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国際研究学園都市・茨城県つくば市では、次世代モビリティの社会実装を見据えた構想「つくばスマートモビリティ」を推進している。日立はその一環として、ハンズフリーチケッティングによる次世代MaaS*1実証に参画。多様な交通手段に加え、観光や小売り、飲食など各種サービスを一つのスマートフォンアプリでシームレスに利用できる事後決済型サービスは、人々の移動体験にどのような変化をもたらすのか。
*1 Mobility as a Service

移動と消費を統合する次世代モビリティ実証

画像: 移動と消費を統合する次世代モビリティ実証

ある日のつくばエクスプレス つくば駅。スマートフォンのアプリ画面を係員に示して改札を通過し、駅前では同じアプリでレンタサイクルを借りて市内を散策。さらに、アプリで乗ったバスで筑波山へ向かい、ケーブルカーやロープウェイでの山頂巡り、買い物や食事もアプリで完結。こうして紙のチケットや現金を手にすることなく、スマートフォン一つでつくばの周遊を楽しめる――。

このような移動体験を実現するのが、今回日立が参画して実証に取り組む「つくチケ」だ。つくば市で進められている「つくばスマートモビリティ」の一環として、2025年12月1日にスタートしたハンズフリーチケッティング型の次世代MaaS実証で、約2カ月間にわたって実施された。

本実証では、鉄道駅やバス停、バス車内などの公共交通やレンタサイクル、観光施設、飲食店・小売店などに計600台あまりの無線装置(ビーコン)を設置。ビーコンが発する電波を利用者のスマートフォンで受信することで、市内の移動と消費に関わる複数のサービスを一つのスマートフォンアプリに集約した。

この「つくチケ」は、利用履歴を記録して後からまとめて精算する「事後決済」を採用。利用者はつくばエクスプレス(TX)の有人改札通過やバスの乗降、店舗での会計時などにアプリ画面を提示し、サービス提供側が利用情報を登録することで一連の行動を完結できる。利用のたびにチケットや現金で支払う必要がなく、移動から消費までがスマートフォン1台でつながる仕組みだ。

また、事前に旅程を確定したり、回数券や企画券などを購入したりする必要がないため、天候や体調など当日の状況や関心に応じて行程を柔軟に組み替えられる点も大きなメリットとなる。さらに本実証では、対象となる交通機関や観光・小売り・飲食サービスを組み合わせて利用することで、利用実績に応じて最大40%の割引が適用される特典も用意された。

なお本実証は、つくばハンズフリーチケッティング共同事業体からの委託事業として、日立を含む複数の企業・団体*2が参画する体制で推進。公共交通の利用促進や地域の周遊性向上、地元商店の利用活性化を目的として実施された。利用者の行動に応じて、移動と消費がどのようにつながるかを運用面や体験価値の観点からも検証している。

*2 本実証の参画企業・団体は以下のとおり。関東鉄道株式会社、首都圏新都市鉄道株式会社、一般社団法人つくば観光コンベンション協会、筑波観光鉄道株式会社、株式会社JTB、株式会社日立製作所

人と地域のつながりが支えた実証の現在地

2025年4月の医療分野でのMaaS実証を経て、日立はつくば市とともにモビリティ領域での取り組みを段階的に拡張してきた。今回の実証では、対象を市民や観光客など一般利用者へと広げ、前回のバスに加えて、鉄道やレンタサイクル、筑波山エリアのケーブルカーやロープウェイ、さらには飲食・小売りまで含めた市内回遊の全体像を検証した点に大きな前進がある。

本実証のプロジェクトマネージャーを務めた日立の坂本 真樹は、利用シーンや関係事業者が広がった点に触れつつ、「協力店舗の方々からは、観光向けだけでなく自分でも生活の中で使いたい、という声を多くいただいています。そうした反応から、地域住民が使うことで周遊が生まれ消費につながる、という当初の仮説の確かな手応えを感じられました」と語る。

画像: 人と地域のつながりが支えた実証の現在地

一方、今回の実証が想定以上にスムーズに進んだことについて、「地域の事業者の方々が前向きに受け止めてくださっている点が大きいと感じています。協力店舗は口コミで当初から3倍近くまで増え、現場で起きた問題も『こうすればいい』という助言として共有されることで、さまざまな困難も克服されました」と語るのは、同様に本実証を担当した日立の塩谷 朋久だ。

こうして人の移動を起点に地域の営みをつなぎ直す試みは、実証で得られた知見を踏まえ、次の社会実装フェーズを見据えた検討へと進みつつある。

「【後編】 実証から実装へ―“ともに創る”自由に移動できる社会」はこちら >

画像: つくば市「つくばスマートモビリティ」実証事業
【前編】スマートフォン1つで巡る『つくチケ』の新しい周遊体験

坂本 真樹(さかもと まさき)
株式会社日立製作所
社会システム事業部 モビリティソリューション&イノベーション本部 モビリティソリューション第三部 主任技師

2011年入社。鉄道事業者向け座席予約システム開発に従事。ICカード導入対応、インターネット予約切符の受取対応、ICクレジット決済対応など複数のプロジェクトを経験。2022年から公民鉄事業者向け定期券発行機システム開発に従事。システムリプレースや事業者統合案件などのプロジェクトを経験。その他MaaS案件、デジタルチケッティング案件の提案、展開活動を実施。

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