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youtu.be第1回Microsoft 365 Copilot活用コンテスト、開催
2025年1月、日立全社に向けて「第1回Microsoft 365 Copilot(以降、Copilot)活用コンテスト」へのユースケースの募集が呼びかけられた。北海道支社でも"Go to 品川!"を合言葉に、エントリーするユースケースの絞り込みとブラッシュアップ作業が進む。
「コンテストというひとつの目標が設定されたことで、メンバーの結束力はいっそう高まり、ユースケースの精度も上がっていきます。北海道支社長の簑輪さんのむちゃ振りから始まったコンテストはポジティブな効果しかなく、実現に漕ぎ付けられて本当に良かったと思います」と日立のGenAIアンバサダーでプロジェクトリーダーの大山は語る。
簑輪のアイデア発のコンテストだが、もちろん審査はフェアに行われる。北海道支社では応募するユースケースについて吟味を重ね、次の5つに絞った。

大山 友和(おおやま ともかず)
日立製作所 デジタルシステム&サービス営業統括本部 Executive Strategy Unit GenAIアンバサダー
5つのユースケース
ユースケース1:契約書作成・契約交渉支援
契約書などのドキュメントについて営業がお客さまとの交渉に臨む際、法律の専門家ではないため内容の把握はもとより重要条項の抽出などは難しく、これまで半日から1日かかっていた。その業務をCopilotの活用により約10分に短縮。しかも交渉のアプローチについてアドバイスまでもらうことができる。

ユースケース2:入札時の情報収集支援
自治体に対して毎年、「競争入札参加資格申請」を提出する必要があるが、市町村ごとで提出期限や様式が異なり、その情報を収集しテーブル形式にまとめるのに100市町村想定でこれまで約33.3時間かかっていた。その業務をCopilotの活用により約1時間に短縮することができる。

ユースケース3:営業監査資料の作成支援
営業監査のための資料作りでは、これまで案件ごとに関連するメールや注文書、請求書などから必要な情報を抽出し、時系列にまとめる必要があったが、Copilotを活用することで情報の抽出から時系列での整理まで自動化。1案件につき約1時間を要していた資料作成時間を約3割削減できる見込みだ。

ユースケース4:挨拶文の作成支援
支社長が支社の社員向けにメッセージを発信する機会は少なくない。毎回、下書きから推敲まで多くの時間を要するこの作業をCopilotで効率化することができる。新年なのか年度スタートなのか、挨拶文の種類を選び、入れたい内容の指示などを行うことで下書きが生成され、調整作業だけでメッセージが完成する。

ユースケース5:顧客ヒアリング用アンケートの作成支援
見込み顧客にアンケートを発送する作業には、多くの労力を要する。この業務にCopilotを活用し、発送先の自動選定からアンケートの質問文の下書きの作成、さらにアンケート結果の分析までを効率化。より効果的なアンケートの作成、迅速な顧客へのレスポンスなどの実現をサポートする。

これら5つのユースケースのうち、「Copilot活用コンテスト」の最終選考に「契約書作成・契約交渉支援」と「入札時の情報収集支援」の2つが残った。そして2025年3月、それぞれを発案した営業部の松永健二郎と企画部の吉田紗枝子が、品川の日本マイクロソフト本社での本選会においてプレゼンテーションを行った。その結果、見事、松永の「契約書作成・契約交渉支援」のユースケースがMicrosoft賞を獲得する。
スタート地点に立った
現在、北海道支社の生成AIの利用率は100%に達し、業務の効率化を社員の100%が実感している。簑輪に利用率100%達成の感想を聞くと、「スタート地点に立てた、という気持ちです。これで、従業員のワークライフバランスを守りながら、お客さまに新たな価値を提供できる基礎が整いました。今後も気持ちを緩めず、全力で生成AI活用を加速します。AI時代は、どんな小さな企業もその活用次第で競争優位を確立できるのですから」と言う。その簑輪の考えの根拠のひとつとなっている人物がいる。「契約書作成・契約交渉支援」のユースケースでMicrosoft賞を獲得した松永だ。松永は2年前に北海道支社に異動で来たが、それ以前は日立製作所 野球部に所属していた。
「こちらに来るまでは業務経験は無く、自分の経験不足をどのように補うか悩んでいる時に生成AIを知り、こんな便利なものを利用しない手はないと思い、使いはじめました。『契約書作成・契約交渉支援』も、自分がお客さまと交渉する中で、知識の足りなさを感じたゆえの発想です。生成AIを使いこなすことで、私のような営業未経験者でも、お客さまにレベルの高い提案を行うことができる可能性を実感しています」と松永は言う。

松永 健二郎(まつなが けんじろう) 日立製作所 北海道支社 社会システム第一営業部
もちろん松永本人の弛まぬ努力や周囲の支援が大前提だが、業務経験のなかった人間がわずか2年で営業の最前線に立てるようになった要因のひとつに生成AIの活用があるだろう。
簑輪は、北海道支社の生成AIによる大きな変革を期待している。「北海道のお客さまのニーズに応えるためには、北海道支社のみんながコンサルタント的な役割も担う『課題解決型営業』に変わらなければなりません。簡単な課題ではありませんが、私たち北海道支社の強みと生成AIを掛け合わせれば、実現できるはずです」

簑輪 正樹(みのわ まさき) 日立製作所 北海道支社長
生成AI利用率100%の成功事例を全国へ
大山は北海道支社でのプロジェクトの成功を、次へと連鎖させる算段をすでに進めている。
「北海道支社のトップダウンとボトムアップの融合アプローチを日立全社に広げていきます。全国の日立拠点にプロジェクトチームを作り、お互いが情報を交換し合い、切磋琢磨していくようなネットワークを作りたいと考えています。日立全社で生成AIの業務活用率100%を達成すると、とんでもない変革が起きると思いませんか?さらに今後は、日立社内だけでなく、お客さまやパートナー企業の組織の生成AI活用も支援していきたいと考えています」
日立のGenAIアンバサダーたちはこれからも、幅広い分野で生成AIの活用を推進し、日本のビジネスの生産性を高めていく。生成AI活用に悩む企業や組織は、是非日立に相談してみてはいかがだろうか。
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簑輪 正樹(みのわ まさき)
株式会社 日立製作所 北海道支社長
株式会社 日立製作所に入社以来、ビルシステムや産業分野のアカウント営業を担当。関東支社副支社長を経て、現在北海道支社支社長として北海道における日立グループ全体のビジネスをリード。

大山 友和(おおやま ともかず)
株式会社 日立製作所 デジタルシステム&サービス営業統括本部
Executive Strategy Unit フロントサポートセンター チーフプランニングエキスパート
GenAIアンバサダー
コンサルティング部門にて、営業業務改革、新規事業の立上げなどに従事した後、日立コンサルティングにて、基幹業務システム構築などを担当。プロジェクトリーダーとして、システム企画・構築・運用全般を統括その後、営業バックオフィスを支える業務システム全般を統括。現在、営業部門の生成AI徹底活用プロジェクトの取りまとめとして、講演活動、ナレッジ蓄積、社内コミュニティ運営、人材育成などの取組みを推進中。
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