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研究分野においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みが加速しています。世界トップレベルの研究を背景とした人材育成と社会貢献をめざす、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、日立の協力によってプライベート基盤であるラボラトリ・デジタル・トランスフォーメーション(LDX)プラットフォーム(以下、LDXプラットフォーム)を開発し、2022年3月より運用を開始。現在、LDXプラットフォームを用いて、教員や学生が利用する共用研究室・講義室などの混雑状況や室内環境のモニタリング、また研究室に設置された計器類の監視、さらに研究に使用するガスや薬品の管理など、DX化に向けた取り組みを推進しています。

コロナ禍によって加速したLDXプラットフォームの開発

画像1: 北陸先端科学技術大学院大学事例(LDXプラットフォーム導入事例)
『共用研究室などの密集度や室内環境、研究用ガス・薬品の残量を可視化するプライベートクラウド基盤を導入』

北陸先端科学技術大学院大学
長谷川 忍 氏

 北陸先端科学技術大学院大学は、1990年、日本最初(※)の、独自のキャンパスと教育研究組織を持つ国立大学院大学として石川県能美市に創設されました。先端科学技術分野における国際水準の研究を背景とした教育を実施し、これまで数多くの優れた研究者、産業界のリーダーを輩出しています。現在も世界で最先端クラスの科学技術分野に挑戦する人材の育成をめざし、約1,200人の学生たちの研究環境を整備するための、積極的な取り組みを行っています。

 「以前よりキャンパスにおけるDX化が課題となっていましたが、コロナ禍で、密を回避するために共用研究室の混雑度をデータ化・可視化することなどが求められ、それが今回のLDXプラットフォーム開発を加速することにつながりました」と語るのは、本プロジェクトにおいて取りまとめを担った遠隔教育研究イノベーションセンター 教授の長谷川 忍氏です。「共用研究室は、不特定多数の教員や学生が使用しますが、研究の内容によっては、多くの人が長時間にわたって滞在することもあります。そのような密状態を避けることが、喫緊の課題となっていました」と長谷川氏は語ります。

 その課題に対して日立は、共用研究室の利用状況を常時確認できるよう、Webカメラを活用したソリューションを提案。さらに温・湿度センサーや、二酸化炭素・酸素濃度を計測するセンサーも加え、より詳細な室内環境データを可視化する、“スマート環境測定サブシステム”を提供しました。学生や教職員はその情報をもとに、より確実に密を避ける行動を選択できるようになったのです。このシステムは共用研究室のほかに学内の会議室や講義室にも採用されています。

※ 北陸先端科学技術大学院大学Webサイトより

多様な情報の可視化と一元管理、データの利活用を可能に

画像2: 北陸先端科学技術大学院大学事例(LDXプラットフォーム導入事例)
『共用研究室などの密集度や室内環境、研究用ガス・薬品の残量を可視化するプライベートクラウド基盤を導入』

北陸先端科学技術大学院大学
能登屋 治 氏

 LDXプラットフォームは、人流や室内環境以外にも、研究に必要とされるさまざまな情報の可視化を実現しました。「各種装置がある共用実験室が複数あり、この共用実験室で実験に使用するガス、薬品の在庫状況を把握する管理システムが必要でした」とナノマテリアルテクノロジーセンター 技術専門職員の能登屋 治氏は説明します。

 日立は、無線を用いてガスボンベのアナログメーターの読み取り・管理を行う“スマート測定分析サブシステム”のほか、ガスボンベの数量や薬品の在庫管理を行う“スマート在庫管理サブシステム”を提供。そして、“スマート環境測定サブシステム”も含めた各システムを統合・管理し、データ集約、可視化の情報基盤となるプライベートクラウドを、日立アドバンストサーバ HA8000VをベースにBIツールを使用して構築しました。「これまで、アナログな手作業で行っていたさまざまなデータの収集・集約を一元管理することができ、作業の効率化を実現できました」と能登屋氏は評価します。

 長谷川氏は、「日立さんの提案は、自社の製品・技術に限らず、他社の機器やシステムも積極的に組み込み、私たちの提示した仕様にかなうものでした。特に、アナログも含むさまざまな機器をシステムに適合させる、IoTの技術の高さを評価しています」と語ります。さらに、今後はこのシステムによって得られた多様なデータの蓄積と分析を進め、それらを有効に利活用していきたいといいます。

先進の研究施設を実現するための拡張性

 「今回のプロジェクトは本学のDX化の方向性を探る、いわゆるパイロットケースとしての役割も担っていました。その意味で日立さんには、長期の運用を想定した拡張性も重要な課題として提示しました」と長谷川氏は語ります。例えば、部屋の状況を把握する“スマート環境測定サブシステム”は現在14部屋に設置されていますが、「今後、部屋数を増やすことや、測定装置の追加なども想定しており、5年以上の長期的な運用をめざしています」と長谷川氏は今後の展望を語ります。

 そして能登屋氏は、「人流解析システムを、学内の研究施設にあるクリーンルームに展開したいと考えています」と抱負を語ります。基本的に外部とは隔離された空間であるクリーンルームへの入退室はその管理がより厳密であり、モニタリングやデータ収集のハードルはさらに上がることが想定されます。この点について能登屋氏は「技術的な点はクリアしていただけると思います」と期待を寄せます。

 最後に長谷川氏は「LDXプラットフォームは“防災”の側面でも大変有効です。その観点からも対象範囲をさらに広げ、学内全域を網羅するDXの基盤としての役割を果たしていくことをめざします」と語ります。先端科学技術の未来を担う人材を育成する、北陸先端科学技術大学院大学が、先進の研究施設であり続けられるように、今後も日立は高い技術力とノウハウを最大限に生かしてサポートしていきます。

画像3: 北陸先端科学技術大学院大学事例(LDXプラットフォーム導入事例)
『共用研究室などの密集度や室内環境、研究用ガス・薬品の残量を可視化するプライベートクラウド基盤を導入』

お客さまプロフィール

国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学

[所在地] 石川県能美市旭台1-1
[創設] 1990年10月
[学生数] 1,191名(2022年5月1日現在)
[役職員数] 319名(2022年5月1日現在)

国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学のWebサイトへ

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株式会社 日立製作所 公共システム営業統括本部

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