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日立製作所では現在「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」が開催中です。このワークショップに参加するのは、各事業部と全国の支社、日立グループの営業部門から推進リーダーに選出された約500名。彼らはクラスAからクラスHの8組に分かれ4日間のワークショップを通して、実践的なAI活用スキルの習得と自らの組織を対象にした活用推進計画の策定に取り組みます。
前編では、このワークショップを企画、主催する日立製作所 営業企画統括本部の中畑 昌也とAIアンバサダーの大山 友和にねらいを聞きます。
※ページトップの写真は、クラスAの生成AI推進リーダーの皆さん。

自組織での実践を前提としたカリキュラム中小企業の持続可能性

―― まず、現在開催されている「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」の企画の概要を教えてください。

中畑
日立では、営業が生み出すValueを最大化することをめざして2025年4月より「営業業務における生成AI活用推進プロジェクト」をスタートしました。今回のワークショップはその柱となる取り組みであり、目的は文字通り、営業部門の生成AI活用をけん引する推進リーダーの育成です。

参加者は、各事業部および全国支社の営業部門から概ね課に一人ずつ選出された「生成AI推進リーダー」たち約500名で、リーダーの皆さんは自組織で生成AIの活用を推進し、生産性の向上、そしてValueの最大化を達成するために必要な知識とスキルを、クラスAからクラスHの8組に分かれて4日間の日程で学びます。

画像1: 自組織での実践を前提としたカリキュラム中小企業の持続可能性

―― 今回のワークショップは、日立の営業部門の隅々までくまなくAX(AIトランスフォーメーション)を起こす、という明確なゴール設定のもと企画されたのですね。

中畑
その通りです。したがって4日間のカリキュラムは、計画を立てそれを実行する力を身につけることを意図した実践的な内容となっています。

具体的には、生成AIの基礎知識を学ぶDAY1に続き、DAY2では、データ分析手法など最新の生成AIの活用スキル、そして有効なユースケースの創出のためのアプローチを学びます。さらにDAY3では、生成AI活用推進計画を立案する方法論、そしてプロジェクトの先導に必要なリーダーシップスキルについて学びます。
オンラインで実施される、このDAY1からDAY3を通して、参加者は3つのユースケースの創出とその推進計画の策定が課せられます。そして対面(一部参加者はオンライン)で開催されるDAY4では、代表者10名によるユースケースと推進計画の発表が行われ、AIアンバサダーからのアドバイスが提供されます。

これまでも日立では、業務プロセス改善をめざす生成AI活用アイデアソンなどをたびたび開催してきましたが、今回のワークショップでは、アイデア創出の先にある業務へのインプロセス化、そしてユースケースを成果に結び付けるためのアクションプランをリーダーたちに学んでもらい、翌日から確信を持ってAXの実現に取り組める状態になれることをめざしています。

画像2: 自組織での実践を前提としたカリキュラム中小企業の持続可能性

北海道支社でのベストプラクティスにもとづいた設計

―― 今回のワークショップの企画の発端について聞かせてください。

大山
私は昨年度、日立製作所 北海道支社で生成AI活用推進に取り組みました(「生成AIの業務活用率100%を達成!日立製作所 北海道支社 生成AI徹底活用プロジェクトの軌跡」)。北海道支社長からは、有効と思える施策はすべて実施して欲しい、と依頼され、立案したプランの骨子が、各部署から生成AI活用の推進リーダーを選出してコミュニティを作り、実効性のあるユースケースを創出し、業務へのインプロセス化を計画するというものでした。そして、支社の皆さんの全面的な協力もあり、この計画は成果を上げ、北海道支社は生成AIの活用率100%を達成しました。

今回の「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」は、この北海道支社の取り組みを、日立製作所全体に拡大したものです。実施体制やカリキュラム構成、講義やワークの内容など、北海道支社でのベストプラクティスをベースに、最新の知見も随所に織り込みながらワークショップを設計しました。

