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中堅・中小企業でも導入しやすいリーズナブルな料金で、会社全体のCO2排出量を可視化し、削減目標の設定や削減計画の進捗管理などをサポートする画期的なサービスを共同開発。環境経営の先駆者である滋賀銀行と日立による協創事例の物語を2回にわたってお送りします。今回は、サービスの開始とそれに対するユーザーからの評価、そして今後の展望などについて紹介する「後編」です。

滋賀銀行の環境経営や従来の課題、さらにプロジェクトの背景や共同開発の経緯(前編)については、こちら

「使いやすさ」や「低コスト」の追求に潜むリスク

画像: 「使いやすさ」や「低コスト」の追求に潜むリスク

新たなツールの開発にあたっては、滋賀銀行が中堅・中小企業に関する豊富な知見をもとにインタフェースの設計を担い、日立は主に入力データをクラウド上で帳票化する機能の実装を担当。ユーザーが本当に必要とする機能を厳選することで、よりシンプルで使いやすく、コストも抑制できる実用的なツールをめざしました。インタフェースにExcelを採用したことはユーザビリティやコスト低減に貢献しますが、本ツールの開発ではそこに潜在するリスクにも配慮したと言います。

「ユーザーにとって慣れ親しんだExcelだからこそ、ただ単にExcelを使った安価なサービスだと思われないような工夫も必要です。余計な機能をそぎ落とす一方で、サービスに価値を感じていただくためには、何らかのプラスアルファが求められました」と宇佐見氏。この見解を踏まえ、日立は入力画面のフォントや配色などをさまざまにアレンジした複数のデザイン案を提案。さらに、ユーザーの作業動線を意識して使用頻度の高い項目を中心に画面を構成するなど随所に創意工夫をちりばめ、サービスの品質向上に注力しました。

ユーザーに寄り添う伴走サポートのための細やかな配慮

共同開発の現場では時に、双方の認識や解釈の相違から問題が生じることも珍しくありません。しかし今回はインタフェースに使い慣れたExcelを採用したため、滋賀銀行自身で関数入力などの作業を担い、その結果も自ら確認できたことで、齟齬(そご)などは回避できたと言います。

一方で、事業規模や業種を問わず、どんな企業でも使える共通基盤として利用できるツールであるがゆえの難しさもありました。「CO2排出量は、例えばガソリンや電気、ガスの生産量・使用量・焼却量などの活動量に排出係数を乗じて算定しますが、その排出係数が対象とする活動量は、実際にお客さまが把握している量とは桁や単位が異なるケースがあり、それらの単位を一つひとつ調整する必要がありました」と解説するのは宇佐見氏です。

さらに、活動量の単位に関する難題はほかにもありました。ガスなどの使用量は業種によって大きく異なり、ユーザー企業には入力単位の変換が必要な会社とそうでない会社が混在します。そのため、各社共通の入力画面に単位の変換処理を一律で組み込むことはできません。しかしユーザー自身に変換の判断や対応を求めれば、ツールを使うハードルが上がってしまいます。そこで滋賀銀行は、データを入力する画面とは別に、単位変換が必要な会社のための補助シートも制作してツールに実装したのです。

予期せぬ相手からの反響と、そこに生まれる新たな機会

こうしてプロジェクトの始動から7か月後の2023年1月、滋賀銀行は新サービス「未来よしサポート」の提供を開始。その後およそ2か月間で利用登録数が約200社に達する幸先(さいさき)のよいスタートを切りました。ユーザー企業からは「初年度無料・月額2,200円(税込)~」という料金を歓迎する声が多数寄せられており、他の地域金融機関からだけでなく、金融庁や日本銀行など関係当局からも「この低料金をどうやって実現できたのか」と驚きの声が上がっていると言います。

想定外だったのは、多数のサプライヤーを擁するいくつかの大手企業からの問い合わせでした。サプライヤー企業に脱炭素化を要請しなければならない一方で、その方法論を見いだせないでいた大手企業にとって、ユーザーに大きなコスト負担を強いることなく容易に使ってもらえる「未来よしサポート」は1つの最適解と受け止められたようです。さらにサプライヤー各社が本格的な脱炭素化をめざす際の資金需要の受け皿として、滋賀銀行には環境投資用途に特化した魅力的な金融商品も充実しています。

「滋賀に拠点を置きながらこれまで接点があまりなかった大手企業と、本サービスの提供を機に新たなおつきあいが始まるケースも増えてきています」と中川氏。「未来よしサポート」は企業の脱炭素化に伴う新たなビジネスチャンスも育んでいます。

中堅・中小企業の脱炭素化を、滋賀から全国へ

プロジェクトを通じて、滋賀銀行と日立が単なる受発注関係を超えた真のワンチームとして協働できたこと――それこそが最大の成功要因だったとプロジェクトメンバーは口を揃えます。加えて、「本サービスは当行が長年にわたる環境経営を通じて蓄積してきた膨大な知見の結実です」と山本氏は語ります。さらに、サービス開発におけるマーケティング支援に携わった同行カーボンニュートラル推進チームの山田 直孝氏は、「お客さまからは『滋賀銀行と言えばやはり環境ですね』というありがたい声をいただきますし、当行の独自色が出せるサービスだと行員からの評判も上々です」と、「未来よしサポート」は滋賀銀行のアイデンティティを体現していると評価します。

滋賀銀行では今後、「未来よしサポート」を活用して、地域企業のCO2排出量削減に向けた脱炭素コンサルティングからファイナンスまでシームレスに提供する新たなビジネスを展開していく予定です。一方、日立は「未来よしサポート」をベースにしたサービスを他の地域金融機関へも展開することで、今回の取り組みを全国の中堅・中小企業の脱炭素化へ繋げていきます。自らの知見やノウハウを惜しみなく投入したサービスで、脱炭素への取り組みや環境経営が日本中に広がっていく。それこそが滋賀銀行が思い描く「未来よし」の姿です。

顧客とともに地域社会の未来をデザインする、地域になくてはならない“Sustainability Design Company”をめざす滋賀銀行と、その挑戦を支え続ける日立。両者の確かなパートナーシップが、地域社会、そして日本の脱炭素化をさらに前進させます。

お客様プロフィール

株式会社 滋賀銀行

[所在地] 滋賀県大津市浜町1番38号
[設 立] 1933年10月1日
[資本金] 330億円
[事業内容] 滋賀県大津市に本店を置く地域金融機関。滋賀県内に本店を置く最大規模の金融機関で、県内の融資シェアは4割超。預金業務、貸出業務、有価証券売買業務・投資業務、為替業務など

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他社登録商標
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株式会社 日立製作所 金融システム営業統括本部

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