから、QMS*³の構築とそれに伴うCSV対応をあわせてお願いしましたが、その過程で当社の品質保証に関する考え方も深く理解いただきました。これによりCSV対応のみを依頼する場合でも、スムーズに対応していただいています。例えばCRM*⁴ではCSV対応のみをお願いしましたが、当社のポリシーに沿った形で円滑に作業を進めていただきました。
*3 QMS:Quality Management System *4 CRM:Customer Relationship Management

ヘルスケア領域に精通したエンジニアと法規制の専門家が集結

——日立はCSVとITの両面に強みを持っているとのことですが、その背景について日立でCSVソリューションを取りまとめている本多 正剛さん、教えてください。

画像: 本多 正剛(ほんだ せいごう) 株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット デジタル事業開発本部 Business Development Healthcare Solution Manager

本多 正剛(ほんだ せいごう)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
デジタル事業開発本部 Business Development Healthcare Solution Manager

本多
私たちは日立グループとして、長年にわたり医療機器分野でソリューションを展開するとともに、ヘルスケア領域のお客さまのITシステム構築を数多く支援してきました。私たちの「Healthcare Solution」という組織は、そこで培った知見をベースに持つエンジニアと、法規制対応や品質保証に関する専門知見を持つ人材を結集し、この分野でDXを創出するために発足しました。
そもそもヘルスケア領域でイノベーションを起こすには、業務・IT・規制の知見は切り離せません。だからこそ私たちは、これらの対応を一体で推進できる体制を整えており、それ自体が日立のCSV支援の大きな価値になっていると考えています。

——日立の佐藤 允彦さん、薊 理紗さんはいずれもCSVの専門人材ですが、こうした組織体制は、お客さまの支援においてどのような価値につながっているのでしょうか。

画像: 佐藤 允彦(さとう みつひこ) 株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット デジタル事業開発本部 Business Development Healthcare Solution 博士(工学)

佐藤 允彦(さとう みつひこ)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
デジタル事業開発本部 Business Development Healthcare Solution
博士(工学)

佐藤
この組織では、CSVとITの知見を「実際の業務にどう適用するか」という視点で、常に双方向で学び、深め合う教育体制が整っています。その学びがあるからこそ、法規制をただ当てはめるのではなく、システムの設計や運用実態に即した実効性の高いCSV対応として、お客さまへの価値ある支援に還元できていると考えています。

画像: 薊 理紗(あざみ りさ) 株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット デジタル事業開発本部 Business Development Healthcare Solution Associate Manager

薊 理紗(あざみ りさ)
株式会社 日立製作所 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
デジタル事業開発本部 Business Development Healthcare Solution Associate Manager


私たちの組織には有識者が数多く在籍しており、先輩方が手がけた複雑な案件など、常に高度な知識に触れながら実務を行える環境があります。こうした恵まれた環境で日々養い、アップデートし続けた知見をお客さまのCSV支援に広く活用できることは、私たちの価値だと考えています。

日立のCSVの知見をオンデマンドで活用できるCSVaaS

——今回シスメックスさまと日立は、日立のCSVの知見をオンデマンドで活用できる新たなサービスモデルを構築しました。内藤さん、その背景にどのようなニーズがあったのかを聞かせてください。

内藤氏
一般的にCSV対応は、ITシステムの構築作業と並行して、検証計画の策定やテスト、関連文書の整備など一連の検証プロセスを実施し、システムのローンチをもっていったん完了します。しかし多くの企業ITシステムでは、稼働後も機能追加や設定変更、環境更新などの改修が継続的に発生するため、その都度CSV対応が求められます。
こうした運用フェーズにおいて、主に二つの課題が顕在化していました。一つは、改修に伴うCSV対応を支援企業に委託する際、担当者のアサインや契約手続き、見積書のやり取りなどが必要となり、最大2カ月の準備期間を要していたことです。その結果、リードタイムが長期化し、コストの増大につながっていました。

もう一つは、需要の波への対応の難しさです。支援開始に約2カ月を要するため、対応を急ぐ場合にはシスメックス側で業務を行いますが、人的リソースには限りがあるため緊急対応が続くと現場がひっ迫するケースが度々ありました。
こうした課題を解消するため、必要なタイミングで速やかに日立のCSV人材のサポートが受けられる新たなサービスモデル、すなわちCSVaaSの検討を日立とともに進めました。

——森川さん、現場がひっ迫するとは、具体的にどのような状況だったのでしょうか。

森川氏
ERPなどの基幹システムでは一口に改修といっても規模が大きく、カットオーバーなどの日程も全社的に決まります。その中でCSV対応を進めていくと、想定外の課題が発生することがあります。事前にリスクを見込んで計画を立てているものの、問題が立て続けに発生するケースもあり、稼働日を後ろ倒しにはできない中で、しばしば現場には大きな負担がかかることがありました。
こうした局面では、すぐに支援を受けられる仕組みの必要性を強く感じました。

——CSVaaSというシスメックスさまからの提案を、本多さんはどのように受け止めましたか。

本多
非常にありがたい提案だと思いました。CSVaaSのモデルであれば、手続きに必要なリードタイムをなくせます。これにより、シスメックスさまのプロジェクト進行を遅らせることなく、適切なタイミングで速やかに当社の専門人材を投入できます。さらに、サービスをオンデマンドで継続的にご利用いただければ、当社のCSV人材の稼働の安定にもつながります。加えて、事前に一定の利用量をご契約いただく仕組みにより、将来的なサービス需要を予測でき、人的リソースの管理もしやすくなります。

そして、これまで特に課題に感じていたのが、CSV活動では品質が担保された状態の維持が極めて重要なのにも関わらず、私たちはシステムのその後を継続的に見守ることが難しかった点です。しかし、CSVaaSによりシステムのライフサイクル全体に関わり続けることが可能になります。そこに、大きなやりがいを感じました。

——そして、シスメックスさまと日立はPoCを経て、CSVaaSの本稼働へと進みます。次回はCSVaaSの成果、さらにその将来構想についてお聞きしていきます。

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