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兵庫県養父市は4月25日、デジタル田園都市国家構想(※1)推進事業の一環として5月15日よりサービスを開始した「遠隔行政窓口」の記者発表とデモンストレーションを行いました。このネットワーク接続されたシステムは、モニター、プリンター、書類撮影用カメラなどを用いて、テレビ電話形式で手書きの書類による申請が行えます。高齢者などが市役所や地域局に行かずに、リモートで市役所職員と相談しながら、マイナンバーカードを用いた本人確認と手書き書面のスキャンにより遠隔申請ができるという、全国の自治体で初(※2)となるこのサービスの開発に日立が貢献しました。また、将来的にさまざまなサービスとのデータ連携を実現する「データ連携基盤」の構築も日立が担当しています。
※1 内閣府、デジタル庁が主導する、デジタルによる地方創生や社会課題解決を図る構想
※2 養父市役所調べ(2023年4月25日時点)

高齢化が進む地方ならではのサービスを開発

画像: 高齢化が進む地方ならではのサービスを開発

「養父市は兵庫県北部に位置し、県内41市町の中で6番目に広い面積となっています」と語るのは、本プロジェクトを担当する、養父市経営企画部 デジタルファースト課 課長の安達 洋道氏です。「市内の多くは山間地で、豪雪地帯に指定されています。また高齢化率は全国平均の28.4%を大きく上回る39.8%です。これらの要因が今回のサービス開発の起点となりました」と安達氏は続けます。また、実際に「市役所や地域局への移動が困難だ」という声も多く、今後、運転免許証の返納などが進めば状況はさらに厳しいものになっていくことが予想されます。

「一般的に普及しているオンライン申請もありますが、やはり高齢者にとってはハードルが高いと考え“紙の申請書への手書き”という方法にこだわりました」と安達氏は語ります。市の中心地から離れた場所に住む高齢者の状況を熟考したうえでの配慮でした。実際、公共交通機関を利用した場合、市役所への移動が半日がかりになってしまうケースもあり、雪の降る季節にはさらに負担や危険度が増します。それでも、市の担当者と対面で話しながら申請を行いたいという高齢者は多く、今回の遠隔行政窓口はそれらの要望に応えるサービスです。

本サービスは、政府が主導するデジタル田園都市国家構想推進交付金の対象として採択された「養父市デジタルヘルシーエイジング事業」の一環となる取り組みです。養父市は、マイナンバーカードの交付率が全国2位の93%(2023年5月時点)であり、この強みを生かしたサービスを日立と開発しました。なお、今後数々のサービスを展開していく、デジタルヘルシーエイジング事業の基礎となるデータ連携基盤の構築も日立が担当しています。

遠隔窓口でワンストップの申請を可能に

画像: ブースに設置された市民側端末

ブースに設置された市民側端末

遠隔行政窓口の端末は、市役所への申請や相談を行う「市民側」と「市役所職員側」に分かれています。市民は、大型モニターと申請書類を出力するプリンター、書類を撮影・スキャンする書画カメラ、操作のためのタブレット、そして本人確認で使用するマイナンバーカードを読み取るカードリーダーを使用します。職員はタブレットと書画カメラを使用して対応します。今回、市民側端末は、市役所や地域局から離れた場所にある6つの自治協議会(※3)に設置され、電話ボックス型のブースタイプが2か所、パーティションタイプが4か所となっています。職員側端末は市役所および地域局に計4か所設置されます。

利用にあたっては、市民が市役所に電話で遠隔行政窓口の利用予約をする必要があります。予約日時に自治協議会に設置されている端末のスイッチを入れ、タブレットの相談開始をタッチすることでテレビ電話が起動。市役所で待機している市の職員との対話が可能になります。職員はリモート操作で市民側のプリンターから、手続きに必要な書類を出力することができます。この書類を所定の場所にセットすると、書画カメラによって市民と職員で画像を共有することができ、市民は職員のガイドに従って書類に必要事項を書き込みます。書き終わった書類は、職員が書画カメラを介してスキャン・PDF化し、申請書類として受理されます。あわせてカードリーダーでマイナンバーカードによる本人確認も行います。一連の申請手続きは、市民側での機器操作がほとんどなく、職員によるリモート支援を受けながら進められるため、デジタル機器の利用が苦手な市民もスムーズに実施できます。

「デジタル機器が苦手でオンライン申請ができない高齢者でも、遠隔で紙の書類による申請をワンストップで行えます。また、それぞれの自治協議会は市民が歩いて行ける身近な場所にあり、デジタル・デバイド対策、交通移動困難者への対応に貢献します」と安達氏は言います。

※3 複数の自治会によって構成される市民の団体

さらに高い利便性をより多くの市民に届ける

遠隔行政窓口の今後の展開について「設置方法や運用面などが工夫できれば、自治協議会よりもさらに小規模な施設への設置も可能になり、市民一人ひとりのもっと身近なところでサービスが展開できるようになると思っています」と安達氏は語ります。また、養父市デジタルヘルシーエイジング事業に関しては、今後、オンライン申請や健康管理アプリ、電子クーポン、市民向けポータルなどの新たなサービスの提供も予定していると言います。

安達氏は、「提示した課題や要求に対し、日立さんからは、多くのスペシャリストの方たちが綿密な議論を重ねた結果を提案していただけました。そこに氷山の見えない部分のような層の厚さと知見の深さを感じました」と評価します。2014年に国家戦略特別区域の指定を受け、より多くの市民のため、積極的にデジタルの力を生かした新しい挑戦を行う養父市の取り組みを、日立はこれからも支援していきます。

画像: さらに高い利便性をより多くの市民に届ける

お客様プロフィール

兵庫県養父市

[所在地] 兵庫県養父市八鹿町八鹿1675
[人 口] 21,730人(2023年4月末現在)
[世帯数] 9,191世帯(2023年4月末現在)
[職員数] 287名(2022年4月1日現在)

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他社登録商標
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株式会社 日立製作所 公共システム営業統括本部

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