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中堅・中小企業でも導入しやすいリーズナブルな料金で、企業全体のCO2排出量を可視化し、削減目標の設定や削減計画の進捗管理などをサポートする画期的なサービスを共同開発。環境経営の先駆者である滋賀銀行と日立による協創事例の物語を2回にわたってお送りします。今回は、新たなサービスを構想した背景や課題、プロジェクト開始にいたる経緯などについて紹介する「前編」です。

環境の価値と尊さを知る企業の社会的使命として

画像: 環境の価値と尊さを知る企業の社会的使命として

日本最大の淡水湖である琵琶湖は、400万年前に誕生した日本最古にして世界的にも希少な古代湖です。1,700種以上の水生動植物が生息する生物の宝庫である一方、1970年代には湖水の富栄養化による赤潮が発生し、その後の市民運動や条例施行で大幅な水質改善が図られるなど、いわば“環境の映し鏡”でもあります。

その琵琶湖の湖畔に本店を構える株式会社滋賀銀行(以下、滋賀銀行)は、今日ほど環境問題が注目されていなかった1990年代から、積極的な環境経営を実践してきました。同行は1999年に地域金融機関としての環境方針を制定し、2007年にはカーボンニュートラルローンの提供を開始。さらに2010年には生物多様性保全方針を制定するなど、その先駆的な取り組みは他の金融機関からも注目を集めています。

同行の環境経営について、カーボンニュートラル推進チームの中川 陽介氏は「省資源・省エネ活動に自ら取り組む『エコオフィスづくり』、金融商品に環境を組み込んでいく『環境金融』、生物多様性保全のために全行員が参加する『環境ボランティア活動』などに努めるのは、琵琶湖畔に本拠を置く企業としての社会的使命です」と説明。こうした取り組みへの評価も高く、同行は環境省の「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を4年連続で受賞しています。

地域企業の脱炭素化に立ちはだかる高いハードル

2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて社会的機運が高まるなか、地域経済の要である地域金融機関としての使命感から、滋賀銀行では取引先を含めた地域全体の脱炭素化を追求してきました。脱炭素化が特に求められるのは、CO2排出量が他業種よりも多い製造業ですが、もとより滋賀県は京都府や大阪府といった大都市に近い立地条件などから、全産業に占める製造業の割合が約43%と全国一高い地域です。

そんな地域の脱炭素化を後押ししようと滋賀銀行が取り組んだのが、取引先企業に対し脱炭素のためのコンサルティング企業を紹介するビジネスマッチングでした。「マッチングを提案しても、特に中堅・中小企業のお客さまの場合、環境分野への資金や人材の投資を躊躇(ちゅうちょ)されるケースが多々ありました。現在の脱炭素関連サービスの多くは大手メーカーなどをターゲットにしており、コストやスキルの点で中堅・中小企業には導入のハードルが高いのです」とその難しさを説明するのは、同行で法人営業企画を担う山本 恭久氏です。

こうした経験から、中堅・中小企業の脱炭素化には、まず低コストであること、そして誰にでも使えるサービスであること、さらにサービスを提供するだけでなく、その会社に寄り添った伴走サポートを続けていくことが肝要と考えた滋賀銀行は、それらの要件を満たす新たなサービスのあり方を模索していました。

効率的で使いやすいツールの可能性に着目

そんな折、滋賀銀行が日立から提案されたのが、環境情報管理サービス「EcoAssist-Enterprise」(以下、EcoAssist)でした。それまで滋賀銀行では同行が直接・間接に排出するScope1、2のCO2量をExcelなどで自ら算定しており、その作業負担は以前からの課題だったと言います。提案されたEcoAssistについて「導入によって、本支店や出張所など121店舗分の伝票やデータを一つひとつ集計する作業の省力化が期待できました」と評するのは、同行のESGファイナンスチームを率いる宇佐見 剛氏です。

滋賀銀行のような東証プライム市場の上場企業には、算定が困難なサプライチェーン排出量におけるScope3の開示が求められており、金融業においては「ファイナンスド・エミッション」として融資先企業のCO2排出量がこれに相当します。しかし、これまでのビジネスマッチングでの取り組みでは滋賀銀行にデータが残らず、その先の脱炭素化の支援にもつなげられないため融資先企業のCO2排出量を把握することが課題となっていました。

提案を進めるなか、滋賀銀行と日立はある可能性に気づきます。それは、複数拠点のCO2排出量を1つのプラットフォーム上で集計・可視化できるEcoAssistを銀行の自社サービスとして融資先企業に提供することで、CO2排出量の把握のみならず、融資先企業の脱炭素化を支援するサービスとして使えるのではないか、という発想です。

4番目の「よし」を、かけがえのない地球環境の未来に

コスト負担を抑えながら、取引先自身にCO2排出量を計測してもらう方法を模索していた滋賀銀行にとって、すでに多くの企業に導入され、定評のあるEcoAssistをサービス基盤として活用できるのは大きなメリットでした。また、インタフェースに多くの中小企業で使われているExcelを採用できる汎用性や、サービス提供を契機に新たなビジネス展開も見込める点、さらに、環境課題解決のためのさまざまな製品やサービスの開発に長年取り組んできた日立への信頼感も滋賀銀行の決断を促したと言います。

こうして2022年6月、地域の脱炭素化を支援する新サービス実現に向けて、滋賀銀行と日立による共同開発がスタート。両者の協創を通じて実現をめざすツールとサービスは、滋賀銀行が2007年に取り扱いを開始したカーボンニュートラルローンの名称をもとに、「未来よしサポート」と名づけられました。そこには、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という近江商人の商売の心得「三方よし」に続く4番目の「よし」を、かけがえのない地球環境の未来にも届けようという決意が込められています。(「後編」へ続く)

開発時の課題や予期せぬ相手からの思わぬ反響、サービスの裾野をさらに広げる今後の展開などについて紹介する「後編」はこちらから

お客様プロフィール

株式会社 滋賀銀行

[所在地] 滋賀県大津市浜町1番38号
[設 立] 1933年10月1日
[資本金] 330億円
[事業内容] 滋賀県大津市に本店を置く地域金融機関。滋賀県内に本店を置く最大規模の金融機関で、県内の融資シェアは4割超。預金業務、貸出業務、有価証券売買業務・投資業務、為替業務など

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