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ライフサイクルを通じた製品単位のCO₂排出量を精緻かつ迅速に算出・可視化し、組織全体のGHG※1量の算定も可能にする「EcoAssist-Pro/LCA」。そこに投入されたのは、連綿と続けられた研究活動や神奈川事業所の実証などから得られた高度な知見の数々でした。ここでは、開発に携わったエネルギーソリューション本部の担当者たちの話も交えながら、企業の環境経営に新しい地平を切り開くその革新性を探ります。
※1 Greenhouse Gas、温室効果ガス

「第1回:“モノづくり”の脱炭素化をリードするITプラットフォームの主力工場」はこちら>
「第2回:豊富な経験知が支える、LCA×製品単位の精緻なCO₂排出量算出・可視化実証」はこちら>

脱炭素化を新たなステージへ導くソリューション

環境経営を可視化し、その分析・改善を支援する日立環境情報ソリューション「EcoAssistシリーズ」は、これまで企業の環境情報管理や化学物質統合管理などをサポートしてきました。2024年3月、このシリーズに新たに加わるのが、製品単位かつLCA※2ベースでのCO2排出量を精緻に自動算出・可視化する脱炭素推進支援「EcoAssist-Pro/LCA」です。

従来の「日立LCAソリューション」を機能強化した本ソリューションには、50品目以上に及ぶ日立のハードウェア製品の環境評価に取り組んできた長年の研究活動の成果に加え、2022年度に神奈川事業所が着手した「製品単位のCO₂排出量算出・可視化実証」から得られた知見や発想を投入。設計部品表(BOM※3)ベースという方法論、そして人手を介さない自動化・システム化というアプローチが、CO₂排出量算出の高精度化と効率化、高速化を実現し、企業の脱炭素化を新たな段階に導きます。

※2 Life Cycle Assessment
※3 Bill of Materials

研究と実証の成果がもたらした3つの革新性

画像1: 神奈川事業所の環境活動
第3回 脱炭素化の次元を変える、飽くなき探求と精緻な実証の結実

株式会社 日立製作所
社会システム事業部
テレコム・ユーティリティソリューション本部
デジタルトランスフォーメーション推進部
第一グループ
主任技師
佐々木 智代

従来ソリューションから大きく進化したEcoAssist-Pro/LCA。その革新性のポイントは以下の3点です

BOMベース評価を自動化
従来は製品の分解・実測などで得られた構成重量をもとに部品単位のCO₂排出量を算出していましたが、BOMの活用でこれと同等なデータ品質での評価が人手を介さずに可能になります。さらに、正確なLCA評価のためのBOMへの独自データ付与も自動化しました。「BOM上の膨大な部品1点1点に手作業で独自データを登録するのは現実的ではないため、従来はLCA評価用に簡易化したBOMデータを利用していました。しかしこれでは正確な数値が得られず、設計改善やボトルネック抽出などには活用できません」と以前の問題点を説明するのは、ソリューション開発に携わった佐々木 智代です。独自データ付与の自動化がこの問題を解消し、CO₂排出量算出・可視化を次のアクションにつなげられる意義は大きいと言います。

自動算定による製品評価を迅速化
CO₂排出量算出の自動化で、1製品当たり約2か月だった算定の所要時間を大幅に短縮。この迅速化により、従来は困難だった全製品の算定も現実的になりました。佐々木は「結果検証も含めてすでに2週間程度に短縮できました。さらにこれを即日算定まで加速し、将来的にはお客さまから排出量を問われた際に、注文番号から担当者がその場で回答できるような即応性をめざしています」と説明。なお、日立のストレージ製品はお客さまごとの構成で出荷しており、単に最大値を記載したカタログ値に台数を乗じて算出したCO₂排出量は、実測値よりも大きくなるのが一般的です。これでは環境性能の面で製品競争力が低下しますが、出荷構成単位での精緻なCO₂排出量算出の実現はこの問題の解決にもつながります。

組織の高精度なGHG量算定
従来は製品評価と製造に関わる組織のGHG量は別々に算定されていましたが、製品・出荷構成単位での高精度なCO₂排出量算出が可能になり、これを積み上げることで、組織のGHG量を根拠に基づいたかたちで算定できるようになります。「これまでは各製品のCO₂排出量に出荷台数を乗算するだけの粗い概算でしたが、実測ベースなら組織のGHG量は下がるのが一般的です」と、佐々木は環境視点での企業競争力強化という波及効果を指摘します。

