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地中の各種管路を高精度かつ効率的に検出したのに加え、現場からの求めに応じた新たな対象物の探査にも挑戦。その実用性と優位性は、かつてさまざまな困難に直面していた職員たちの認めるところとなりました。そしてこれを機に、現場ではDXによるさらなる業務改革へ向けた機運も高まっています。

「第1回 DXによる高精度で効率的な地中埋設物調査」はこちら>

技術やサービスを進化させる潜在ニーズ

画像: 技術やサービスを進化させる潜在ニーズ

今回のプロジェクトには、現場からの求めに応じて挑んだ1つのチャレンジがありました。それが、道路や鉄道の地盤補強のために埋設される「床版」と呼ばれる板状の構造物の探査です。当該エリアの台帳や平面図上には、床版があると思われる範囲が線で表現されていましたが、設置から長期間経過しているため管理者や所有者すら詳細は分からず、コンクリートか金属かその材質も不明で、ほとんど情報がない状況でした。

現場の要望は「実際に床版が埋まっているかどうかを知りたい。また、床版が埋まっているとすれば、精度にはこだわらず、大まかな場所を知りたい」というものでしたが、本来こうした対象物は地中可視化サービスのサービス提供範囲から外れるものです。また、本サービスが提供する地中レーダー探査の特性上、対象物がコンクリート製の場合はレーダー反応が弱く検知も困難になります。

そのうえで、正確に検知できない可能性もあることを前提に調査を実施した結果、床版があるものと推察できる結果が得られ、3次元化してプラットフォーム上に可視化することができたのです。

さらに今回のプロジェクトでは、地上の無電柱化などに伴い埋設した電線を収容する「電線共同溝」と思われる構造物の可視化にも成功。このように、これまで埋設管を対象としてきた地中可視化サービスが、それ以外の構造物にも対応できる可能性を確認できたこともまた、本プロジェクトにおける大きな成果と言えます。現場の生の声が起点となったこれらのチャレンジは、現場に潜在するニーズが技術やサービスを進化させ、その可能性を広げる契機になることを実証したのです。

現場の業務と意識を変革したDXの可能性

画像1: 独立行政法人都市再生機構「地中可視化サービス」
第2回 現場に寄り添い、現場を変えるデジタル活用

株式会社 日立製作所
公共システム営業統括本部
第二営業本部
第三営業部 第二グループ
田畔 紗依香

その後も各所の探査は順調に進み、試掘結果との比較検証を実施したところ、±15cm以内を目安としていた測定誤差が1cm程度と、精度の高い結果が得られたことが確認されました。また、車載型探査装置による効率化に加え、今回採用した4チャネル探査装置によって、従来のシングルチャネル探査装置と比べて2~3倍の作業効率化が図られたことなどもあり、プロジェクトチームは設定したスケジュール内での地中埋設物調査を完了しました。

成功裏に終わったこのプロジェクトを振り返り、営業担当として携わった日立の田畔 紗依香は、「安田さまに私たちと現場を結ぶ懸け橋になっていただいたことが、現場の皆さまにも納得いただける結果につながったのだと思います」と、課題の発見とその解決を促した質の高いコミュニケーションこそがプロジェクト成功の鍵だったと示唆します。

画像2: 独立行政法人都市再生機構「地中可視化サービス」
第2回 現場に寄り添い、現場を変えるデジタル活用

独立行政法人 都市再生機構
西日本支社
都市再生業務部 事業企画課
課長
安田 和弘 氏

その言葉を受けて、「現場にはたくさんの困りごとがありますが、日々目の前の業務に忙しくて課題解決までなかなか手が回りません。しかしそこを掘り起こしていかなければ、課題は課題のままずっと放置される。今回はそこにスポットを当てて適切に対応できたことでよい結果につながりました」とUR都市機構の安田 和弘氏。プロジェクト完了後の社内報告会では職員の方々からサービスへの評価と期待の声が数多く寄せられ、確かな手応えを感じたと言います。

そして本プロジェクトのもう1つの成果が、職員の意識改革です。最新のDX技術の恩恵を実感したことで、職員自ら「この技術をこの業務に生かせるのではないか」と考える習慣が生まれ、すでにDX活用に関するたくさんのアイデアが提起されているとか。新しい技術が身近な業務に役立つと実感できれば、もっと使ってみたいと考えるのは自然なこと。地中可視化サービスを通じてそうした積極的な意識づけができたことを、安田氏も大いに歓迎しているそうです。

また、うめきた2期区域と同様に本サービスで埋設物調査を実施した枚方エリアの現場でも、3次元化した地中の様子の確認時には、職員から「3D画像の横に平面図を表示してほしい」といった要望が多数寄せられたと言います。地中可視化サービスに対する現場の理解が進んだことで生まれた、より実践的な意見や示唆は、サービスにさらなる進化を促す重要なヒントとなることでしょう。

デジタル技術でこれからの社会基盤整備を進化させる

画像3: 独立行政法人都市再生機構「地中可視化サービス」
第2回 現場に寄り添い、現場を変えるデジタル活用

株式会社 日立製作所
公共システム事業部
公共基盤ソリューション本部
社会インフラ保守事業推進センタ
技師
田川 大介

今後も地中可視化サービスを積極活用していきたいというUR都市機構からは、「スピード重視か精度重視かなど、データ解析の優先項目を選べるようにしてほしい」といった要望も寄せられています。一方、日立の田川 大介は「将来的には、解析プロセスの効率化・自動化などによってリードタイムをさらに短縮して、例えば急な管路の修繕対応時などに想定される『結果をすぐに見たい』といったニーズにも柔軟にお応えしていきたいと考えています」と、今後に向けたサービスの進化を見据えます。

なお現在、UR都市機構は地中可視化サービス以外に、DXを通じた業務改革についても検討中とのこと。安田氏は「日立さんには今後も技術と技術を組み合わせて“こんな使い方がある”といった革新的なユースケースを提案してほしいですね」と、今回のプロジェクトだけにとどまらない、日立とのパートナーシップに期待を寄せます。

都市の基盤整備や再開発事業の現場が直面する課題にデジタルの力で的確に応え、より円滑で効率的な事業推進を支援する地中可視化サービス。そのさらなる普及拡大、そして進化を追求しながら、日立はこれからもDXを通じた業務改革を通じて社会インフラのより適切な維持管理に貢献していきます。

※ 本記事の内容はUR都市機構への適用事例であり、すべてのお客さまに同等の性能を保証するものではありません。

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