画像: 北海道支社でのベストプラクティスにもとづいた設計

―― このワークショップの修了後、生成AI推進リーダーたちに期待するアクションはどのようなものですか。

大山
まず、自らが立案したユースケース推進プランの自組織での実践、そして、ここで学んだスキルや技術を、組織のメンバーの皆さんに横展開してほしいと思います。また、生成AIの最新情報を今後もキャッチアップし続けることが大切です。そのための有効なリソースや手法についてもワークショップで学んでもらいました。

例えば、有識者のゲストを迎えてラジオ番組風に配信する企画(毎月一回、ランチタイムに実施)もそのひとつです。AIの最新動向をリーダーたちにキャッチアップしてもらえるようにと企画しました。リラックスした雰囲気の中で、有識者の広範な知見に触れたり、「計画が思うように進まない」などの悩みごとに対する助言をもらったりできる場です。北海道支社でも、リーダーたちがのびのびと意見交換できるコミュニティが有効に機能しました。新しいリーダーたちにも、ぜひここでつながってほしいと思います。

高度なAIリテラシーを全営業へ

―― リーダーたちの自組織での活躍、そしてValueの創出が楽しみですね。

中畑
生成AI活用の効果としてわかりやすいのは時間短縮や効率化です。しかし私たちは、それはあくまで入口で、リーダーの皆さんにはその先にある、生み出した時間を活用してアウトプットの増大やワークライフバランスの改善、さらには提案書の高品質化、意思決定の質の向上などを実現してほしいと思っています。

私たちは、こうしたValueの検証手法を体系化し、今回のワークショップでリーダーたちに習得してもらっています。効果の可視化は、リーダー個人にも組織全体にも強力な推進力となります。ぜひ計画を実践したら効果を検証し、成果を拡大し続けてもらいたいと思います。

大山
今回のワークショップに参加した約500人のリーダーたちは、一人につき3つの生成AIユースケースを作成しますので、合計で約1,500のユースケースが一気に日立グループの営業部門に生まれることになります。これを組織がAI駆動型へシフトするきっかけにしたいと思います。

今回はクラスAからHまで合計約500人にワークショップに参加してもらいますが、実はまだまだ少ないと思っています。今後もこのカリキュラムを継続的に広げ、全営業スタッフが自らユースケースを創出し、インプロセス化を推進できる力を身に付けられるようにしていきたいと考えています。

後編では、2025年8月21日に行われた「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」クラスAの最終日における成果発表の様子をお伝えします。

「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」開催!営業部門に500人超のAI活用の旗手たちが誕生(後編)」はこちら >

「生成AI推進リーダー育成」の記事一覧はこちら >

画像1: 「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」開催!
営業部門に500人超のAI活用の旗手たちが誕生(前編)

中畑 昌也(なかはた まさや)
株式会社 日立製作所
営業統括本部 営業企画統括本部 営業戦略本部 マーケティング戦略部
担当部長

入社後、約20年にわたりスーパーコンピューターの設計開発に従事。その後、ハイパフォーマンスコンピューティングおよびビッグデータ利用技術の開発、サイバーセキュリティ関連事業などを担当。2020年より、日立全社のパイプライン情報活用推進プロジェクトを取りまとめ、現在は生成AI活用とOne Hitachiで活用するCRM基盤の運用を中心に日立全社での営業活動高度化を推進。技術士(情報工学部門、総合技術監理部門)

画像2: 「生成AI推進リーダー育成ワークショップ」開催!
営業部門に500人超のAI活用の旗手たちが誕生(前編)

大山 友和(おおやま ともかず)
株式会社 日立製作所
デジタルシステム&サービス営業統括本部
Executive Strategy Unit フロントサポートセンター チーフプランニングエキスパート
AIアンバサダー

コンサルティング部門にて、営業業務改革、新規事業の立上げなどに従事した後、日立コンサルティングにて、基幹業務システム構築などを担当。プロジェクトリーダーとして、システム企画・構築・運用全般を統括その後、営業バックオフィスを支える業務システム全般を統括。現在、営業部門の生成AI徹底活用プロジェクトの取りまとめとして、講演活動、ナレッジ蓄積、社内コミュニティ運営、人材育成などの取組みを推進中。

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