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「IIFES(Innovative Industry Fair for E x E Solutions) 2022」では、日立グループブースの一角に複数のロボットを連携させた次世代製造ラインを構築。デモを通じて、さまざまな「際」をつなぐ「システム設計」「システム提供」「工場IoTソリューション」という要所を押さえた日立の「トータルシームレスソリューション」の一例を紹介しました。

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画像1: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

(左)前工程セル、(中央)中工程セル、(右) 後工程セル

 日立グループブースでは、2種類のボトルをピッキングする前工程セル、ボトルに充填(じゅうてん)、キャップ閉め、検査、印字を行う中工程セルとパレタイズ、搬送からなる後工程セルの3つのセルモジュールで構成した生産ラインを構築、PLCとMESを合わせ、ロボティクスとデジタルの双方でモノづくりのスマート化を支援する技術とノウハウを紹介しました。

 それぞれのセルの機器制御は、日立産機システムのPLC「EHVシリーズ」が担い、その上層では同社のIoT対応産業用コントローラ「HXⅡコントローラ」がセル間の制御を集中管理、生産ラインの製造情報を管理するMES「FactRiSM」に接続します。

 ではここから、①サイバーとフィジカルの際をつなぐ「システム設計」、②製造ライン間の設備の際をつなぐ「システム提供」、③経営と現場の際をつなぐ「工場IoTソリューション」という3つのポイントに沿って、今回のロボティクスラインのデモをトレースしていきましょう。

ポイント① サイバーとフィジカルの際をつなぐ「システム設計」

画像2: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

デジタルエンジニアリング:デバッグ画面

 製造ラインの設計にあたっては、ラインレイアウトを仮想的なサイバー空間上に配置し、詳細設計案や制御アルゴリズムを作成。さらに、デジタルエンジニアリング技術でシミュレーション検証を繰り返しながら、オフラインでデバッグを実施します。このようにサイバーとフィジカルを同期させながら開発を進めることで、製造ラインの立ち上げ期間短縮や量産稼働の早期安定化が可能になります。

ポイント② 製造ライン間の設備の際をつなぐ「システム提供」

画像3: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

インクジェットプリンタ印字工程

 2種類の異なるサイズのボトルが同時に生産されるライン上では、日立グループ Kyoto Roboticsの「3Dビジョンセンサー」が材料を識別。3Dビジョンセンサーはステレオカメラという3次元の目で箱の内部にある部品の形状を認識し、部品の3次元座標と向きをロボットアームに通知します。続いて、部品の向きに合わせてつかみ方を決めたロボットアームが部品ごとに既定のコンベアに配置。複数のマスターを登録することにより、部品を仕分けたうえでの配膳が可能です。

 次に、日立グループJRオートメーション社の「ロータリーインデクサー」がキャップやボトルの設置から液の充填、キャップ締め、計量、印字、パレタイズまでの7工程を1台で実行。小型製品の生産向けに標準化されたロータリーインデクサーは、ロボット作業を円形のインデックス上に配置することで高い面積効率を実現し、医療機器や自動車部品、小型電子製品の組み立てなど、幅広い分野で利用されています。

 そして、組み立てが終わったボトルには日立産機システムの「産業用インクジェットプリンタ」が管理IDを印字。このインクジェットプリンタは1秒間に33本ものボトルに非接触で高速印刷できるため、印字のためにラインを止める必要がありません。これにより、シリアル番号での全個体管理が可能になるほか、デジタル化した印字情報を製品生産や品質管理にも活用できます。

画像4: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

Racrewによる棚搬送

 そして最後に、日立インダストリアルプロダクツの小型無人搬送ロボット「Racrew(ラックル)」が完成品を倉庫へ搬送。人の手に頼ることなく、倉庫への搬送から空のパレットをラインに戻す作業までを自動化できるRacrewは、棚やパレットなどの下に潜り込んで搬送するため、従来型AGVより旋回半径が小さく、省スペースで搬送ラインの構築が可能です。また、床面の二次元バーコードを追跡する方式により、レイアウト変更やシステム拡張が容易で、搬送だけでなく、専用棚での保管や入出庫管理と連携するピッキングシステムなど幅広い庫内オペレーションに対応します。

画像5: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

HXIIコントローラ

 なお、ラインデモの機器は「HXIIコントローラ」で全体を制御し、さらに上位のMESやIoTシステムとつながることで、生産や装置状態の管理をデジタル化できます。このように、日立グループの製品群を組み合わせることで、素材投入から倉庫管理までをつなぐトータルシステムの構築が可能です。

