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本稼働した大阪市の新たな「予算編成システム」は、実際の業務に利用したユーザーからの意見や要望などに応じて改善を重ねながら、より便利で使いやすいシステムへと進化していきました。プロジェクトの成功を踏まえ、大阪市では幅広い業務領域を対象としたバックオフィス(内部管理業務)DXを加速させ、効率的で質の高い自治体運営のための組織全体の最適化と働き方改革を実現していく計画です。

「第1回 かつてないスピード感で成し遂げた新システム構築」はこちら>

スピード感あるシステム導入を実現した2つの手法のかけ算

大阪市が推進するバックオフィスDXの先駆けとして、新たな「予算編成システム」が2024年7月から稼働を始めました。それまで紙やメールなどのやり取りによるアナログな運用となっていた予算編成業務のDXは、大阪市にとって大きな変革であり挑戦です。その実現にあたって本プロジェクトでは、ローコードプラットフォームを最大限活用したスピード感のあるシステム構築を追求し、ユーザーである市職員に可能な限り早くDXの効果を実感してもらうことをめざしました。

画像: 大阪市 財政局 梅屋 剛 氏

大阪市 財政局
梅屋 剛 氏

さらにプロジェクトチームは、ユーザーから寄せられた要望や意見をシステムに取り込んでいくスピード感も重視し、短い周期で反復的にソフトウェアを開発・リリースするアジャイル開発の手法を採用。システム内に設けた「問い合わせ機能」でユーザーの意見を直接吸い上げ、開発事業者である日立とリアルタイムに連携できる仕組みを構築することで、スピーディーなリリースにつなげていきました。

初期段階で仕様を確定させる「ウォーターフォール手法」を採用しつつ、リリース後に「アジャイル手法」で改善を重ねた本プロジェクトの進め方について、「最初に骨組みを決め、一定の完成度に達した段階から柔軟に進められたことが良い結果につながりました。もし最初からアジャイル手法で進めていたら手戻りも多かったでしょう」と振り返るのは、大阪市 財政局の梅屋 剛氏です。さらに同市 デジタル統括室の西村 満氏も、「構築後の微調整が難しいウォーターフォールで最初から完璧をめざすのではなく、まずは80点でリリースし、その後アジャイル手法で改善していく方法が奏功しました」と、異なる手法を組み合わせた進め方を評価します。

徐々に変わる職員の意識

新たな予算編成システムの導入初年度にあたる2024年度は、システムの精度を検証するため、従来の手法による予算編成に係る集計作業も並行で実施しました。慣れ親しんだこれまでのExcelなどによる仕事のスタイルからの脱却は容易ではありませんが、一方で、従来のやり方では難しかった数字の即時把握や、分析作業の効率化など、徐々にシステム導入の効果が見られています。梅屋氏は、「本来、システム導入の目的はコア業務に注力できる環境を作ることです。今後、システムを中心とした予算編成業務への移行を加速させ、システムと予算編成の親和性をより高めていくことで、業務効率の向上や負担軽減効果なども明確に顕在化してくるでしょう」と今後の展望を語ります。

画像: 大阪市 デジタル統括室 西村 満 氏

大阪市 デジタル統括室
西村 満 氏

また、大阪市が職員を対象に毎年実施しているバックオフィスDXに関するアンケートでは、今後のバックオフィスDXプロジェクトに対する期待値が前年度から約10ポイント上昇しました。これについて西村氏は「予算編成システムの本稼働で多くの職員が変化を目の当たりにした結果、DXに対する認識が深まり、期待感が高まっているのでしょう」と確かな手応えを感じているようです。

大きなアクシデントもなく、本システムで予算編成業務を滞りなく完遂できたプロジェクトについて、「上々の滑り出しですが、まだまだ改善の余地はあります。今後、ユーザーの声を拾い上げながら、もっと使いやすいシステムにしていければ」と評価する梅屋氏と西村氏。入札の結果、大阪市は開発に引き続き、2025年4月から3年間にわたる本システムに関する継続的なライセンス・サポート契約を日立と締結しました。

レガシーとイノベーションのバランス

現在、大阪市では「行政DX」の一環として、予算編成システム導入に続くさまざまなバックオフィスDXプロジェクトを推進しています。すでに「調達・契約システム」の開発が進んでおり、来年度にはバックオフィスDXの基盤となる「統合プラットフォーム」が導入される予定です。その後も共通公文書管理サービスや財務事務支援サービス、財務会計システム、人事・労務関連システムなど、多数のプロジェクトが次々と計画されています。

大阪市のバックオフィスDXでは、縦割り運用だった業務の横断化のほか、データの二重入力や非効率な業務プロセスの解消などを通じて業務の最適化を図っていく方針です。その過程において、合理性や必然性を欠いた制度・慣習といった見直すべきものも少なくないと指摘する西村氏。「長年定着した制度や慣習を見直す作業は容易ではなく、特に歴史ある大阪市という巨大組織ではなおさらです。これからのDXには、こうしたレガシーと新たなイノベーションを両立させるバランスが求められるのではないでしょうか」と今後のDX推進のポイントを話します。

また、今回のプロジェクトが成功した大きな要因は、「“トラブルは起こるもの”を大前提に、認識や見解に相違があっても真摯(しんし)に話し合い、関係者が納得できる“落としどころ”を見つけながら合意形成できたことではないか」と総括する梅屋氏。自治体DXの実績が豊富で、大阪市のIT施策にも精通する日立には、これからもDXに関する質の高い提案を期待していると言います。

大阪市バックオフィスDXの確かな第一歩となった今回の予算編成システム導入プロジェクト。今後、さらに取り組みを本格化させる大阪市の挑戦に寄り添いながら、日立は本プロジェクトを通じて得られた高度な知見なども駆使して、全国自治体の行政DXを果敢にサポートしていきます。

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