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変化が激しく、先の見通しにくい時代の社会インフラを支えるために、情報制御システムの通信を高度な信頼性で支える通信ミドルウェアが登場しました。既存のアプリケーションを変更することなく、公衆網や無線通信などの各種ネットワーク経路を多重化・冗長化。さまざまなモノやシステムを相互に結ぶミッションクリティカルIoTに不可欠な通信の高信頼化を実現します。

ミッションクリティカルIoTに不可欠な高信頼なデータ通信

世界の様相を一変させたパンデミックの猛威、脱炭素社会の実現という不可避のミッション、そして、劇的に進化・発展するAIなどのデジタル技術――。複雑に変化する予測困難な“不確実性の時代”のなかで、ミッションクリティカルな社会インフラには、安定稼働だけでなく変化への適応力がこれまで以上に求められています。

その社会インフラを支えるのが、IoTセンサーなどから取得した情報を処理し、変化する状況に応じたアクションを実行する情報制御システムです。変化を感知・捕捉し、これに柔軟に適応する情報制御システムを実現するには、さまざまな現場のIoTデバイスや基幹システムなどから取得した膨大なデータをAIなどで分析し、その結果を現場にリアルタイムにフィードバックする必要があります。そしてそのためには、システム全体の堅ろう性とそのうえで処理されるデータの信ぴょう性や通信のリアルタイム性の保証が不可欠です。

こうしたニーズに応えるべく、日立は現場機器の無線通信の安定化を実現する通信経路高信頼化ミドルウェア「NX Dlink/RED(※1)」の提供を開始。無線網など通信回線品質に不安のある通信経路を多重化・冗長化することで、経路障害などによる通信ダウンタイムを極小化し、高信頼な通信品質を確保します。

※1 Reliable Enhanced multipath Distribution

通信網の多重化・冗長化で無線通信の諸課題を解決

現在、情報制御システムではシステム間でのリアルタイムなデータ共有のための通信網として、ローカル5Gや無線LANといった無線回線の適用が検討されています。ただしその無線通信には、「パケット欠損や輻輳(ふくそう)による通信の不安定化」や現場設備・基地局間における「基地局の停止や通信システムの障害による通信断」、現場機器間における「無線の干渉による通信途絶」といった通信品質上の課題がありました。

NX Dlink/REDは、キャリアや種別の異なる回線を組み合わせた通信網の多重化・冗長化により高信頼な通信を確立。1つの通信網に障害が発生しても、他の経路を活用することで通信の継続性とリアルタイムのデータ共有に必要な通信品質を確保し、既存のアプリケーションを変更することなく通信の高信頼化を実現します。

また、NX Dlink/REDは、OPC-UA(※2)やROS(※3)など多様な機器・デバイスや用途に適したさまざまな通信プロトコルに対応。通信は暗号化によって保護され、セキュリティも確保できます。

※2 OLE for Process Control - Unified Architecture
※3 Robot Operating System

画像: 無線通信高信頼化ミドルウェア「NX Dlink/RED」の概要

無線通信高信頼化ミドルウェア「NX Dlink/RED」の概要

無線通信のさらなる活用に向けた大みか事業所での実証

ミッションクリティカルIoTに無線通信を適用するには、前述した諸課題を解決する必要があります。特にリアルタイム性が重視される領域では、ネットワークの多重化などによる通信の信頼性や継続性の確保が不可欠です。

そこでネットワーク多重化の効果などを検証すべく、日立の大みか事業所ではNX Dlink/REDを使った5G無線の実証を開始しました。この実証ではローカル5Gといった自社専用無線通信ネットワークの基地局を、事業所内各棟の屋上・屋内、屋外などに設置。AR(※4)による現場作業指示や自律走行ロボットの遠隔操作、コントローラー通信といった多様な局面を想定し、NX Dlink/REDを軸に無線通信の活用の幅を広げるための検証を重ねていく計画です。

大みか事業所では豊富なOTの知見をもとに、新製品や新技術の事前検証をほかにも数多く実施しており、そのフィードバックを通じて製品・技術の完成度向上に注力。さらにその成果をOTデジタルソリューションのショーケースとしてエネルギーや交通などのインフラ事業者に公開し、最新技術の社会インフラへの適用を後押ししています。

※4 Augmented Reality

共生進化アーキテクチャによるダイナミックケイパビリティの実現

ミッションクリティカルな社会インフラを長年にわたって支えてきた実績と経験を踏まえ、日立はこれからの情報制御システムに必要な<変化への適応力=ダイナミックケイパビリティ>を実現する「共生進化アーキテクチャ」を提唱しています。そしてミッションクリティカルIoTを支えるこのアーキテクチャに不可欠なのが、以下の3要素です。

まず、データの信ぴょう性・リアルタイム性の確保やシステム構成要素の堅ろう性といった「信頼性」で、NX Dlink/REDはこれに貢献します。続いて、現場とクラウドなど異なる階層・システム間を連携させる「オープン&シームレス」、そして3番目がビッグデータ解析やAIのアウトプットに応じて柔軟に機能変更できる「進化」です。

NX Dlink/REDは今後のエンハンスとして、サポートOSにWindowsを追加するほか、ネットワーク構築支援サービスや運用管理ツールの提供も予定しています。

今後も日立は、これら共生進化アーキテクチャの3要素を満たす新製品や新技術の実証とショーケース化などを積極的に進めながら、変化に即応するダイナミックケイパビリティを備えた社会インフラの実現に取り組んでいきます。

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