在宅勤務でも設計業務の継続・強化を図るには
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、多くの企業で在宅勤務やリモートワークの導入が加速しています。外出自粛要請の解除が進む一方で、今後も感染再拡大の波がいつ来るのかが予測できず、中長期的な対策の継続が必要な状況となっています。しかし、在宅勤務が基本となっても、出社対応が必要な業務が存在していることも確かです。
例えば製造業の設計・開発業務では、「CADやCAEなどの設計/解析ソフトを動かせる高性能ワークステーションが自宅にない」「対面でのデザインレビューから脱却できない」といった理由から、3密対策を考慮しながらも出社を余儀なくされるケースが少なくありません。
現状のままでは、オフィスへの移動リスクに加え、リモートワークを行う際にも個人作業が増えることによる業務知識の属人化や品質格差、設計ルールの見落としによる手戻りの発生といった課題が懸念されるようになります。
Withコロナの時代では、さまざまな突発的事態への対応力と、従業員の安全・安心を考慮し、働き方の多様性も支援するリモートワークの活用が不可欠です。
そこで日立は、従業員を場所や端末といった制約から解放し、常にセキュアで高品質な協調設計が行えるDSC/DSを提供しています。日立グループ内でも29事業所の導入実績を誇る同サービスを導入することで、設計業務の品質向上に加え、パンデミック(世界的大流行)や自然災害、多様な働き方に対応した設計業務環境をスピーディーに構築することができます。
クラウド環境で協調設計を実現するための3ステップ
Withコロナ時代の協調設計環境を、日立は3つの方向性に沿ったステップで構築することを推奨しています。
まず、3次元CADをはじめとする設計環境を操作できるリモートワークステーションを準備し、在宅での作業環境や、重要な情報資産を持ち出すことなく作業できる環境を確保します。
次に、プロセス、進捗(しんちょく)、設計情報などのノウハウの組織横断における共有や、デザインレビューなど、慣習的に書類が必須だった業務のデジタル化を進めます。
さらに、OJTが難しくなることで設計ノウハウや技術の属人化が進むことが予想されるため、設計ルールチェックやノウハウのデジタル化による利活用の促進も重要となります。これら3つの方向性を意識した協調設計の構築を、日立はDSC/DSの多様な製品ラインアップでトータルに支援することができます。
Step1 リモート環境での定常業務推進
3次元仮想デスクトップサービス(DS-VDI(*1))の適用により、高性能なリモートワークステーションを自宅からも活用できるようにします。設計業務に必要なCADや各種アプリケーションをクラウド経由で使えるため、場所の問題が解決され、リモートワークが促進できます。取引先や海外の設計者との情報共有がクラウド環境の中で行えるため、データの送付やダウンロードが発生せず、情報漏えいリスクを最小限に抑えることが可能です。
*1 Design-Virtual Desktop Infrastructure
Step2 組織横断での設計プロセス・ノウハウ共有
リモート環境で業務遂行するうえでは、設計者単独での業務環境を整えるだけでなく、企業や組織、担当者間でタイムリーに情報共有する仕組みが重要となってきます。これに対して、設計業務ナビゲーション(DS-PMS(*2))では、従来の出社対応と比較しても利便性を低下させない協調設計環境の構築が可能です。具体的には、業務プロセスや指示・手順書、過去の成果物や参考情報をクラウド環境で一元管理しながら、熟練設計者の知見(気づきメモ)も同時に表示できるようにします。また、AIを活用した高度な検索エンジンで過去の設計ナレッジの活用も促進。標準化されたプロセスと統一化されたシステム環境での共同作業がスムーズかつ効率的に行えるようになります。
*2 Design-Process Management System
Step3 設計に関する経験・知識の利活用
Withコロナ時代のリモートワークでは、従来の仕事のやり方に加え、さらに設計品質を高める取り組みも重要です。そこで、気付き支援CADシステム(DS-DRS(*3))を適用し、3次元CADで作成したモデルが設計ルールや加工しやすさの評価条件に適合しているかを自動でチェックできる環境を構築します。モデルが完成した段階でツールを実行すると、違反箇所がハイライト表示され、どのように修正すればよいかの判断が容易になり、設計品質の向上と手戻り防止によるリードタイムの短縮に貢献します。
*3 Design-Design Rule Check Support system
さまざまな脅威に対応できる環境を実現
このようなステップで協調設計環境を整備したうえでプロジェクトを実行すれば、ノウハウ蓄積・活用・反映といった好循環サイクルが確立でき、今後さまざまな突発的脅威が起こっても、業務継続によるリスクの最小化を図ることができます。
これからも日立は、お客さまからのさまざまな要望を取り入れながら、DSC/DSの強化拡充に取り組んでいきます。
他社登録商標
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