ポイント③経営と現場の際をつなぐ「工場IoTソリューション」

 ロボットを活用した生産ラインの導入によるトータルな生産効率向上のためには、単に設備機器の効率化や無人化を図るだけでなく、生産現場と経営や他の部門をデジタルでつなぎ、工場全体のIoT化を推進することが重要です。

 日立の製造実行システム「FactRiSM」は、産業分野における日立の豊富なMESのノウハウを基に、生産現場の最適化を支援する製造実行システムです。装置状態をリアルタイムに反映した画像や、現場状態の表示項目などのオブジェクトを自在に配置することでお客さまの現場に最適化された監視画面を作成でき、「FactRiSM」で指示した指図の状況も監視画面に表示できます。

 さらに、製造実行システムに従ってラインを稼働させるだけでなく、日々変動する需要や出荷状況に応じた生産体制の細かく柔軟な制御も可能です。会場のデモでは、追加の特急オーダーなど急な変更指示を出すと即座に追加部材が流れ始め、突発的なオーダーにもラインが止まることなく即応する様子を紹介しました。また、「FactRiSM」ではスケジューラー機能による作業量や在庫情報を加味した計画の再作成も可能で、急なニーズの変動にも柔軟に対応できます。

画像6: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

ロボティクスラインデモの様子

 2022年4月、日立は日本とASEANにおけるロボティクスSI事業の強化に向けて、自動車を中心としたロボティクスSI事業を手掛けるケーイーシーと日立産機システムの各種製造業向け組立・搬送ラインのロボティクスSI事業を統合し、株式会社日立オートメーションを発足させます。今後はロボティクスSIを核としたOTとITをワンストップで提供可能な新体制のもと、デジタル技術を融合した新たなソリューションの提案を通じて、お客さまのさらなる事業価値向上に貢献していく考えです。

 ロボティクスSI事業のグローバルリーダーをめざす日立は、これからもお客さまとの協創による課題抽出や解決策の提案に取り組みながら、事業価値の最大化を図る「トータルシームレスソリューション」によるモノづくりの進化を支えていきます。

「IIFES 2022」日立グループブース 展示ソリューション

「IIFES 2022」の日立グループブースで展示した多数のソリューションから一部を紹介します。

経営と現場をつなぐ「工場IoTプラットフォーム」

画像7: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

 成長力や収益力、競争力の向上をめざす企業には、経営判断のスピードアップやPDCAサイクルの迅速化などが求められます。そして、その鍵を握るのがスピーディーなIoTデータ利活用基盤の実現です。

 「工場IoTプラットフォーム」は、工場の生産状況や設備稼働状況といったデータをリアルタイムに収集・加工・蓄積する「Hitachi Data Hub」と、工場内のIoTデータからデジタル空間に生産ラインを再現して(デジタルツイン)、生産業務全体の最適化を支援する「IoTコンパス」などを組み合わせ、経営視点で生産活動実態をとらえたKPIを可視化。IoTデータの利活用によって工場運用の全体最適化をサポートします。

 また、現場とクラウドの間を高速大容量・低遅延の5G回線に対応したローカル5Gハンドリングミドルウェアとソリューションでしっかりとつなぐことで、クラウド活用AIによる自動化や遠隔支援・仮想空間作業といった新たな価値創出も促進します。

生産ロスを可視化する「4Mロス分析サービス」

画像8: 「IIFES 2022」日立グループブースレポート
ロボティクスラインデモ

 製造現場では、設備や作業者ごとの生産性が一様でないため、生産ラインのスピード低下や滞留といったボトルネックが発生します。しかし、現場の状況は常に変化しているため、そのボトルネックの要因を特定することは困難です。製造現場での生産ロスを減らし、工場の稼働率を改善するためには、生産ロスを生じさせている要因を特定する必要があります。

 設備稼働データ(Machine)、材料データ(Material)、手順データ(Method)、作業者動作データ(huMan)という4Mデータを活用した「4Mロス分析サービス」は、現場に散在するデータの相関分析により、作業待ちや滞留による生産ロスを可視化。全体の稼働状況や設備ごとのロス状況、ロス発生時の現場映像などを確認することで生産ロスの要因を自動推定し、生産性向上のための対策立案を支援します。また、ロス対策の効果を推定することも可能です。

他社登録商標
「Racrew」は日立インダストリアルプロダクツの日本における登録商標です。
その他、本記事に記載の会社名、商品名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

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(株)日立製作所 インダストリー事業統括本部

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