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Lumada Innovation Hub Tokyoにおける協創活動の最前線で活躍中の「DXコーディネーター」「デザインストラテジスト」「データサイエンティスト」による座談会を開催。アイデア創出の場となる Lumada Innovation Hub Tokyo 内の「Co-Creation Studio」に集まったプロフェッショナル3名が、自身の役割や取り組み事例、今後への抱負などについて語り合いました。

それぞれの役割について

──本日はDXコーディネーターの青山さん、デザインストラテジストの松本さん、データサイエンティストの四ッ谷さんにお集まりいただきました。まずは、それぞれのお仕事の内容、役割について簡単にご紹介ください。

青山
 DXコーディネーターはここLumada Innovation Hub Tokyoの開設に合わせて設けられた日立独自の職種で、DXに関する課題や悩みに直面するお客さまと最初に向き合う立場です。経営層から業務部門、DX部門までお客さまの立場はさまざまですが、それぞれの課題をまず聞き出すところから私たちの仕事はスタートします。

 そして、それぞれの課題の内容に合わせてデザインストラテジストやデータサイエンティストといったスペシャリスト、さらに、国内外にある日立の拠点などを連携させ、協創のためのチーム体制を組成する、まさにハブとして機能します。協創に向けた取り組みでは、時に当初は想定していなかったテーマや課題が表面化することもありますが、DXコーディネーターはそんなお客さまとの協創活動に臨機応変に対応しながら、ずっと伴走していく存在です。

画像1: Lumada Innovation Hub Tokyo スペシャリスト座談会
新たな価値の創出をリードする協創のプロフェッショナルたち

DX コーディネーター 青山朋子(あおやま・ともこ)

2003年(株)日立製作所入社。ソフトウエア開発部門でシステムエンジニアとしてキャリアを重ね、「Lumada Innovation Hub Tokyo」開設に向けたDXコーディネーターの社内公募に応募、選抜され現在に至る。データを活用するシステムエンジニアの視点と業務全体を俯瞰(ふかん)するマネジメントの視点のバランスを常に意識しながら、顧客の課題解決と新たな価値の協創に日々取り組んでいる。

松本
 DXコーディネーターが組織したプロジェクトチームは、お客さまとともにまず「何が課題で、どんなことに取り組んでいくべきか」という議論からプロジェクトをスタートさせます。この議論をスムーズに進めていくために話し合うテーマやめざすべき方向性をビジュアライズ(可視化)して整理したり、自由に議論しやすい場の雰囲気をつくったりと、あらゆる対象に対してデザインでアプローチするのがデザインストラテジストです。

 例えば新しいビジネスやサービスの機会をとらえたいのであれば、将来の変化を洞察する日立独自の「ビジョンデザイン」で将来像を示す。あるいは、現在の業務を改善したいのであれば、現状を観察・分析する手法で業務の全体像を可視化して課題を特定していく。デザインストラテジストはそうしたアプローチでプロジェクトをリードしていきます。

四ッ谷
 めざすべき方向を指し示すビジョンを策定できたら、そこへ向けてデータという視点から課題と目標を具体化していく、その基本設計を担うのがデータサイエンティストです。いわゆる「データ分析のみ」の専門家というイメージがあるかもしれませんが、ビジョンとデータの間に立って、分析の前にまずはお客さまの業務課題や求められている価値を見極めることも私たちデータサイエンティストにとって重要なミッションになります。

Lumada Innovation Hub Tokyoについて

──皆さんの活躍の舞台となっている、ここLumada Innovation Hub Tokyoについて、日々活用する立場からどのような印象をお持ちですか?

松本
 協創を円滑に進めていくためには「対話の場」がとても重要です。ただし、単なる空間を用意すればいいというものではなく、そこには人、情報、仕掛けやツールのすべてがそろっていなければなりません。このLumada Innovation Hub Tokyoという場があることによって人や必要な情報が集まり、そこにはさまざまな仕掛けやツールもそろっている。さらに、ここを起点に外部の人や場所どうしをつなぐこともできます。

画像2: Lumada Innovation Hub Tokyo スペシャリスト座談会
新たな価値の創出をリードする協創のプロフェッショナルたち

デザインストラテジスト 松本和己(まつもと・かずみ)

1997年(株)日立製作所入社。デザイン部門のデザイナーとして主にデジタル家電製品のプロダクトデザインを手がける。その後、ビジョンデザインの領域に活動の軸足を移し、協創手法やツール、それらを実践する場を包含する協創方法論「NEXPERIENCE」の開発や、それらを活用した顧客協創活動「Exアプローチ」に参画。2020年度のLIHT創設プロジェクトに当初から携わる。

青山
 そうですね。例えば、「Meet-Up Square」では18面マルチモニターを使ってオンラインとリアルを組み合わせたワークショップができる。大画面だからオンライン参加者もまるでその場にいるような臨場感で話ができるなど、まさに「つなぐ場」としてのLumada Innovation Hub Tokyoを体現していると思います。

松本
 Lumada Innovation Hub Tokyoで働くようになってから、仕事の質が確実に上がっている実感が私にはあるんですよ。実際、今いる「Co-Creation Studio」は、議論の場として適切な広さや必要な設備を考え抜き、ディスプレイの数やサイズ、照明の当て方に至るまで、長年にわたるワークショップの実践を通じて蓄積された、対話をスムーズに進めるためのノウハウに基づいて細部まで吟味して作り込まれたものです。

