Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
日立は、マテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)を加速するソリューションとして「分析支援サービス」「材料データ分析環境提供サービス」をはじめ、DX支援サービス・実験データ収集サービスなどの各種サービスを提供中です。日立の材料開発ソリューションをご利用中の日東電工株式会社(以下、Nitto)研究開発本部データサイエンスグループ長の前田 和久氏と、日立の材料データ分析環境提供サービス担当の福岡 誠之が、導入の経緯や導入効果についてご紹介します。

「日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【技術編】」はこちら>

Nittoの材料開発を加速する日立のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)

福岡
私は、日立の材料データ分析環境提供サービス(以下、分析環境)のプロダクトマネジメントを担当しています。分析環境の開発やUI/UXデザインの要件定義のほか、分析環境活用に向けたコンサルティングなどを行っています。ユーザーヒアリングの一環として、分析環境に関するご意見をいただき、サービス改善の参考にしています。

前田氏
当社は、工業用の両面テープに加え、近年では光学材料や回路基板、医療分野などの高機能材料を幅広く取り扱っています。当社ではDXへの取り組みの中で、材料開発ではMIを活用しようと考えました。データサイエンスグループの仕事は、AIを用いて新製品開発を加速させることで、化学や情報学、物理、数学など、さまざまな知識を持つ人が活躍しているのがグループの強みになっています。

画像: 日東電工株式会社 前田 和久 氏

日東電工株式会社 前田 和久 氏

――日立の分析環境の導入理由

前田氏
データサイエンスグループでの本格的なMIの活用は2016年からで、会社全体としては翌年からです。当初は小規模の人数でどのように開発を加速させるかが焦点となっていました。最終的には会社への数値貢献をしたかったのですが、数人ではどう頑張っても難しいと思い、グループ内だけではなく、社内の材料開発者全員でMIを使って開発を加速させようと考えました。そこには今利用している分析環境が必要でした。

福岡
私は、分析環境を特殊なツールではなく、汎用性のある材料開発のプラットフォームとしてご提供したいと考えています。

前職で開発現場と研究所を行き来した経験から、開発者の全員が研究所メンバーに相談すれば対応が追いつかなくなると予想していました。

MIの適用が広がると誰もが扱えるプラットフォームが必要になるので、分析環境ではそういった点を意識していまして、Nittoにもご評価いただけたのだと思います。

――研究開発部門の400名へ分析環境を普及

前田氏
複数のサービスを検討した結果、日立にはしっかりした技術がベースにあり、一緒に改善していけそうと考えて、日立の分析環境を導入しました。当初は社内でAIへの関心はほとんどなかったのですが、最終的に研究開発本部のすべてのR&D関係者へ分析環境のアカウントを配布しました。最初は利用者も少数でしたが、AI解析による研究の加速を実感してリピートにつながり利用が広がりました。現在Nittoは経営の中心にESG※1を置いており、エコにつながる二酸化炭素を分離するCO₂分離膜を開発していますが、その材料開発にも分析環境を生かしています。

また、MIを社内で普及促進するための刺激のひとつとして、分析環境の開発担当者にNittoの材料開発者と直接お話しいただく機会も作っていただきました。

※1 Environment, Social, Governance

福岡
Nitto内での分析環境の普及のため、2022年から2023年にかけてイベントのお手伝いをさせていただきました。茨木の研究所と豊橋、尾道の各事業所の現地とオンラインでセミナー形式と座談会形式のイベントを行いました。日立としても個別の課題を直接伺えてよかったですし、積極的なフィードバックもいただいてサービスの改善につながりました。

画像: 株式会社日立製作所 福岡 誠之

株式会社日立製作所 福岡 誠之

――テーマ数も増加し、新入社員もMIを使いこなす時代へ

前田氏
研究開発におけるMI適用テーマ数は順調に伸び、分析環境の導入を境に20倍に増加しました。社内の認知も広まり、分析環境の導入によって組織が変化した面と、組織が変化して普及した面がありました。導入後は上層部も積極的に、分析環境を利用した開発を勧めており、研究開発のテーマを検討する段階から、分析環境の利用を前提にした相談が増えています。

新入社員研修では、実際のモノづくりのテーマの中でMIを使い報告するスタイルの研修も実施しています。以前はツールの使い方の説明が多かったのですが、若い人は覚えるのも早く、意欲的に吸収して私たちの想定を超えた使い方をする人も出て、逆に私たちにも気付きを与えてくれたこともあります。そして一度覚えるとより高度な知識を知りたいという要望も出てくるようで、現在はツールの使い方の説明は少なくして、実務レベルの解析のノウハウも教えています。

――今後のMIと日立への期待

前田氏
分析環境がなければ現在のNittoのMIの力はないと思いますし、AIを使うのが当然という意識も出始めてきました。AIがすべてを解決するかはともかく、取り組まなければ生き残っていけないと思います。今後は意識的にではなく、実験する感覚と同様に、MIも開発に必要なひとつの技術というマインドや仕組みにしていきたいです。MIの技術発展は非常に早く、開発も大変だと思いますが、企業が普通に扱えるシステムになればと思いますし、それを実現するために日立と一緒にやっていきたいと思います。

福岡
今後も「みんなが使うツール」として日立の分析環境をご提供したいと思っており、Microsoft® Excel®プラスアルファのように日常的に使えるツールにしていくのが目標です。最終的にはお客さまが実験を組むときの最良のフローを実現できるツールになるように、こだわっていきたいです。

「日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【技術編】」はこちら>

日東電工株式会社(Nitto)

本社所在地:大阪市北区大深町4番20号 グランフロント大阪 タワーA 33階
代表取締役:髙﨑秀雄
設立:1918年10月
従業員数:28,371名(連結)、6,672名(単体)(2023年4月現在)
グループ会社数:国内18社、海外79社

Nittoは第一次世界大戦による材料の海外調達が困難な中、絶縁材料の国産化に向けて1918年に創業。8つの基幹技術を掛け合わせ、エレクトロニクス、モビリティ、医療関連などの領域で、人類や地球環境に貢献できる製品を提供し、グローバルに事業を展開している。顧客ニーズに立脚した価値創造を産み出す企業姿勢やGlobal Niche Top™戦略は世界的に注目され、近年は独自のESG経営を実践している。

画像1: 日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【組織編】

前田 和久氏

日東電工株式会社
研究開発本部
基幹技術研究センター
データサイエンスグループ長

●同社の材料開発分野のDX導入に向けて、同社データサイエンスグループ創設時にデータサイエンスグループ長に就任●粘着剤をはじめとした材料設計の経験とAI/MIの活用の両面から同社の材料開発の加速を推進している。

画像2: 日東電工 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)事例【組織編】

福岡 誠之

株式会社日立製作所
公共システム事業部
公共基盤ソリューション本部
デジタルソリューション推進部
技師

●大学院では材料工学を専攻。メーカーでのMIを活用した材料開発業務を経て、日立製作所入社。 現在は日立の材料開発ソリューションの中で、材料データ分析環境提供サービスのプロダクトマネジメントや、素材企業のDX/MIプロジェクトの支援に従事。●材料開発や、MI、システム企画、新規事業推進・業務改善の支援といった幅広な経験から素材企業のDX化を支援している。Kaggle Expert、中小企業診断士

他社登録商標
Microsoft、Microsoft Excelは米国Microsoft社の日本およびその他の国における登録商標または商標です。
本誌記載の会社名、商品名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

This article is a sponsored article by
''.