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製品やサービスを通じてお客さまが受け取った価値全体を指すCX(※1)は、近年注目されるマーケティングや経営戦略上の重要なコンセプトです。損害保険業界をリードする東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)では、このCXの向上を視野に「Medalliaプラットフォーム」によるCXM(※2)システムを新たに構築。お客さま対応品質の改善や保険契約の継続率向上などに向けた取り組みを開始しています。
※1 Customer Experience
※2 Customer Experience Management:お客さま体験価値を最大化するための活動

データドリブンな意思決定に向けたCXプロジェクトが始動

画像: データドリブンな意思決定に向けたCXプロジェクトが始動

日本初の保険会社として誕生以来、140年以上にわたって多彩な保険商品と充実のサービスで損害保険業界を常にけん引してきた東京海上日動。近年、デジタル技術によるお客さま接点の強化を推進する同社は2020年に「CX・プロセスデザイン部」を新設し、お客さまの声を積極的に経営に生かしていく取り組みを本格化させています。

こうしたなか、同社グループの海外企業数社が社員やエージェントのモチベーションを高める活動や、顧客ロイヤルティを測るNPS(※3)の活用を開始。着実な成果を上げていたことから、東京海上日動本社でもお客さまから寄せられる意見やインサイトなど種々のデータ(CFD※4)を活用する新たなCX施策の検討を始めました。

「以前はもっぱらコンプライアンスに関わるリスク検知を目的に、膨大なデータ群から普遍的な傾向を抽出するというよりも、お客さまの声を一つひとつ丹念に読み込んでいました。それらを定量化できるデータととらえ直して、課題解決や業務改善に役立てたいと考えたのです」とCX・プロセスデザイン部 部長 兼 CX推進室長の川村 佳正氏は、そのCX戦略が従来のようにマイナスを埋めるためではなく、プラスをめざす“攻めの一手”だと説明します。

※3 Net Promoter Score
※4 Customer Feedback Data

統合的な体験管理を通じてお客さまの声を課題解決につなげる

そこで東京海上日動が検討したのが、経営と現場のデータドリブンな意思決定を支援するCXMシステムの構築でした。さらに同社は、その基盤として米国Medallia社の「Medalliaプラットフォーム」に注目します。

世界の主要ブランドの体験管理を支援するMedalliaプラットフォームは、コンタクトセンター、Webサイト、代理店や営業職員との対面での相談といったお客さま接点や各種システムから取得したお客さまの声や体験データを単一プラットフォーム上で統合・可視化して組織内で共有できるお客さまの体験価値向上ソリューション。お客さまからのフィードバックをリアルタイムで取得・分析し、速やかな経営課題の解決や業務改善をサポートします。

2021年10月、日立はMedallia社の日本における戦略的パートナープログラムに参加しました。東京海上日動は、これまで同社のシステム開発の一端を担ってきた実績があり、Medallia社認定資格所有者が多数在籍している日立をプロジェクトの開発パートナーに選定。こうして2022年4月、Medalliaプラットフォーム構築プロジェクトが始動しました。

タスクに応じた適材適所のハイブリッドな開発アプローチ

ミッションクリティカルな金融分野で幅広いシステム開発を長年手がけてきた日立はMedalliaプラットフォーム構築にあたって、「データ収集・分析・可視化」と「アクション・行動促進」という2段階のステップに沿った確度の高い開発計画を提案。2022年度はその第1フェーズとして、契約者へのアンケート配信や契約・組織情報とひもづけたアンケート結果分析、分析結果のダッシュボード表示を実現するシステムの構築に取り組みました。

画像: 【凡例】Medalliaプラットフォームの活用イメージ

【凡例】Medalliaプラットフォームの活用イメージ

このいわば“金融品質”を支える堅実なシステム開発で、日立はまず全体を設計して順次開発を進める「ウォーターフォール開発」と、小規模な実装、テスト、さらにお客さまによるフィードバックを繰り返す「アジャイル開発」という異なる手法をタスクごとに選択。既存システムとの連携など静的な領域はウォーターフォール開発で、ダッシュボード画面の設計など要件定義や仕様を手探りで検討する動的な領域はアジャイル開発で対応しました。

