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「日立環境イノベーション2050」に掲げた環境長期目標の達成をめざして、独自の脱炭素化施策を推進する日立製作所の神奈川事業所。多岐にわたるその取り組みの全容をお届けするシリーズ企画の第1回は、脱炭素化へ向けた活動の社会的背景やビジョンなど取り組みの全体像について、神奈川事業所の施策を支援しているデジタルシステム&サービス統括本部の担当者の言葉を交えながら紹介します。

環境配慮型製品開発など多彩な環境活動を推進するモノづくり拠点

約19万㎡の敷地に約2,500名が従事する日立製作所の神奈川事業所は、ストレージやサーバーといったITプラットフォームの開発設計・製造のほか、横浜事業所と連携しながらストレージ向けのミドルウェア開発なども担っています。本事業所の主力製品であるストレージ製品はその大部分が輸出に充てられており、これまで100か国以上の国々に輸出されてきました。

同事業所では、製造現場でのCO₂排出量削減や事業所全体の電力の可視化など、さまざまな環境活動に取り組んでいます。特に注力するのが、ストレージ製品のライフサイクルを通じたLCA※1ベースのCO₂排出量削減です。例えば、独自の容量削減機能の開発や大容量SSD※2や高効率電源の採用などにより、記憶容量1テラバイト当たり1年間使用した場合のCO₂排出量を段階的に削減してきました。

神奈川事業所によるこの「環境配慮型ストレージ」の取り組みは、脱炭素化や省エネルギー化を推進する第三者機関からの認証も受けています。現在、すべてのストレージ製品で一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO※3)のCFP※4宣言認定を取得。加えて、エネルギー効率に優れたオールフラッシュアレイストレージ製品では国際ENERGY STAR認定※5取得も推進中です。

※1 Life Cycle Assessment
※2 Solid State Drive
※3 Sustainable Management Promotion Organization
※4 Carbon Footprint of Products
※5 日米両政府合意のもと、1995年10月から実施されている国際的省エネルギー制度

時代が求める「製品単位」「バリューチェーン全体」という開示基準

画像1: 神奈川事業所の環境活動
第1回 “モノづくり”の脱炭素化をリードするITプラットフォームの主力工場

株式会社 日立製作所
デジタルシステム&サービス統括本部
E2E改革本部 サービス・プラットフォーム開発推進部
部長
尾野 孝之

環境長期目標「日立環境イノベーション2050」では、バリューチェーンを通じた2050年度までのカーボンニュートラル達成、2030年度までのCO₂排出量50%削減(2010年度比)と事業所におけるカーボンニュートラル達成という目標を掲げました。一方、欧州エコデザイン規則(ESPR※6)やEU炭素国境調整措置(CBAM※7)などを背景に、企業には製品単位でのCO₂排出量の把握・開示が求められるようになり、そのために、自社内のCO₂排出量であるScope1、2だけでなく、バリューチェーンを含めたScope3のCO₂排出量情報も開示していくことが世界のすう勢となっています。

2022年度における日立製作所とその連結子会社の年間CO₂排出量のうち、自社内のScope1、2は全体の0.6%に過ぎず、残りがScope3、特に製品を出荷して使用される下流工程で全体の約89%を占めました。「2030年度までのCO₂排出量50%削減や2050年度までのバリューチェーンを通じたカーボンニュートラル達成のためには、近年のM&Aによって変化した製品ポートフォリオの見直しなどとともに、個々の製品ごとにその製造・使用時のCO₂排出量をきめ細やかに算出・可視化したうえで削減していくことが不可欠です」と語るのは、全社的な環境施策立案に携わり、神奈川事業所の環境活動も支援している尾野 孝之です。