四ッ谷
 先日、外部のコンサルタントと業務課題の解決をめざしたもののうまくいかず、助けを求めてLumada Innovation Hub Tokyoに来られたお客さまがいました。ふだんとは違う雰囲気のためか、その担当者の方はそれまで言語化できていなかった問題まで私たちにアウトプットされて、そのおかげで今、課題解決に向けて着実に話が前に進んでいます。まさに、Lumada Innovation Hub Tokyoという特別な場の恩恵を感じる出来事でしたね。

協創プロジェクト事例

──これまで手がけられたプロジェクトについて、皆さんの取り組みや成果などについて教えてください。

松本
 街づくりなども手がける総合デベロッパー企業と取り組んだ次世代オフィスの新たなコンセプトを具現化する検討プロジェクトがありました。デベロッパーとしてオフィスを提供した後もサービスを常に更新していきたい。けれど、社内だけでは議論の整理やアイデア創出がうまくいかない…とご相談を寄せられたケースです。
 私たちはまず、働き方やライフスタイルの変化のなかでこれからのオフィスに求められることをお客さまとともに考え、めざすべきオフィスのコンセプトを明確化する「ビジョンデザイン」に取り組みました。

青山
 その過程でのディスカッションを通じて、私たちはお客さま自身の価値をより明確に言語化し、再定義していきました。そうやって自分たちの「ありたい姿」を描き、次にそれをどう実現するかを考えていくフェイズで、データサイエンティストとして四ッ谷さんも議論に入ってもらいましたね。

四ッ谷
 はい。私からめざすことに対してどんな技術でアプローチしていくことができそうかという話をするなかで、先方の若手の方からワークショップの後でも、「こういうことはできますか」と質問のメールをいただくなどして、積極的な議論ができたことが印象的です。ありたい姿の実現に向け、自分事としてとらえていただき、一歩踏み込んだ議論ができたのではないかと思います。

画像3: Lumada Innovation Hub Tokyo スペシャリスト座談会
新たな価値の創出をリードする協創のプロフェッショナルたち

データサイエンティスト 四ッ谷雅輝(よつたに・まさき)

2003年(株)日立製作所入社。ミドルウェア研究開発部門からキャリアをスタートし、データベースやアプリケーションのプロトタイプ開発などに携わる。その後、ソリューションやサービスの検討業務を経験し、2012年にはデータに関するコンサルティング「データマイスターサービス」の立ち上げに参加。以後、公共や金融、小売りなど多岐にわたる分野のデータ活用コンサルティングや顧客協創などに従事する。

青山
 1,000件以上のユースケースが登録されているLumadaをはじめ、日立にはDXに関する豊富な蓄積があります。この時も新たなアイデアは無数に出ましたが、それらを実現できる手段も相当数あった。一から作らなくてもやりたいことを速やかに実現しやすい点は日立の強みだと思います。

松本
 このプロジェクトで具現化したいくつかのアイデアは、ほどなく試行サービスとして実施しています。その際、定量的な観点に加え、サービス利用者へのインタビューや「エスノグラフィ調査」(※)といった定性的なアプローチでも経過を観察し、そこで顕在化した課題をもとに改善案を検討する、といったフィードバックを繰り返しました。最初にビジョンを考え、実行して終わりではなく、その後もお客さまと伴走しながらサービス品質向上に向けたサイクルを一緒に回していったのです。

四ッ谷
 プロジェクトを通じて、お客さま側のリーダーの方に「若手が自分たちの言葉で考えるようになった」「自分たちだけではこういう観点や意見は出てこなかった」と言っていただけたのがうれしかったですね。

青山
 当初は、お客さま自身からお客さまの言葉で意見を引き出すのに苦労しましたが、徐々に意識も変わっていって、結果的に100を超えるアイデアが生まれました。また、プロジェクトを通じて確立したビジョンに向けて、他の部署も巻き込んで議論していきたいとお客さまの内部でビジョンの輪が広がっていきましたよね。

松本
 めざすビジョンを1枚の絵にして共通認識を作り上げ、議論をビジュアライズしていくことで思考がクリアになったり、思ってもいなかったような発想が出てきたりと、お客さま自身で「デザインの力」を実感していただけたプロジェクトでした。「今後のよりどころになるバイブルができました」という感謝の言葉が強く印象に残っています。

(※) 現場での業務行動をつぶさに観察し、対象者本人も無自覚なニーズを探索する定性調査手法のひとつ。

これからに向けて

──最後に、Lumada Innovation Hub Tokyoの今後について抱負をお願いします。

松本
 これまでのプロジェクトはどうしても日立とあるお客さま企業との間だけで協創を進めることが多かった。今後はそうした1対1の関係だけでは解けないような課題の解決に向けて、より多くの人や組織、企業、拠点が、リアルでもバーチャルでもつながって、一緒に議論を進めていく、そうした広がりも追求していきたいと思っています。

四ッ谷
 カーボンニュートラルやスマートシティーといった大きな社会課題は、一企業だけの手には余る多様なテーマや複雑な問題を内包しています。これからは複数のお客さま間での協創に日立が寄り添ってサポートするような、1対多のプロジェクトを推進できる空間としても機能させていきたいですね。

青山
 私はとにかく、まず皆さまにぜひここLumada Innovation Hub Tokyoに足を運んでいただきたいですね。というのも、Lumada Innovation Hub Tokyoへの訪問を検討されているお客さまには、「ビジネスモデルをしっかり考えてから」とか、「事業の考え方をもっと詰めてから」といった方もいて、どう相談しようかと時間をかけて考えている。私たちとしては、柔らかい段階からご一緒に取り組んでいきたいと思っています。「DXについて、何から始めればいいか分からない」といったお客さまも、ぜひ一度私たちにご相談ください。

画像: これからに向けて

* 本座談会・撮影は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を行ったうえで実施しました。

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