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長期安定稼働が前提となる制御システムでは、運用を継続しながらシステムの拡張性、保守性、信頼性を確保することが重要です。日立は、全体システムを止めずに制御システムを拡張・保守できる自律分散アーキテクチャーをフレームワーク化し、高信頼なシステムの安定開発を可能にしました。

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サブシステムが協調して業務を続行できる自律分散技術

 大みか事業所では、ハードウェアに関するモノづくりのほか、ソフトウェアの設計・開発も行っています。このソフトウェアの設計・開発フェーズで採用されている代表的なアーキテクチャーが「自律分散」です。

 これは、全体システムを止めずに高レベルな拡張性・保守性・障害耐性を実現するアーキテクチャーで、全体を“サブシステムの集合体”と考えるシステムコンセプトです。

 従来の集中型システムは、サーバーの停止がそのままシステム全体のダウンにつながるため、個々の装置の増設・保守の際にもシステム全体を止める必要がありました。そのため、日立は1977年からシステムの機能をサブシステムに分割した「自律分散システム」の開発に着手。複数サーバー間でデータを共有するメモリー転写機能や、ある部分が故障しても残りのサブシステムが協調して業務を続行する自律分散アーキテクチャーを確立し、フレームワーク化しました。

画像: 自律分散フレームワーク

自律分散フレームワーク

自律分散フレームワークの特長

 自律分散フレームワークは、オンラインでの拡張が可能である「拡張容易性」、システムを稼働させながら保守を行える「オンライン保守性」、不具合時もシステム全体を止めない「高信頼性」、緊急度の高いデータを優先的に処理できる「リアルタイム性」などを大きな特長としています。

 このフレームワークを活用することで、制御システムに求められる品質を満たす高信頼なシステムを安定的に開発することが可能となります。大みか事業所では電力や鉄道など約4,000の社会インフラシステムに、このフレームワークを適用。ソフトウェア設計段階の工数削減とともに、急速に変化する市場環境へ柔軟に対応するシステム開発・運用を実現しています。

 例えば鉄道輸送システムでは、これまで事前のシステム開発において、将来どこにどれだけの駅を追加するかを織り込むことは非常に困難でした。運用中のシステムに新たな駅を追加する場合、膨大な作業時間がかかるのと同時に、安全性や信頼性を担保するのも難しいことが大きな課題となっていたのです。

 しかし、日立の自律分散フレームワークを適用することで、駅を自律した1つのサブシステムとして成立させることが可能となりました。既存の線区を拡張する際にも、通常の営業運転を止めずに終電後の深夜の時間帯で新駅の追加や試験が行えるようになり、駅単位で切り離した保守も可能となりました。

 日立は自律分散フレームワークの国際規格の認証を取得(※)しており、標準化への取り組みも積極的に推進しています。これからも日立は、システムどうしが協調連携する次なる社会へ柔軟に追従するシステム開発・運用を実現していきます。

※ 国際規格 ISO 15745(2003年取得)、IEC 61784(2018年取得)、IEC 61158(2019年3月取得)など

第4回 「実稼働環境をサイバー空間上に再現する総合システムシミュレーション環境」はこちら>>

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