これまで神奈川事業所では、調達した部品を基板にはんだ付けしてストレージ製品などのプリント基板を製造し、その重量を計測したうえで排出係数を乗じてCO₂排出量を概算していました。しかし、この手法では完成品を実測しなければならず、そのための手間や時間も無視できません。そこで同事業所では、設計部品表(BOM※8)や製造工程・設備(BOP※9)をベースに、Scope1、2、3を網羅するCO₂排出量を製品単位で精緻に算出・可視化し、さらにこのプロセスを自動化する実証を推進しています。

※6 Eco-design for Sustainable Products Regulation
※7 Carbon Border Adjustment Mechanism
※8 Bill of Materials
※9 Bill of Process

これからの脱炭素戦略を先導するモデル事業所として

画像2: 神奈川事業所の環境活動
第1回 “モノづくり”の脱炭素化をリードするITプラットフォームの主力工場

株式会社 日立製作所
デジタルシステム&サービス統括本部
E2E改革本部 サービス・プラットフォーム開発推進部
担当部長
角田 淳

原材料や部品の調達から、製造、使用、廃棄まで、バリューチェーン全体を通じたLCAベースのCO₂排出量の算出・可視化には、多岐にわたる膨大なデータの収集が必要です。その点、長年にわたって製造のデジタル管理や製品のCO₂排出量の算出・可視化、そして環境配慮型製品の開発を推進してきた神奈川事業所には、基幹システムや周辺システムを含め、CO₂排出量算出に必要な充実したデータベース環境がすでに整備されています。さらに、同事業所は他の生産拠点に先駆けてBOMや工程管理システムの導入も進めてきました。

また、世界各国に拠点やグループ企業を展開している日立にとって、CO₂排出量のScope1、2も、バリューチェーンにおける上流・下流を含めたScope3も当然、国境を越えた広がりのなかでそれぞれ把握していく必要があります。この点について、プロジェクトに関わる角田 淳は、「製品単位のCO₂排出量算出ではバリューチェーン全体を勘定に入れる必要があり、海外に出荷している場合は当然現地のバリューチェーンも考慮しなければなりません。その点、神奈川事業所では国内拠点だけでなく海外拠点とのサプライチェーンも確立しており、密な連携が図られています」と説明。つまり神奈川事業所は、LCAベースのCO₂排出量算出・可視化という日立全体のミッションをリードしていくモデル事業所としてふさわしい事業拠点といえるのです。

画像: サプライチェーンマネジメント全体における環境負荷算出の概要

サプライチェーンマネジメント全体における環境負荷算出の概要

取り組みから得た脱炭素の知見をグループ全体へ、さらに社会へ

現在、神奈川事業所が実証を推進しているLCAベースの製品単位でのCO₂排出量算出・可視化は、今後日立グループ全体のモノづくりにおける環境活動を考えるうえで、極めて重要な取り組みのひとつです。そして実際、この実証にはプラットフォームとなる脱炭素推進支援「EcoAssist-Pro/LCA」をはじめ、製品含有化学物質一元管理システム「A Gree'Net」、購買業務支援サービス「TWX-21」、ハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi」、IoTサービス「Hitachi Global Data Integration」など、多岐にわたる日立グループの製品やソリューションが活用されています。

日立グループ全体の環境活動における神奈川事業所の役割について尾野は、「神奈川事業所の実証で得られた脱炭素化に関する知見や技術を、これから日立グループ全体に展開し、ゆくゆくはお客さまやサプライヤーも含めたバリューチェーン全体、さらに社会全体にまで広げていきたい。その広がりは、日立が、そして日本がめざす2050年のカーボンニュートラル達成に向けた大きな力になるはずです」とその重要性を強調しながら、今後追求すべき方向性を展望します。
めざす未来を見据えながら着実に進められる神奈川事業所の環境活動。シリーズの第2回のテーマは、取り組み全体の中核的な位置づけにある「CO₂排出量算出・可視化実証」です。こうした環境課題の解決を通じて、日立は社会、そして世界を変革していきます。

「第2回:豊富な経験知が支える、LCA×製品単位の精緻なCO₂排出量算出・可視化実証」はこちら>

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