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次代を担うデジタル人材の能力開発に向けて、工学院大学の新宿キャンパス内にDXの実践教育を担う「DX実践ラボ」がオープン。その構築プロジェクトに参画した日立は、各種ハードウェアによる環境整備に加え、教育人材の支援などソフトウェア面も含めて同ラボの具体化を提案・支援しました。

即戦力となる「実践的DX人材」を社会に送り出すために

デジタルトランスフォーメーション(DX)がさらに加速する日本において、2030年にはDXを担うデジタル人材が最大79万人も不足すると言われています※。この深刻な事態を打開すべく、政府が創設した「教育未来創造会議」は、現在35%ほどの自然科学分野の学部生の割合を2032年までに50%程度に引き上げるという目標を掲げました。こうした中、文部科学省はデジタルやグリーンなどの成長分野をリードする高度専門人材の育成に向けた「大学・高専機能強化支援事業」を通じて、特定成長分野への学部再編成による転換や高度情報専門人材の確保に向けた機能強化など、大学・高専の改革を支援しています。

1887年に前身である工手学校が開学し、以来先駆的な工学教育で産業界を支えるスペシャリストを数多く輩出し続けてきた工学院大学は、この文部科学省による事業を活用して、新宿キャンパス内に高度な計算能力を備えた「DX実践ラボ」を開設しました。高性能GPUなどを実装した先進のデジタル教育研究環境がめざすのは、AIエンジニアリング、BIエンジニアリング、DXコンサルティングなどのスキルを活用して社会課題の解決を図る「実践的DX人材」の育成です。

画像1: 工学院大学「DX実践ラボ」構築プロジェクト
第1回 実践教育を強化する先進のデジタル人材育成環境

工学院大学
情報学部 情報デザイン学科
大学院 工学研究科 情報学専攻
生体情報処理研究室
情報デザイン学科長
DX実践ラボ事業責任者
教授
田中 久弥 氏

「DX実践ラボ」の構想について、「アイデア自体は私が数年前から温めていたもので、大学院教育の1つの柱である『実践』をさらに強化する方法として、産業界から招へいした教員による実データを用いたデジタル教育を推進したいと考えていました。これは取りも直さず、本学の建学の精神である、社会・産業と最先端の学問を幅広くつなぐ『工』の精神に沿った構想でもあります」と情報学部 教授でDX実践ラボ事業責任者を務める田中 久弥氏は説明します。

※ 参考:経済産業省「―IT人材需給に関する調査―調査報告書」

ハードウェアとソフトウェア、ITとOTの両面からラボの具体化を提案

2023年7月、工学院大学は文部科学省「大学・高専機能強化支援事業」の支援に選定され、事業責任者の田中氏は構想の具体化に向けた検討を開始します。同氏はこれまで工学院大学と取引関係のあった日立を含むITベンダー数社にシステム構築などに関する提案を依頼。これを受けて日立は、ラボの性能要件などを精査したうえで、NVIDIA Corporation(以下、NVIDIA社)の最上位クラスのGPU「H100」2基を搭載した日立アドバンストサーバ HA8000V(2式)と、同じNVIDIA社のグラフィックボード「GeForce RTX4080S」を搭載した高性能端末37台などからなるシステム構成を提案しました。

画像2: 工学院大学「DX実践ラボ」構築プロジェクト
第1回 実践教育を強化する先進のデジタル人材育成環境

株式会社 日立製作所
公共システム営業統括本部
第四営業本部 学術情報営業第一部
主任
田巻 亮

そのシステム性能は、田中氏が想定した要求性能を十二分に満たすものでしたが、「日立の強みとしてアピールした点はそれだけではなかった」と言うのは、営業担当としてプロジェクトに携わった日立の田巻 亮です。「高性能なプラットフォームももちろん重要ですが、日立グループにはデジタル人材育成のためのIT教育サービスを提供できる強みがあります。また、日立にはITだけでなくOTに関する知見や人材も豊富なことから、工学院大学さまがめざす、社会課題の解決を図る『実践的DX人材』の教育を支援できる点もアピールしました」と振り返ります。

工学院大学は、ハードウェア面だけでなく、人材育成や産業界に直結するOTリテラシーなど教育的視点も含めた日立の提案を高く評価。さらに、支援事業の時間的制約の中で求められた提案に至る迅速な対応も認められ、日立は新たなラボ構築のプロジェクトパートナーに選ばれました。

さまざまな困難を乗り越えて完成した「DX実践ラボ」

しかし、2023年12月から始動したDX実践ラボ構築プロジェクトはさまざまな難題に直面します。まず、同規模のシステム構築案件と比較して、短期間でシステムを完成させる必要がありました。また、長引く半導体不足や昨今のAI需要増大を背景に、このラボの中核デバイスである高性能GPUなど機材の調達も容易ではありません。さらに、もともとサーバールームではなかった教室にシステムを新設するため、電源やネットワークなどの整備も同時進行となり、複数の外注先による各種作業が輻輳(ふくそう)することになりました。

こうした中、日立は大学側とほぼ毎日、時には日に数回も連絡を取り合い、機材調達については工場やベンダーと逐次折衝を重ねたほか、施工現場でも会社間の細やかな作業連携や緻密な調整に努めました。こうした尽力の結果、当初のスケジュールどおり、「DX実践ラボ」は完成の日を迎えることができたのです。

画像3: 工学院大学「DX実践ラボ」構築プロジェクト
第1回 実践教育を強化する先進のデジタル人材育成環境

工学院大学
情報学部 情報科学科
大学院 工学研究科 情報学専攻
数理解析研究室
教授
竹川 高志 氏

同ラボでは、開設に先立つ2024年3月にBI分析実践をテーマにプレ講義を開催。株式会社 日立産業制御ソリューションズから講師を迎え、同社が提供するデータ分析セミナーを基に、「自校教育」として大学が保有する実データを分析しました。さらに、高校生などを対象にしたオープンキャンパスの際には、同ラボで生成AIのデモンストレーションも実施しています。いずれのイベントも参加者に大好評だったと振り返る情報学部 教授で同ラボの技術・運用を担当する竹川 高志氏は、「大切なのはラボの稼働率を上げることです。このラボをツールとしていかに使ってもらうか、という視点で、より使いやすい環境を整えていきたいと考えています」と、今後に向けてさらに開かれたラボのあり方を模索しています。

「第2回 DXを実践する課題解決の“駆け込み寺”へ」はこちら>

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