「初めてのCXMシステムで、アウトプットに関する正解を誰も持っていない状況でした。すべてが試行錯誤のなかで、日立さんはできることとできないことの境界線を明確に示してくれた。これがプロジェクトを着実に前進させる助けになりました」と振り返るのは、CX・プロセスデザイン部 CX推進室 担当課長の池 卓実氏です。

システム開発プロジェクトに初めて携わったというCX・プロセスデザイン部 CX推進室 主任の鈴木 晴香氏も、「日立さんが中心になって催す週2回の定例会議などを通じて密なコミュニケーションを重ね、徐々に不安が和らぎました。社内の意見調整などに苦慮することもありましたが、プロジェクトが無事スタートラインに立てたのは、こうした周到な進め方のたまものでしょう」と言います。

業績との確かな相関を示すNPSの有意性と優位性

開発着手から8か月後の2022年12月、東京海上日動のCXMシステムがサービスイン。ほどなく、保険契約データに基づくアンケート配信を通じてお客さま属性や代理店単位でのNPS分析を開始すると、想定を超える結果がもたらされました。

「従来のお客さま満足度調査の場合、どの支店も前後1%程度の幅にすべて収まっていましたが、NPSではプラス50~60からマイナス50~60程度まで点数に有意な差が出ます。さらに、NPSが高い代理店は契約継続率も高いことが分かりました」と池氏が説明するように、NPSと業績には明確な相関があることが明らかになったのです。加えてMedalliaならアンケート設問からNPSに影響を及ぼす要素を分類し、対処すべき項目の優先順位を可視化することもできます。

まだ緒に就いたばかりのCX戦略のもと、現在進行形で調整や改善を重ねている新たなCXMシステム。こうしたなかでも、「今後は自信を持ってNPSに基づいた施策を進められる」と、プロジェクトチームはその優位性に確かな手応えを感じているようです。

データ収集・可視化から行動変容を促すプロジェクト第2章へ

現在プロジェクトは第2フェーズに入り、お客さまや代理店などのアクションを促すための仕組みづくりが進行中です。例えばアンケート回答結果や分析結果のうち、ある設問がしきい値以下であったとき担当者に通知することで、CX向上対策を早期に実行したいと考えています。他方、東京海上日動グループ各社でも経営にCXMを取り入れたいという声が増えており、同システムのグループ展開も検討中です。

さらに、「いま社内ではNPSへの関心が高まりつつありますし、今後はこれを火災保険など自動車保険以外の保険商品の課題抽出・解決にも活用していきたいと考えています」と川村氏。加えて同社では、NPSと社内システム群に蓄積する膨大なお客さま情報との相関から新たなインサイトを得ることや、AIなどを用いたより高度なデータ活用の可能性にも期待を寄せています。

一方、日立は金融業界を中心に多様なお客さまにMedalliaプラットフォームによるCXMシステムを積極提案していく方針です。そして、そこから得られる知見を還元しながら、東京海上日動のCX向上に向けた取り組みを今後も力強くサポートしていきます。

お客様プロフィール

東京海上日動火災保険株式会社

[所在地] 東京都千代田区大手町二丁目6番4号
[設 立] 1879年8月
[資本金] 1,019億円
[従業員数] 16,645名(2023年3月31日現在)
[事業内容] 損害保険業(保険引受、資産の運用)、業務の代理・事務の代行(損害保険業に係る業務の代理・事務の代行、生命保険業に係る業務の代理・事務の代行、確定拠出年金の運営管理業務、自動車損害賠償保障事業委託業務)

東京海上日動火災保険株式会社のWebサイトへ

他社登録商標
・NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
・LINE及びLINEロゴは、LINE株式会社の登録商標です。
・その他、本記事に記載の会社名、商品名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

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株式会社 日立製作所 金融システム営業統括本部

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