効率的で質の高い自治体運営をめざす行政DXの先駆的プロジェクト
人口約276万人、西日本における経済・文化・交通の中心都市として発展を続ける政令指定都市・大阪市。同市は2023年3月に「Re-Designおおさか~大阪市DX戦略~」をまとめ、「サービスDX」、「都市・まちDX」、「行政DX」という3つの視点から、デジタル技術やデータの活用によって市民のQoLと都市力の向上を追求する取り組みを開始しました。
このうち自治体における効率的な組織運営と質の高い業務運営を目標に掲げる「行政DX」について、大阪市は、アナログベースの業務に関するルールや手続き方法などを見直し、データ化とデジタル技術の活用を前提とした業務のデジタルシフトを目的にバックオフィスDXに取り組んでおり、その1つとして予算編成業務のシステム化に着手しました。予算編成業務は大阪市の全部局が関与する業務であり、この業務のDX推進は全庁的に効率的かつ質の高い組織・業務運営の実現をめざした「行政DX」の先駆的な取り組みとなります。
2023年2月、大阪市は「大阪市予算編成業務デジタル化に係るシステム構築業務」を委託する事業者を公募。その提案内容が評価されて選ばれた日立は、以前から大阪市のインフラシステム・業務システムの開発・運用プロジェクトを通じて、行政サービスの質的向上や自治体職員の負荷軽減などに貢献してきた実績を持っています。本プロジェクトは、2024年7月の稼働に向けたシステム構築と、2025年3月までのシステム稼働後の利便性向上という2段階のフェーズからなるロードマップに沿って始動しました。
変化に即応できる「ServiceNow」と初めてのアジャイル開発
今回のシステム開発では、行政を取り巻く環境の変化にも即応できるよう、システムの変更にも迅速かつ容易に対応できるServiceNowのローコードプラットフォームを採用。この製品は、ドラッグ&ドロップによるGUI操作などにより、プログラミング言語の知識がなくてもアプリケーションを作成できるソフトウェアです。ServiceNowを2012年から自社グループ内に採用している日立には、この製品に精通したエンジニアが多数在籍しており、ノウハウも豊富に蓄積されています。
本プロジェクトでは、業務プロセスの標準化・最適化を支援するServiceNowを活用して、予算編成業務における「登録・確認・承認・管理」といった一連の業務フローをシステム上で整流化。それまで部署間で行われていたメールやファイルでのやりとりをプラットフォームに一元化できることで、業務フロー全体を可視化し、業務の品質改善や生産性向上を支援します。
また前述のとおり、プロジェクトは「システム構築・本稼働フェーズ」と、稼働後の「運用性・利便性向上フェーズ」という2段階の工程で進められますが、第2フェーズは、機能単位で開発工程を小さなサイクルで繰り返すアジャイル開発で進めていく予定です。
大阪市にとって初めての試みとなるこのアジャイル開発では、システム担当者やエンドユーザーなどの要望を丁寧に吸い上げながら、運用上の課題を細部にいたるまで逐次抽出。そのつど柔軟かつ速やかに対応していくことで、本稼働させた新システムをより上質で使いやすい完成形へと着実に磨き上げていきます。
行政経営を支えるDX基盤の確立をめざして
実は本プロジェクトの開始に先立ち、日立は今回同様ServiceNowを活用したある政令指定都市の予算・財務情報管理システム開発プロジェクトを推進していました。同様の政令指定都市、さらに同じ予算編成に関わる情報システムの開発に参画していたことは、今回の新たな予算編成システムの開発においても大きな強みとなりました。また、本プロジェクトを皮切りに、大阪市には今後も行政DXの推進に向けたプランやアイデアを提案していく方針です。
日立はこれまで数多くの自治体でさまざまな業務システムを構築するとともに、行政サービスの質的向上や業務効率化、自治体職員の負荷軽減などをサポートしてきました。そして現在大阪市でも進めている業務の高度化やさらなるデータ活用などに関する知見を蓄積・活用しながら、これからも自治体の行政DXを支援していきます。
他社登録商標
本誌記載の会社名、商品名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
情報提供サイト