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日立グループは、全社で生成AIの徹底活用を推進しています。すでに日立には生成AIが仕事のパートナーになっている社員が数多くいますが、日立製作所 執行役常務 馬島知恵もそのひとり。今回は日頃の使いこなし術を披露してもらううちに、生成AIは営業をどう変えるのかというテーマにまで話はおよびました。生成AI徹底活用プロジェクトで営業部門の取りまとめを務める日立製作所 デジタルシステム&サービス営業統括本部の大山友和が話を聞きます。

「【第1回】日立製作所 執行役常務 馬島知恵の活用術(前編)」はこちら>

提案資料に対する想定Q&A集の作成

大山
ここまで馬島さんの生成AIの活用の仕方をいろいろ伺ってきました。私は、日立の生成AI徹底活用プロジェクトの営業部門の取りまとめということもあり、どのような業務にもほぼ生成AIを使うのですが、馬島さんもかなりの使い手だということが分かりました。

さて、さきほどは馬島さんに提案資料のスクリプトの生成についてお話を伺いましたが、他にはどのようなシーンで生成AIを活用していますか。

画像: 提案資料に対する想定Q&A集の作成

馬島
やはりお客さまへのプレゼンテーションの準備として、提案する資料への想定質問を生成AIで作成しています。ファイルを指定して「お客さまの想定質問を考えて」とプロンプトを入力するだけで何十個もの質問を出してくれます。膨大なデータセットを学習しているから中には私たちの観点に全くなかった質問もあり、時々驚いてしまいます。

さらにその想定質問に対する回答も生成AIが作ってくれて、それをたたき台に人間がブラッシュアップすれば想定Q&A集が完成します。Q&A集はプレゼンテーションのためにぜひ欲しいものですが、生成AIがあれば時間がなくても用意できるからうれしいですよね。

例えば試しにやってみると、これは今年の6月に行われた「Hitachi Investor Day 2024」の資料ですが、このファイルをして指定して「想定質問と回答案を作って」とプロンプトを入れると瞬時にQ&Aが生成されます。

画像: 資料を指定して「想定質問と回答案を作って」とプロンプトを入力すると想定Q&Aが生成される

資料を指定して「想定質問と回答案を作って」とプロンプトを入力すると想定Q&Aが生成される

プレゼンテーションのリハーサル

大山
本当に時間がない時には、移動中に生成AIによるQ&Aを確認するだけでも提案の質が変わるかもしれません。

その発展形の使い方を紹介しますと、生成AIは、馬島さんのスピーチも含めたプレゼンテーション全体のレビューもしてくれますよ。Teams上でプレゼンテーションのリハーサルを行い生成AIにアドバイスを求めると、想定質問の作成はもちろん、提案全体の流れやスライドの内容について改善点を提案してくれます。さらにプレゼンターのしゃべるペースや発音の明瞭さ、目線やジェスチャーにいたるまでフィードバックしてくれます。

画像: プレゼンテーションのリハーサル

馬島
それは楽しそうですね。ぜひ今度やってみます。

最近、提案資料用に生成AIでそのテーマに沿った画像を作ったりしていますが、とても楽しいのです。私にはない観点の画像を生成AIが提示してくれて、自分の創造的な部分が刺激されます。それは画像生成だけではなく、すべての生成AIの活用体験に共通して言えることかもしれません。まだ使っていない方は、楽しいのでぜひ一度試して欲しいなと思います。

例えば手始めとして旅行に行く前に、生成AIにモデルコースを提案してもらうのはどうでしょう。私もやったことがありますが、「次の休暇で○○に行きたいと思っています。おすすめのモデルコースを作ってください」と頼めば、生成AIが目的に合った旅程を、効率的な移動ルートなども考慮した上で作成してくれます。

これから必要なスキルが変わっていく

大山
私の業務のミッションの一つは、日立の営業部門への生成AIの浸透ですが、皆さんに楽しみながら生成AIの価値を理解してほしくて営業を対象にした生成AI活用アイデアソンを開催しています。生成AIに触れながら新しい活用法を考えてもらうのですが、創造性を刺激されるのか優れたアイデアがいくつも出ます。今後それらを全社で共有していく予定です。

いま日立では、社員向けに生成AIのプロンプトのテンプレート集を立ち上げる準備をしています。例えば、企業名を入れるだけで適切なマーケティング分析が生成されるような、目的に最適化されたプロンプトが多数アップされますが、そこにアイデアソンで出た優れた活用アイデアもあげていきます。

馬島
テンプレート集には私も期待しています。生成AIの力を最大限に引き出すには、プロンプトに工夫が必要なんですよね。短いプロンプトでは適切な回答が得られなくても、プロンプトを詳細にすることで、求めていた回答を引き出せることがあります。使いこなすためには、ある意味「AI活用トレーニング」が必要なのでしょうが、テンプレート集があれば、誰もが最初から生成AIを最大限に活用して、自分の業務の価値を高めることができます。

画像: これから必要なスキルが変わっていく

大山
私もプロンプトのテンプレートはできるだけ増やしたいと考えています。生成AIは営業プロセスのどのフェーズでも有効ですから。

そのよい例がAIコーチングという使い方です。つまり、アプローチ、提案、契約、フォローアップなど営業プロセスのフェーズごとに、生成AIに改善点を提示してもらうのです。上司との1 on 1の回数は限られていますが、生成AIを活用すれば日々アドバイスをもらい、成長することができます。

馬島
生成AIは、営業のスキルアップにとても効果的なツールだと思います。

例えばお客さまにお会いする前に生成AIを使えば、短時間でお客さまの最新動向や業界のトレンドなど、多くの情報を集めることができます。またメールの処理なども効率化できますから、レスポンスも早まるでしょう。こうした使い方は、お客さまと信頼関係を構築する上でとても有効だと思います。

また、提案力のスキルアップにも生成AIは大きな効果がありますよね。提案書の構成やスクリプト、挿入する分析結果などは生成AIで瞬時に作成して、人間はレビュアーとして提案の質を高めることに集中できます。ということはこれから営業のスキルとして、お客さまからニーズを聞き出すヒアリング力や課題を発見する洞察力がさらに重要になるのではないでしょうか。

生成AI時代、私たちは目の前の業務に対して本当にやるべきことは何なのか、既成概念にとらわれずに考え直さないといけませんね。

画像1: エグゼクティブの生成AIの使い方
【第1回】日立製作所 執行役常務 馬島知恵の活用術(後編)

馬島 知恵(ましま ちえ)

1989年、日立製作所入社。2018年、社会ビジネスユニット 公共システム営業統括本部 営業統括本部長。2019年、理事/日立オーストラリア社 社長。2023年4月、執行役常務 営業統括本部副統括本部長 兼 デジタルシステム&サービス担当 CMO兼 社会イノベーション事業統括本部長。

画像2: エグゼクティブの生成AIの使い方
【第1回】日立製作所 執行役常務 馬島知恵の活用術(後編)

大山 友和(おおやま ともかず)

日立製作所 デジタルシステム&サービス営業統括本部 Executive Strategy Unit

2001年、日立製作所入社。コンサルティング部門にて、営業業務改革、新規事業の立上げなどに従事。2006年、日立コンサルティングにて、基幹業務システム構築などに従事。プロジェクトリーダーとして、システム企画・構築・運用全般を統括その後、営業バックオフィスを支える業務システム全般を統括。現在、営業部門の生成AI徹底活用プロジェクトの取りまとめとして、講演活動、ナレッジ蓄積、社内コミュニティ運営、人材育成などの取組みを推進中。

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