「DX(デジタル・トランスフォーメーション)を起こすためにまず必要なのは、リテラシーではなく“思考法”です」
そう喝破するのは、昨年『DXの思考法』を著し、数々のDX関連イベントに登壇している西山圭太氏。かつて経済産業省で商務情報政策局長を務め、現在は株式会社経営共創基盤(IGPI)のシニア・エグゼクティブ・フェローとして活動するなど、長きにわたり日本の経済・産業の第一線で活躍されてきました。
「デジタルというツールをビジネスに活かすには、発想の転換が求められます。コツと言ってもいいでしょう。だから“思考法”なのです」
もしあなたが「自分が所属する部門だけでDXを起こせないだろうか」とお考えならば、西山氏の答えは「NO」だと言います。
「部門を横断して取り組まなければ、DXを起こすことはできません。しかし、多くの日系企業はいまだにタテ割り組織の行動様式のままです。過去の経済成長期を勝ち抜くためにはタテ割りが適していましたが、そこから脱却できずにいるのです」
ベストセラーとなった西山氏の著書『DXの思考法』は経営者向けに書かれたものでした。しかし、企業のトップだけでなく中堅クラスの方々もDXの思考法を身につけなければ、“会社”は変わらない。すなわち、DXを起こすことはできないと西山氏は強調します。
「ところが、10年以上同じ企業に勤めていると、どうしてもその組織の思考に染まってしまい、自分が所属する部門の枠内でしか発想できない。つまり、タテ割り型の思考に陥りがちです。みなさんをその呪縛から解放することが、今の日本経済に必要だと思います」
では、ヨコ割り型の思考とはどのようなものなのでしょうか。
わかるようでわからない、DXの正体とは何でしょうか。
そもそも、デジタル化とは何なのでしょうか。
この連載では、『DXの思考法』を上梓されたあとも西山氏が着想し続けるアイデアを加味し、さまざまな切り口からDXを噛み砕いて解説していただきます。
「連載を読まれた方に、『ああ、DXとはこういうことなのか』という気づきを得ていただければ幸いです。お伝えしたいのは、あくまでも、DXを起こすための“ヒント”。それを読者の皆さまの職場に当てはめて考え、行動していただけたら、きっと今以上に仕事が楽しくなるはずです」
4月から始まる新連載「西山圭太『DXの思考法』」。DXを起こそうと日々奮闘しているすべてのはいたっく読者の皆さま、どうぞご期待ください。
西山圭太(にしやま けいた)
東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授
株式会社経営共創基盤 シニア・エグゼクティブ・フェロー
1963年東京都生まれ。1985年東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。1992年オックスフォード大学哲学・政治学・経済学コース修了。株式会社産業革新機構専務執行役員、東京電力経営財務調査タスクフォース事務局長、経済産業省大臣官房審議官(経済産業政策局担当)、東京電力ホールディングス株式会社取締役、経済産業省商務情報政策局長などを歴任。日本の経済・産業システムの第一線で活躍したのち、2020年夏に退官。著書に『DXの思考法』(文藝春秋)。
『DXの思考法 日本経済復活への最強戦略』
著:西山圭太
解説:冨山和彦
発行:文藝春秋(2021年)