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日立はマテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)関連のソリューションである材料開発ソリューションを提供しています。今回は、日立の材料開発に特化した「分析支援サービス」の一環であるMIに関するコンサルティングと、分析環境ツールの「材料データ分析環境提供サービス」をご活用中の日東電工株式会社(以下、Nitto)研究開発本部データサイエンスグループの片山 基輔氏と、日立のMIに関するコンサルティングを担当する高原 渉が同社の活用について紹介します。

「日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【組織編】」はこちら>

NittoでのAI活用の利便性を追求した日立の材料開発ソリューション

高原
私は材料工学を大学院で専攻して、MIを活用したメーカーでの材料開発業務を経て、日立に中途入社しました。日立へ入社後のはじめてのお客さまがNittoでした。日立は材料データ分析支援サービス(以下、分析支援)と材料データ分析環境提供サービス(以下、分析環境)を提供しています。私は分析支援の一環としてMI関連のコンサルティング業務を行っています。材料分野は学習元となるデータの数が少なく、2桁ということもざらにあります。データサイエンスの文脈からすればとてもデータ数が少ないですが、良い材料を作り世の中に貢献しようとお客さまと一緒になって日々頑張っています。

片山氏
私は、大学院では分離膜を研究しており、入社後にAIに触れてから5年になります。入社当時は材料分野へのAIの適応事例は少なかったものの、他社がAIを使えば100年以上の歴史があるNittoでも負けると感じ、とにかく取り入れなければと危機感を持ちつつ取り組んできました。

画像: 日東電工株式会社 片山 基輔 氏

日東電工株式会社 片山 基輔 氏

――意思決定を高速化する日立のコンサルティング

高原
Nittoのデータサイエンス部門の担当者に加えて、材料開発担当者にもご同席いただき、気体分離膜開発のテーマでコンサルティングをさせていただきました。このMIという分野は材料とデータサイエンスの複合領域であり、扱う技術領域が多岐にわたります。そのため、関係するすべての部署の認識をうまく合わせることが重要です。その際に障壁となるのが、材料の領域の言語とデータサイエンスの領域の言語の違いです。この障壁をなくすために、Nittoのコンサルティングをさせていただく中で、片山様をはじめとするデータサイエンス担当者と材料開発担当者との潤滑油となるように心がけました。

片山氏
MIの推進には人間の頭脳とAIの融合がポイントと考えていまして、実験データの用意や分子情報の絞り込み、解析結果をどう解釈して次につなげるかという考察や議論に時間がかかりネックとなっていました。コンサルティングを受けて大きく変わった点が、プロの視点から解析の判断への意見を率直に言っていただき、その結果、当社の材料開発担当者からも信頼されたことです。それにより、議論を高速化することができ、意思決定が格段に早くなりました。課題を共有してまとめる苦労もありましたが、一番時間がかかる部分を高速化できたのが良かった点です。

高原
MIを推進する際にはAIのモデルがロバストで汎化性能に富んでいるか、過学習していないかなど、さまざまな考慮すべき要素があります。MIに関するコンサルティングをさせていただく際には、今までの実務経験やKaggleなどのデータ分析コンペティションでの知見も踏まえて実施をするように心がけています。

――AI導入から生まれた開発期間の変化

片山氏
日立の分析環境のおかげで、Microsoft® Excel®を使うような感覚でAI解析ができる環境になり、研究開発の加速につながりました。コンサルティングを受けた気体分離膜開発はNittoの重要なテーマなのですが、解析結果を社内で報告したところ、かなりの反響があり、一気に興味が広がったことを実感しました。仮にMIを活用せずにすべての実験を実施すると数十年かかるところを、MIを活用して数か月でできることを社内に示せたのも効果的でした。日立という外部のプロからのコンサルティングで社内の信頼度も上がっていますし、短期間で新しい材料が見つけられることを示せて良かったです。

高原
日立社内で分析支援や分析環境の理想の姿を日々模索している中、その理想のベースとなる形(分析支援の一環であるMIに関するコンサルティング×分析環境)でNittoとの取り組みを実施させていただきました。Nittoの重要なテーマである気体分離膜開発において、その成果が出てきたことが大変うれしかったです。

画像: 株式会社日立製作所 高原 渉

株式会社日立製作所 高原 渉

片山氏
2020年に解析したテーマ数は多くなかったのですが、それから2年位で解析するテーマ数が20倍に増えました。今はもっと増えており、分析環境の導入でデータサイエンスグループ以外の一般の材料開発担当者が使えるようになったからだと思います。また、新入社員のMI研修においても分析環境を使用していますが、研修で解析結果を出すだけではなく、各自が解析結果について考察できるようになったことは良い流れですし、普及効果も大きいと思います。

分析環境を全社的に利用することで、実験担当者に任すようにしてテーマ数は増える一方で、データサイエンスのメンバーはより難しいテーマや新しいテーマへ取り組むといった切り分けができるのがありがたいです。社内からのMIへのニーズや、期待感も急に上がってきました。これまでは数値データの解析を中心に社内展開をしてきましたが、画像やスペクトルデータからも情報抽出ができれば研究開発の加速につながるので、将来はそのようなMIのプラットフォームになることにも期待しています。

高原
Nittoは黎明期から組織的にMIに取り組まれていて、社内での普及も含めて非常にバランス良くMIを進められていると思います。分析支援の一環であるMIに関するコンサルティングでは、材料ドメインに加えてデータサイエンスの知見や理解がある者がコンサルティングを担当させていただいています。また、日立の分析環境がほかのサービスと違うのは、材料開発に特化して作っていることです。お客さまからのフィードバックも取り入れて、今後も日立の材料開発ソリューションを進化させていきたいと思います。

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日東電工株式会社(Nitto)

本社所在地:大阪市北区大深町4番20号 グランフロント大阪 タワーA 33階
代表取締役:髙﨑秀雄
設立:1918年10月
従業員数:28,371名(連結)、6,672名(単体)(2023年4月現在)
グループ会社数:国内18社、海外79社

Nittoは絶縁材料の国産化に向けて1918年に創業。8つの基幹技術を掛け合わせ、エレクトロニクス、モビリティ、医療関連などの領域で、人類や地球環境に貢献できる製品を提供し、グローバルに事業を展開している。1986年に世界初の水処理膜専門工場を立ち上げた高分子分離膜のパイオニア的存在で、近年は日立のMIソリューションも活用してCO2分離膜を開発し、環境貢献につながる独自のESG経営を展開している。

画像1: 日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【技術編】

片山 基輔氏

日東電工株式会社
研究開発本部
基幹技術研究センター データサイエンスグループ

●大学院時代に分離膜(材料化学と分子のシミュレーション)を研究していたことなどから、新卒入社後にデータサイエンスグループへ配属●入社後はじめてMIに触れてから約5年で各種の成果、実績を生んでいる●将来の目標は、究極の分離技術から生まれるNittoの分離膜で地球の環境問題を解決すること

画像2: 日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【技術編】

高原 渉

株式会社日立製作所
公共システム事業部
公共基盤ソリューション本部
デジタルソリューション推進部
技師
日立認定データサイエンティスト(ゴールド)

●大学院では材料工学を専攻。メーカーでのMIを活用した材料開発業務を経て、日立製作所入社。 現在は、データサイエンティストとして日立の材料開発ソリューションに従事。●趣味はデータ分析で、プライベートでデータ分析コンペティションに参加している。Kaggleコンペティション「Vesuvius Challenge - Ink Detection」準優勝。Nishikaコンペティション「材料の物性予測」3位入賞。Kaggle Master●社外講演等の活動も多く、MIの普及促進を行っている。

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