画像: 「EcoAssist-Pro/LCA」の概要

「EcoAssist-Pro/LCA」の概要

LCAの共通規格化に向けた国内外の実証に参画

画像2: 神奈川事業所の環境活動
第3回 脱炭素化の次元を変える、飽くなき探求と精緻な実証の結実

株式会社 日立製作所
社会システム事業部
エネルギーソリューション本部
電力系統ソリューション部
広域運用グループ
主任技師
東城 信寛

2022年1月から2023年6月にかけて、日立は一般社団法人 電子情報技術産業協会が事務局を務めるGreen×Digitalコンソーシアムによる実証に参画しました。この実証では、企業間連携によるサプライチェーン全体のCO₂排出量可視化に関するルールを規定するために、EcoAssist-Pro/LCAを含めたベンダー各社のソリューション間でのCO₂データ連携を検証。標準化したインターフェースを介して異なるソリューション間でもデータ連携できることを検証・確認したフェーズ1、さらにCO₂算定実務も含めて検証したフェーズ2をそれぞれ成功させています。

さらに2023年9月、日立は株式会社野村総合研究所(以下、NRI)、EIZO株式会社と共同でWBCSD※4のPACT※5実証実験に参画。この実証を担当した東城 信寛は、「EcoAssist-Pro/LCAはPACTの接続試験に合格した認定ソリューションです。これを受けて参画した実証では、当社ストレージの部品・材料調達と製造におけるCO₂排出量を実測したうえで当該製品を使用するNRIに提供し、データ連携に成功しました」と、本ソリューションが世界規模の実証でもその優位性を確かなものにしている事実を示します。

※4 World Business Council for Sustainable Development
※5 the Partnership for Carbon Transparency

コスト最適化を追求する、これからの環境経営に向けて

現在、本ソリューションに革新性をもたらした神奈川事業所における実証の担当チームも参加して、大みか事業所でも同様の実証を推進中です。この実証では、神奈川事業所での量産品を対象としたCO₂排出量算出・可視化を、大みか事業所での受注生産品とこれに付帯する独自の固有システムでも実現できるか検証しています。

これまで企業は環境負荷低減という利益に寄与しない社会的義務を果たそうとしてきました。しかし排出量取引や炭素税の導入に見られるように、すでに環境経営は「コスト」という経済合理性に直結する領域に踏み込んでいます。従来のアプローチが収益性と相反しかねない“守り”の一手だったとすれば、いまや“攻め”の環境経営の時代が到来しつつあると言えるでしょう。

「CO₂排出量が製造コストを左右する時代となった今、脱炭素化の取り組みをコスト最適化という視点からとらえ直す必要があります。そしてそのためには製品単位かつLCAベースの算定が欠かせません」という佐々木の言葉からEcoAssist-Pro/LCAに期待されるのは、環境経営の新たな扉を開く鍵としての役割です。さらに今後は、製品ライフサイクル各段階のCO₂排出量シミュレーションなども視野に一層の進化をめざしていきます。

次回、神奈川事業所の環境活動を紹介するシリーズ第4回では、環境負荷低減を通じて市場競争力を追求するストレージ製品開発の最前線に迫ります。

「第4回:さらなる省電力化に挑む環境配慮型ストレージ」はこちら>

画像: 株式会社 日立製作所 EcoAssist-Pro/LCA事業開発、プレメンバー 左から 佐々木、趙、東城

株式会社 日立製作所
EcoAssist-Pro/LCA事業開発、プレメンバー
左から 佐々木、趙、東城

画像: 株式会社 日立ソリューションズ東日本 EcoAssist-Pro/LCA開発協力会社の皆さま 後列左から 石川、佐藤、豊澤、高橋、阿部 前列左から 長谷川、加賀谷

株式会社 日立ソリューションズ東日本
EcoAssist-Pro/LCA開発協力会社の皆さま
後列左から 石川、佐藤、豊澤、高橋、阿部
前列左から 長谷川、加賀谷

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