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従来課題の解決と業務スタイルの革新をめざして、業界をリードする“安全衛生のインフラ企業”が取り組む新営業ポータル開発プロジェクト。ユーザーの経験をもとに課題を抽出・分析し、お客さまとともに価値を創出していく日立の協創方法論「NEXPERIENCE」が、その妥協なき挑戦を導き支えています。

属人化した営業活動の効率化が課題に

1952年創業のミドリ安全株式会社(以下、ミドリ安全)は、安全靴やヘルメットなど産業用安全衛生保護具をはじめ、環境改善機器や電気計測器、さらに医療機器・救急用品などを製造・販売する安全衛生保護具業界のリーディングカンパニーです。支社・支店や販売会社など全国各地を網羅する確固たる直販体制を確立しているほか、法人/個人向けにそれぞれ通販サイトを自社運営するなどEコマースなども積極展開しています。

画像1: ミドリ安全株式会社「新営業ポータル」開発プロジェクト
第1回 デザイン思考で協創する新たな営業スタイル

ミドリ安全株式会社
営業統括本部
執行役員
江守 隆 氏

高度な技術力と優れた商品開発力、そして多面的な営業力を長年にわたり磨き上げてきた同社には、国内トップシェア製品も少なくありません。しかしその一方で、全国200拠点あまりで展開する営業活動はある課題に直面していたと言います。「情報やノウハウを営業員間で共有する仕組みが弱く、営業活動が属人化していたことで、事務手続きなどの工数の点で非効率な状況にありました。その結果、受注処理や在庫確認など事務処理が営業員の大きな負担になっていたのです」と説明するのは、ミドリ安全の執行役員を務める江守 隆氏です。

売上の多くを占める既存のお客さまへのリピート販売でも、一般に事務員が対応するような定型的な事務処理も一部営業員で対応。その結果、営業員が本来注力したい新規営業や既存のお客さまに対する深耕営業の拡大のための時間を捻出しづらい状況でした。営業活動にともなう手続きをできる限り簡素化し、こうした非効率な状態を解消することで、お客さまへの提案型セールスや情報提供といった付加価値の高い活動により注力していくことが求められていたのです。

意欲的な試みをけん引する経験ベースのデザイン思考

折しも複数の全社的システムの構築プロジェクトを進めていた同社は、その一環として複数のシステムに分散する生産管理や在庫情報、見積データなど、さまざまな営業関連情報を参照可能な営業ポータルを構想。端末画面に沿って見積回答や受注処理を完結できる新たなツール開発の具体的な検討を開始しました。

画像2: ミドリ安全株式会社「新営業ポータル」開発プロジェクト
第1回 デザイン思考で協創する新たな営業スタイル

ミドリ安全株式会社
企画管理部 企画管理グループ
高橋 和樹 氏

「例えばお客さま先で見積を求められた場合、いったん会社に戻り、情報やデータを集めてから見積書を作成してお客さまに送る、というのがこれまでのやり方でした。これを商談の場で営業ポータルの画面から見積はもちろん、在庫状況や納期までその場でお客さまに提示・回答できるようにしたいと考えたのです」とその意図を説明するのは、同社企画管理部の高橋 和樹氏。さらに、ベテラン営業員の実績やノウハウを容易に参照できるようにすることで、経験の浅い営業員でもお客さまに質の高い提案が可能になるなど、営業活動の属人化という課題の解決もめざしたと言います。

こうしたなか、前述の全社的なシステム構築に参画していた日立は、新営業ポータル開発にあたり、デザイン思考をベースとした協創アプローチを提案。その結果、サービスデザインとサービス工学を融合・体系化した協創方法論「NEXPERIENCE」を用いて、ユーザーのリアルな経験を重視しながら課題解決をめざす実践手法「Exアプローチ」が評価され、ミドリ安全の新たな営業ポータルの開発パートナーに選ばれました。

定性調査と定量調査の組み合わせで現状の課題を抽出・分析

画像3: ミドリ安全株式会社「新営業ポータル」開発プロジェクト
第1回 デザイン思考で協創する新たな営業スタイル

株式会社 日立製作所
デジタルソリューション事業統括本部
エンタープライズソリューション事業部
産業システム本部 第二システム部
技師
加藤 哲平

新営業ポータルの検討にあたり、まずは現在売上の多くを占めるリピート案件の効率化による新規案件や深耕案件の拡大をプロジェクトの目的に設定。そのうえで、現状の業務フローと課題を把握・整理する「調査フェーズ」、そして、あるべき営業ポータルを具体化し、想定ユーザーの受容性を評価する「具体化検証フェーズ」という工程に沿って、営業員の経験をもとに営業活動の動線をポータル上に実装していくプランを立案しました。

調査フェーズの柱となるインタビュー調査では、全国各地の10拠点から1名ずつ、計10名の対象者を選定。計15回・約44時間に及んだインタビューでは、現状の営業プロセスやシステム・ツールの利用実態、それに関する課題感や工夫点などを引き出しました。

本件のプロジェクトマネージャーとなった江守氏は、「まず日立さんには支店や販売会社などでリアルな仕事内容や営業活動を観察してもらいました。その後のインタビューでは、ベテランから若手まで経験値に差のある営業員、加えて都市部と地方の販社など、経験差・地域差を軸に私どもで抽出した対象者から丁寧に各自の意見や思いを聞き出してもらったのです」と振り返ります。

画像4: ミドリ安全株式会社「新営業ポータル」開発プロジェクト
第1回 デザイン思考で協創する新たな営業スタイル

株式会社 日立製作所
Data&Design
Design Studio
Designer
石田 貴昭

一方、本件のプロジェクト実行リーダーとなった高橋氏も「対話を通じて対象者自身も気づいていないことを引き出す日立のアプローチが強く印象に残っています。実際に同席したインタビューでも『もともと自分はお客さまに新たな提案がしたかったんだ』といった営業員本人すら意識していなかった本心や意欲が明らかにされたのには驚きました」とその効果に目を見張ったと言います。

また、個々人の意見や思いを狭く深く引き出す定性的なこのインタビュー調査と並行して実施したのが、営業員56名へのアンケートによる定量調査です。広く浅く現状に対する意見を抽出・分析したうえで、そこから得られたインサイトを導出し、営業活動のフローチャート上にプロットする「Exテーブル」としてまとめました。

画像: Exテーブルのイメージ 調査結果から営業の業務フローと関係するステークホルダーや課題を可視化

Exテーブルのイメージ
調査結果から営業の業務フローと関係するステークホルダーや課題を可視化

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