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デジタル技術を駆使して、さまざまな交通手段による移動を1つのサービスとしてとらえ、途切れることなくつなぐ移動の概念、MaaS※1。その有用性と利便性を、障がい者の生活自立支援における移動の促進・機会創出と、安全・安心な地方公共交通利用促進に役立てていくための実証実験が、先進的な科学技術が躍動する研究学園都市、茨城県つくば市で実施されました。
※1 Mobility as a Service

障がい者の自立支援に向けた産官学連携による医療MaaS実証

障がいのある方が、整理券を受け取ったり、ICカードをかざしたりすることなく、ハンズフリーでバスを乗降でき、その移動先で利用した施設の料金と往復のバス運賃を事後決済できる。さらにその間、家族や施設職員がリアルタイムで対象者の移動位置を確認できる――。こうして、移動することに対する障がい者の心理的ハードルを下げ、家族や介助者の負担軽減に貢献する医療MaaS実証が、2025年1月から2月の計4日間、世界水準の研究・教育機関が集積する茨城県つくば市で実施され、最終日には取材会も行われました。

画像: 障がい者の自立支援に向けた産官学連携による医療MaaS実証

日立はこの実証を推進した産官学連携による「つくばハンズフリーチケッティング共同事業体」※2の一員として、ハンズフリーチケッティングシステムの開発や運行実証の支援などを担当。移動データに基づく公共交通機関・施設の利用料金計算や、決済システムとの連携による事後決済などに関する仕組みを検証しました。またあわせて、実証参加者のスマートフォンアプリと無線装置(ビーコン)により、対象者の位置情報をリアルタイムで取得し、家族や施設職員が位置情報を把握できる「見守りサービス」の有用性も確認しています。
※2 つくば市、国立大学法人 筑波大学、一般社団法人 つくばスマートシティ協議会、関東鉄道株式会社、今川商事株式会社、株式会社 日立製作所で構成。

“必要なとき、必要な場所へ”をかなえる移動手段の実現に向けて

実証の現場となったつくば市では、最先端技術の社会実装と都市機能の最適化を進める「つくばスーパーサイエンスシティ構想」の下、必要なとき、必要な場所への移動手段を提供する「つくばスマートモビリティ」の実現に向けた施策を推進中です。2024年1月、その一環としてハンズフリーチケッティングの実装やビーコンによる移動データ生成の検証などのための実証を実施。日立はこの実証にも参画し、バスやパーソナルモビリティの移動による位置情報の検知やデータ収集・分析による乗車判定、移動履歴データ取得などを確認しています。

画像: “必要なとき、必要な場所へ”をかなえる移動手段の実現に向けて

こうした成果を踏まえ、つくば市の医療・健康支援施設に通う障がいのある方とご家族の協力を得て実施した今回の実証では、実証参加者が自宅最寄りのバス停から、関東鉄道株式会社が運行する路線バスと徒歩で筑波大学付属病院の健康・スポーツ科学センター「WIT」※3へ移動。今回は実証参加者であることの確認のため便宜的にバス降車時とWIT利用時にスマートフォンアプリの画面を提示しましたが、整理券を受け取ったり、ICカードをタッチしたりといった手間はなく、実証に参加した障がいのある方には実質的にハンズフリー状態で行動してもらいました。

また、実証参加者の自宅最寄りのバス停からバス車内、降車するバス停、WITの施設内に至る経路上に合計70個ほどのビーコンを設置。参加者のスマートフォンがビーコンから受信した電波をもとに移動位置をスマートフォンアプリ上に表示する見守りサービスによって、家族や施設関係者が参加者の位置を把握できます。また、経路以外の場所にもビーコンを設置しており、参加者が予定と違う場所に移動している場合も見守りサービス上で確認可能です。
※3 Willing Institute of Tsukuba:筑波大学附属病院の桐の葉モールにある、今川商事株式会社が運営する健康・スポーツ科学センター

「場所」を特定できる意義を広く伝える取材会を開催

計4回の実証の最終日となる2025年2月12日、つくばハンズフリーチケッティング共同事業体では、その取り組みをマスコミなどに向けて発信するメディア取材会を開催。当日はまず、会場となったWITのある筑波大学附属病院「桐の葉モール」に参集した多数の報道陣を前に、同事業体の各構成メンバーの代表者から挨拶がありました。

画像: 国立大学法人 筑波大学 人工知能科学研究センター 教授 鈴木 健嗣 氏

国立大学法人 筑波大学
人工知能科学研究センター 教授
鈴木 健嗣 氏

その席で、「カーナビなどに使われるGPS※4が『位置』を示すのに対して、今回の実証で活用したビーコンという技術は『場所』を明らかにします。例えば地下や建物内に入るとGPSからデータを取得できないエリアもたくさんありますが、位置をより細分化して具体的な場所を特定できるビーコンという技術は、まさに未来そのものです」と強調したのは、国立大学法人 筑波大学 人工知能科学研究センター 教授の鈴木 健嗣氏。座標的な情報としての「位置」ではなく、具体的な固有性を持った「場所」を特定できるビーコンの大きな可能性を訴えました。

画像: 株式会社 日立製作所 社会システム事業部 事業部長 矢川 雄一

株式会社 日立製作所
社会システム事業部 事業部長
矢川 雄一

また、日立の代表者として登壇した社会システム事業部 事業部長 矢川 雄一は、「今回の実証事業を通して皆さまからのフィードバックをいただき、近い将来、誰もが鉄道やバスなど複数の交通手段や施設をより便利に、より安心して利用できる社会の実現をめざしていきます」とコメント。今後さらなる普及と発展が期待されるMaaSの社会実装を通じて、積極的に従来課題の解決に取り組んでいく日立の姿勢を表明しました。

その後、日立の担当者が本実証事業の背景や概要、実証の具体的な進め方、ハンズフリーシステムや見守りサービスの利用イメージなどについて説明。マスコミ各社との質疑応答を経て、当日も進行中だったハンズフリーチケッティングによる障がいのある方のバス利用の様子を見学するため、報道陣や関係者は屋外のバス停に向かいました。
※4 Global Positioning System

「第2回 すべての人に、移動の自由と安心を――」はこちら>

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