基幹系システムのモダナイズとデジタルアプリケーションの融合が急務に
新型コロナウイルスの感染拡大は企業活動にも大きな影響を与えました。その中で、企業の業務継続やお客さまとのエンゲージメントの維持などで明暗を分けたのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応を“すでに進めていたか否か”ではないでしょうか。
テレワークやWeb会議への迅速な移行、オフィスに行かなくてもペーパーレスで業務が進められる環境の確保、店舗だけに頼らない販売チャネルやお客さまとの接点確保など、コロナ禍(か)への対応がスムーズに行えた企業の多くは、早くからDXを意識したビジネス変革を進めていたと考えられます。
以前から日本では、いわゆる“2025年の崖”として、企業競争力を失わないためにはDXの実現が急務とされていました。しかし、ビジネスの重要な基盤となっている基幹系システムやアプリケーションの老朽化、複雑化、ブラックボックス化が大きな問題となっています。それがコロナ禍で改めて“待ったなし”の状況となり、レガシーな基幹系システムをビジネス環境の急速な変化に追随させるモダナイゼーションの動きが本格化しています。
その一方で、DX時代のイノベーション創出に向けて、企業とお客さまとの関係をつなぐSoE領域のデジタルアプリケーションの開発ニーズも拡大しています。ただし、これまでデジタルアプリケーションは、センサーやスマートデバイス、SNSなどから取得するデータを活用・分析するような単体稼働型が多く、レガシーな基幹系システムとはデータ連携において分断された状態でした。
本当の意味でのDX実現には、基幹系システムで保有する業務コアデータ(お客さま属性、コンタクト情報、取引など)とデジタルアプリケーションとのシームレスなデータ連携が不可欠であり、そのためには、基幹系システムの必要な部分について、データを迅速・柔軟に利用するためのモダナイゼーション(柔軟なアーキテクチャー・技術・プロセスへの置き換え)が必要です。モダナイズされたアプリケーションは、その構造や開発プロセスの面でデジタルアプリケーションと親和性が高く、融合・一体化することで、新たな価値の創出が可能になります。
日立は、デジタルアプリケーションと基幹系レガシーシステムが分断されている姿から、モダナイズされた基幹系システムとデジタルアプリケーションが融合・一体化し、新たな価値創出が可能な姿へのトランスフォーメーションを支援します。
エンタープライズレベルでのアプリケーショントランスフォーメーションを実践
どうして日立が、このようなサービスを提供できるのか――それは日立が50年以上の長きにわたり、社会を支える代表的な基幹系システムを、お客さまの業務や課題を理解したうえで上流工程から下流工程までお客さまに寄り添って設計・開発を進めるとともに、その時代ごとの課題をタイムリーに解決してきた実績と信頼があるからです。
例えば、1960年代の「鉄道座席予約システム」、「銀行オンラインシステム」、2010年代後半の「リサイクル管理システム」や「メガバンク勘定系システム刷新」といった、社会基盤を支える数々のシステム開発に日立は携わってきました。そこでは常に、お客さまのドメインナレッジ・課題を深く理解したうえで、適切な技術・製品の組み合わせや連携を提案し、アプリケーション設計・開発を担うことで、お客さまの課題解決を最後の一手(ラストワンマイル)までデリバリーを通じて具現化するという強い信念を貫いてきました。
開発技術においても、大規模開発向けの部品化や標準化、フレームワーク化、新たな開発手法であるアジャイルやDevOps、DXの進展に向けたクラウド化やモダナイゼーション、テキストマイニングや画像処理などの人工知能(AI)・データ分析、そしてWith/Afterコロナにおけるニューノーマル対応まで、常に時代が求めるアーキテクチャーへの対応を進め、積極的なサービス化やソリューション化を行ってきました。
こうした基幹系からDX領域まで多岐にわたる技術やドメインナレッジを含むノウハウの蓄積があるからこそ、日立は基幹系システムをモダナイズし、DX領域のデジタルアプリケーションと融合・一体化させるアプリケーショントランスフォーメーションを実践することができるのです。
アプリケーションのトランスフォーメーションを支援する「AXソリューション」
AX(*1)ソリューションは、アプリケーションのトランスフォーメーションを支援するさまざまな手段を提供します。
具体的には、既存資産をスリム化・可視化する「Application Lifecycle Management(ALM)サービス」、レガシーシステムをモダナイズする「マイグレーションサービス」、アプリケーション開発の効率化やマネジメントの高度化を図る「Justware」、変化に強いシステムを構築する「マイクロサービステクニカルソリューション」など、実績あるサービス群を活用しながら、レガシーな基幹系システムの業務・資産分析からシステム移行の方針策定、計画・実行までをトータルに支援。お客さま自身で新たな価値創出を行うためのアジャイル開発やDevOpsの導入を支援するサービスも提供するほか、上流工程から下流工程まで対応メニューを拡充させていくことで、デジタルアプリケーションと基幹系システムの融合・一体化を迅速に進め、アプリケーションのトランスフォーメーションを支援します。日立は、このAXソリューションを活用したうえで、レガシーからデジタルまでの多岐にわたるアプリケーションデリバリーを通じてお客さまの経営課題の解決を実現します。
*1 Application Transformation
お客さまとの接点業務のDX対応を図る「CXサービス」
企業がDXを実現するには、企業が掲げる目的達成を直接担うライン業務・システムのDXが最優先ですが、これに加え、マーケティングやブランディング、広報など、どの企業でも必要なお客さまとの接点業務――いわゆるコーポレート業務のDX対応も重要なポイントになります。お客さま目線で自社の商品やサービスの課題を抽出し、より満足してもらえる体制を整えること、そして対面コミュニケーションが減少するニューノーマル時代では、従業員や生活者からの信頼を強化し、組織の一体感を醸成することも企業力やブランド力の向上に欠かせない要素となるからです。つまりこれらは、コーポレートトランスフォーメーションの一ステップを担っていると言えます。
これまで日立は、さまざまなお客さまとの接点の課題を解決するデジタルサービス、つまりコーポレートトランスフォーメーションを支えるCX(*2)サービスとして、AXソリューションを活用しつつ、お客さまやアカデミア・パートナーとの協創を軸に開発・サービス化した「感性分析サービス」「ブランドモニタリングサービス」「共感モニタリングサービス」などを提供してきました。
日立は、これらのCXサービスをお客さまのDXの課題解決に適した形で適用するとともに、対応業種とメニューをさらに拡大しながら他の業務用途で開発されたLumadaのソリューションとも連携させ、新たな価値を創出していきます。
*2 CorporateTransformation
お客さまのDX実現を支えるアプリケーションデリバリーパートナーとして
日立は、エンタープライズアプリケーションサービスとしてAXソリューションとCXサービスを活用し、エンタープライズレベルでのトータルなアプリケーションデリバリーを実現することで、お客さまのDX実現とグローバルにおける社会イノベーションに貢献していきます。
他社登録商標
本誌記載の会社名、商品名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。